制服を脱いだメイドは、もはやメイドじゃない
文字数 1,891文字
これに乗れとほぼ強制的に乗せられたもの、それは、長いリムジンだった。
自分とは縁がなく、一生乗ることがないと思っていて、乗りたいと思っていたゆただったが、いざ乗ってみると落ち着かなかった。
えっと、落ち着かないというか……それに、何も伝えずに出てきてしまったことも気になります。きっとうたたち心配してます。休憩中とはいえ、仕事中だったのに……ボク、考えなしすぎて、最低です。
なんだ、そんなことか。大丈夫じゃね?知らねーけど。なんとかしてんだろ。そんなこと気にするより、楽しもうぜ。ほら、ワイン飲むか?
いい子ちゃんだなー、世の中の奴らはバレないように陰でこっそりと飲んでるもんだよ。こんなに美味いのになー。……まあ、お前はそういうの似合わないか。
そうだ!子供だからだ。まさかみずきの好きな奴がこんなちっちゃくて色気のないガキだとは思わなかったぜ、お前小動物みたいじゃねえか
みずきさん……!やっぱり貴方はみずきさんと関係あるんですね!?
あ、やべえ、ついうっかり口を滑らせてしまった!今のは聞かなかったことにしてくれ!
無理です!この耳でちゃんと聞きました!教えてください!貴方はみずきさんとどんな関係なんですか?
あーー……俺とみずきは……まあ、それは着いてからのお楽しみだ!
えー……そういえば、この車どこに向かってるんですか?
遠いとこ。とりあえず半日くらいかかるな。だから着くまで寝てろ。俺も寝る。
そんなに遠いんですか……じゃあ、寝ようかな。おやすみなさい。
寝ようと思えばどこでも瞬間的にぐっすり快眠できることを特技とするゆたは瞬時に眠りに就いた。
車の中は、静かになる。
規則正しい寝息の音と、ただ、走り続けるエンジンの音だけが響く。
って、寝るのはやっ!!!!!!!…………警戒心なさすぎだろ、そういうとこもガキだし、もしかして、無意識に誘ってんのか?いやいや、微塵も興味ねえけど!
寝顔、かわいいな。あ、こんなひらひらの服着てると寝づらそうだし着替えさせとくか。いや、別に口実とかいうわけじゃないから!勘違いするなよ!運転手っ!
うむ、それでこそ運転手だ。……しっかし、すごい服だな。動くと簡単にスカートの中見えそうじゃねえか!着せた奴はよっぽどの変態だな。
変態呼ばわりしているのは自分の弟とも知らずに、悪態をつく。
恭二は見えそうで見えない角度だったスカートを、どんな下着をつけているのかと好奇心でぴらっと捲ってみた。
が、その行動をすぐに後悔した。
女物の、水色でストライプ柄のいたって普通のかわいい下着。
そこに、女子にあるはずのない異質な膨らみがついていたからだ。かわいいサイズではあるが、ちゃんとついている。
な、なんじゃこりゃあああああああああああああああああああ!!!!???
ああ、運転手。お前はいい、関係のないことだからな、気にせず安全運転をしてくれ。
大声を出してしまったから、ゆたが起こるかと心配したが、杞憂だったようだ。
それでもぐっすり眠っている。
こいつ……男か!?!?みずき……男にこれからナニさせる気だよ!?変態か!?でも、男なら全部脱がせるのに抵抗はない。合法だ!!!
そう気づくと、嬉々としてゆたのメイド服を脱がし、あっという間に素っ裸にした。
そして、パンツだけを残してニーソックスだけになった。
え、エロい…………って、なに興奮してるんだよ!!はやくしないと起きちまう
起きたーーーーーーーーーーー!?!?いや、違うんだ!その恰好で寝るのはよくないなーと思って着替えさせようとしたんだ!今はその途中なんだ!
なに言って……って、な、っななな、なんでボク裸なんですかああああああああああああっっっ!!!!!
裸じゃない!ちゃんと下着は残してるし、ニーソはまだ脱がしてないからっ!!
あっ、あああああ当たり前です!!!!全裸とか無理ですからっ!!
はい……って、やっと男って気づいたんですね。見られたら気づきますよね。
紛らわしい恰好してんなよ!捲った瞬間ビビったぜ。これ、誰の指示だ?
そう言われたので、続行する訳にもいかず、恭二は着替えをゆたに渡した。
「ご主人様」という単語が頭から離れず、ドキドキしぱなっしで、長い道のりでも、眠ることは不可能だった。
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