夏が始まる明け方のエモさをまだ知らない
文字数 1,450文字
シャワーを浴び終え髪を乾かし、ダイニングに向かうと丁度料理が出来上がった頃であった。
指定席に座り、いただきますと言ってナイフとフォークで食べ始める。
無言。重苦しい空気の中、カチャカチャとシルバーの音が響く。
特に話し出す事も浮かばなかったのでうさぎは黙っていた。こういう時普段は榊は今日あった事など何か適当にいつも会話してくる。
不思議に思い料理を味わっている時
……うさぎさん、すみません。さっき携帯が鳴っていて…悪いと思ったのですが出てしまいました。警察署からでしたよ。
……っ、何で勝手に出るわけ!?プライバシーの侵害よっ!
それは謝ります。けれど、何で今まで言ってくれなかったんですか?……いえ、攻めるのは間違ってますよね、言いづらい私が悪いんです。恋人失格です。
〜〜〜〜っ!!だから、そういう風に自分責めるんじゃなくて、して欲しいことはもっと別にあって……ああっ、もうっ!!!
うさぎは手元にあったワイングラスを手に取りグイッと一気に飲み干した。中身は水である。
何で鬱入っちゃうのよ…いいっ?まず怖かったよね?って頭をなでなでしてよしよししてめいいっぱいぎゅうって抱きしめるの!
うぅ…怖かった、怖かったよぉ……ねぇ、お願いがあるの
……ふーん、無理なんだ。うさぎの事好きって言ってるのは嘘なわけ?
いえっ、うさぎさんの事は大好きなんです!世界で一番愛しているんです!
嘘だもん!元はといえば付き合ってから手を出さないせいで痴漢に反応しちゃったし…っ、うさぎが欲求不満なのもあんたのせいなんだからっ!責任をとってよ……
……分かりました、お見せします。引かないで下さいね。
榊に手を引かれ、連れて来られたのは寝室。と言っても名ばかりで自室で寝ているのでインテリアに等しい。うさぎには別室が与えられているので入った事はない。置いてあるのはダブルベットのみである。白いカバーとシーツが皺一つなく伸びており、まるでホテルの一室のようである。
そこにうさぎはぽふっと投げられた。
そう言ってパジャマの裾を捲り、素肌を愛撫していく。
甘く、激しく、舌で転がしていくーー。そしていくらかの工程が終わった頃のこと……
うっそ、ま……って!その大きさ……反則じゃない?!
ええ……だから今まで避けていたんですよ。苦しむうさぎさんの顔なんて見たくなくて……
でも今更止めろとかいくらうさぎさんの頼みでも無理ですから。誘ったのはそちらなんで。
うぅ……明日は休日!いいわ、好きなだけ付き合ってあげるんだから……っ!!
う、うさぎさ〜〜ん!!可愛いっ女神!大好きです愛してます!
……うさぎも。……って、きゃあ!さらにおっきくすんなアホ!ばか!変態〜〜!!
夜は長かった。
気が付けば空が白み始めるーーそんな夏の始まり。明日が休日な事に感謝するしかないうさぎであった。
翌日。
休日だがバイトがあることを忘れていたうさぎ。
ええっ、動けないくらいなんて心配ですね…、アンメ○ツヨコヨコとピッ○エレキバンを差し入れしなくちゃ!
はい!重いもの持った後とかデスクワークの後とかに使います!…あれ、何でそんな哀れみの目で見るんですかぁ!
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