嫉妬は甘い夜の魔法
文字数 1,040文字
沙織が帰ってから何事もないように店は開店して、ゆたもうたも、ネコミミメイドさんを無事にやり遂げた。双子は今日もかわいい。
…………
ねえ、終わりだよ。あがっていい？
えっ、ああ……もうそんな時間なのね。あがっていいわよ、今日もお疲れ様。
兄さん、帰ろ。
ボクは……今日は……帰らない！ねえ、みずきさん、泊まってもいい？
はあ？何言ってるの、兄さん。僕は反対なんだからね。ほら、帰るよ。
やだ！やだやだ！今日は帰っちゃいけない……そんな気がする！というか、ただボクが傍にいたいんだ！ね……ダメ？
……っ！ そんなの……いいに決まってるじゃない。
やった……！って、わわわーー！！なにするんですか？
なにって……お姫様抱っこ。ほらほら～傍にいてくれるんでしょ？部屋行くわよ！あーもう、こんなお誘いされたらたまんないわねほんと……
にっ……兄さんがーーーーーーーーー！！兄さんのハジメテがーーーーーー！！！
そして、そのままお姫様抱っこで奥の部屋へと連れていかれるゆた。
うたの声は無視である。
あのっ……重くないですか？
あら、女の子みたいなこと聞くのね。重くないわよ、軽い軽い
したことあるんですか……お姫様抱っこ……うさぎさんとかに
うさぎ？なんでそこでうさぎが出てくるの？
……だって、仲良さそうだし、夜のデートとかしてるみたいだし……
安心して、うさぎとは何の関係もないから。こうやって抱っこしてるのも、ゆたくんが初めて。
ボクが……初めて……
そんなことを話していると、廊下を抜けて奥の部屋に着いた。
鍵を開けて、扉を開けて中に入る。
はーい、着いたわよ、お姫様。どこに降ろそうかしらね
えっと、ベッド……がいいです、……ふかふかなので。
ふふっ、りょーかい。
どさっ
そんな音がした。ふわり、という感じではなく投げ出される形になった。
えっ……
悪いけど、ネコミミメイドで誘惑してくるゆたくんがかわいすぎてもう限界なの。傍に居たいって、そういう解釈でいいのよね？
えっ、あ、あうぅ……
さあ、にゃんにゃんしましょうか、かわいい声で啼いてね？
は、はいっ……
もうっ、返事は、にゃん♡よ。
にゃん！！！！！！
クスッ……元気のいいにゃんこちゃんね。いっぱい、優しく愛してあげるわね。お姉さんに、すべてを任せて、ね……。
もしこの場に誰かがいるものならば「お前はお姉さんではなくお兄さんだろう」というツッコミが飛んできそうなものであるが、2人しか居ない。2人の世界である。
まだ早い時間ではあるが、愛に時間は関係ない。2人の夜は始まったばかりである。
