②「絶対に嫌！」
文字数 1,109文字
客間で紅茶を飲み、メイドと会話をし、(恭二をからかって遊んだりして)時間を潰して待っていると待ち人であり、この屋敷の主、鳳 恒が帰宅したという報告が入ったので、みずきは部屋の前へとやって来た。扉を2回、ノックする。
入りたまえ。
……失礼します
みずきか。待っていたぞ。……久しいな。明子は元気か？
……よくそんなことが言えるね、あんたに捨てられてから精神は病むし、自殺未遂はするし、変な男と遊ぶこともしょっちゅうだったよ。
あいつは出会った頃から情緒不安定で何かあれば精神を病んでいたな……想像も容易い。
そう、昔からずっと母さんは不安定な人だった。なのに、それを分かっていながらなんで離婚とかできるかなあ……ほんと許せない
経営が傾いていた。良家の女と出会えばそちらを選ぶのは当然のこと……持ち直す為には明子が邪魔だったのだ。
は？邪魔？母さんのこと好きな息子の前でよく言えるねそんなこと
沙織と恭二は明子のことなんてどうでもいいと思ってるから今までそのことには触れてこなかったし新しい妻も受け入れてくれたぞ？お前も過去は切り捨てろ、そしてこの家の為に尽くせ
絶対嫌なんだけど
沙織はゲームばかりしているし現実の男とは結婚したくないと言うし、恭二は遊んでばかりだし、何をやらせても才能がない。こいつらはダメだ。二人ともデザインの才能もなく、無能だ。跡を任せておけん。この家を継ぐのはお前しかいないと思っている。
なんでこんな1ｍも愛情がない家継がなきゃいけないの、無理だし。大体自分の子供に無能とか言ってるけど愛はないんだね。
使えんやつは必要がないからな。……明子も、恭二も沙織も。
最低だ……とにかく、絶対無理だから。じゃあ、帰る。
待て、お前はこの家を継げ。これは絶対だ。そして坂宮家のお嬢さんと結婚しろ。この家の為にな。
鳳 恒はピラッと写真をちらつかせる。白いワンピースを着た銀髪の大人しそうなお嬢さんだ、清楚系で、可愛らしい。
は？結婚？！
今日来てくれて助かったぞ、そろそろ探しに行こうかと思っていたところだ。何しろ式は二週間後だからな。
はーーーーーーーーー！？！？
あと、今からウエディングドレスをデザインしてくれ。これは両家のPRも兼ねているから、大々的にPR出来る。
ちょっ……２週間とか無理なんだけど！！！ていうか、結婚とか無理だし、したくないし！！！結婚なんて兄貴にしてあげたら？
相手がお前を気に入っているんだ。水を差すなよ。分かったら、ドレスに取り掛かってくれ。
分からないから！！！！
聞き分けが悪いな……おい、橘、追い出せ
はい。行きましょう、みずき様
結婚なんて絶対に嫌なんだけどーーーーーーーーーーーっっっっ！！！！！！
