第１０話：同時多発テロ、不動産投資信託、留学希望

　さらに１０時３分、ユナイテッド航空９３便「乗客乗員４４人、ハイジャック犯４人含む」が、ペンシルヴェニア州シャンクスヴィルの野原に墜落した。　その飛行機のボイスレコーダーや乗客乗員たちの様々な通話記録には、首都の連邦議会議事堂に突入し破壊しようとするハイジャック犯たちに、乗客たちが抵抗する様子が残されている。

　４機ともボストンやニュージャージー、ワシントンといった東海岸の出発地からロサンゼルスやサンフランシスコといった西海岸を目指す便だった。そのため、最大４万３千リットルもの燃料を積んでいた。ハイジャックされた旅客機は、大量の燃料を積んだ、誘導ミサイルと化した。大勢の乗員と乗客を乗せたまま。ハイジャック犯１９人を除くと、この攻撃で、２９７７人が、亡くなった。

　アメリカとカナダの民間空域は、９月１３日まで閉鎖され、ウォール街は、９月１７日まで閉鎖された。さらなる攻撃への警戒や恐れから多くの閉鎖、避難、キャンセルが続いた。捜査の結果アルカイダと指導者であるウサーマ・ビン・ラーディンに嫌疑がかけられ、アメリカは、２００１年１０月に対テロ戦争を開始してアフガニスタンに侵攻した。

　そしてアフガニスタンからのアルカイダの追放と指導者であるビン・ラーディンの引き渡しという自らの要求に従わなかったタリバンを退陣させた。ビン・ラディンは当初、関与を否定していたが、２００４年にはテロ攻撃の責任が自らにあることを認めた。この頃、証券会社から封筒が届いて、その中には、日本初の不動産リートが、２００１年に上昇すると書いてあった。

　その銘柄は、日本ビルファンドとジャパン・リアルエステートであった。日本ビルファンドは、三井不動産をメインスポンサーとする国内最大のオフィス特化型ジェイ・リート。東京２３区を中心に競争力の高いポートフォリオを .誇っていると書いてあった。ジャパン・リアルエステートは、三菱地所をメインスポンサーとする国内最大のオフィス特化型ジェイ・リート。

　東京２３区を中心に競争力の高いポートフォリオを .誇っていると書いてあった。それを見て、単純に、規模の大きい方が、安全性が高いと聞いていたので、日本ビルファンドとジャパン・リアルエステートに投資しようと渡田惣吉が、決めた。２００１年９月に日本ビルファンドが、上場したが、かなりの人気があり上場当初は、６０万円を超えてい。

　そこで、証券会社の担当者から５０万を切ったら買いでしょうねと助言を受けた。やがて２００２年が明けると、初値で５０万円を切った。しかし、証券会社の担当者から慎重に行きましょうと言われた。その後、再び５０万円を越した。１月１７日、４８万２千円となった。しかし、証券会社の担当者に連絡すると上げはじめを買いましょうと言われ、待った。

　すると１月２４日、４７万４千円の最安値を付けた。もう少し待ちましょうと言われ、１月３０日、早朝、電話が入り、かなり売りが出てるから買いと言われ１００株成り行き買い注文を出し買え残金、２９１７０万円となり１１７０万円を預金口座に送金し残金が２８０００万円となった。２００２年、渡田利恵が、成田高校を受験して合格した。

　この頃、兄の渡田元一は、大学受験のため成田駅近くの予備校に通い始めた。そして父に慶応大学経済学部を受験したいと言うと、父が、了解と答えた。それを聞いていた渡田利恵も自分も高校２年になったら予備校へ行きたいと言うので了解した。そして利恵は、上智大学英文科を受験したいと語った。

　２００２年９月１７日、小泉首相が、日本の首相として史上初めて、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。日朝首脳会談で、北朝鮮の金正日総書記が、日本人拉致問題を公式に認めた。１０月８日、小柴昌俊東京大学名誉教授にノーベル物理学賞、翌日には、田中耕一島津製作所社員にノーベル化学賞の受賞が決定した。もちろん日本人の同年ダブル受賞は初めてであり話題となった。

　こうして２００３年を迎えた。この年、渡田元一は、慶応大学経済学部を受験して見事、合格した。一緒に合格を見に行った両親と妹の利恵が、たいしたものねと兄を褒めた。私も上智大学英文科に合格したいわと告げた。その後、利恵は、今まで以上に熱心に受験勉強に取り組んだ。渡田元一は、父が株投資をしているの知っていて彼も投資サークルに入部した。

合格後、渡田元一は、大学２年の時にアメリカの大学に１，２ケ月留学したいと言い、父が、良いよと答えた。それを聞いていた利恵も、私も行きたいわと言うので、大学に合格してからなと兄に、釘を刺された。４月２８日、日経平均株価が７６０８円の大底を記録したが、それ以後、急反発し１０月には、一時１１０００円台まで、急回復した。