第2話:貧農の子の恋愛と世相

文字数 2,020文字

 夏が過ぎ、秋になり渡田と沢野は、焼き芋をして食べたりして、相変わらず仲良くしていた。
「この時、もし、株で儲けたら結婚しようと突然、言い放った」
「すると沢野勝枝は、急に黙りこくった。そして涙をポロポロ流し始めるではないか」
「どうしたのと聞くと急に、とんでもないこと言うのだからと渡田の胸を軽く手でたたいた」

「本当なの?信じて良いのねと言うと、また泣き出した」
「人に見られたら格好悪いから泣くのはよせと軽く抱きよせると彼女が抱き着ついた」
「何て柔らかいのだろうと感じ、絶対に結婚するんだと言う気持ちが、増した」
「その後も定期的にデートを重ねていき1980年を迎えた」
「正月休み、渡田と沢野は、地元の神社に初詣に出かけた」

「その後、日頃、お世話になってる吉行寅三さんの家に彼女と2人でご挨拶に行った」
「すると、お似合いのカップルだと言われ、彼女が、顔を赤らめた」
「吉行さんに、今年もよろしくと挨拶して自宅に帰って来た」

 その後スーパーでの仕事が始まった。
「この頃、日本の政治の世界で、大きな事件が起こった」
「1980年、予算審議が本格した国会で、社会党、公明党、民社党3党から提出された予算修正の申し入れを自民党が拒否」
「予算委員会の審議が10日間にわたってストップした」

 その後も緊迫の国会運営が続く中、予算案が、衆議院で可決される2日前の3月6日。
この日、ロッキード事件児玉・小佐野ルートの検察側冒頭陳述が、行われた。
「被告の小佐野賢治がロッキード社のクラッターから受け取ったとされる20万ドルが、なんとラスベガスで自民党のH議員が負けた450万ドルの分割払いに充当された事実が判明。

「H議員は、自民党国民運動本部長を辞任したが、野党はH議員辞職を要求して攻勢を強めた」
「しかし、ここから与党内にも主流派に対する批判的な動きが再び強まった」
「4月10日、H議員は、自民党離党と議員辞職願を提出し4月11日に辞職が認められた。
「いったん火がついた反自民、非主流派の流れは、誰にも止められなかった」

 5月14日、15時、日本社会党、公明党、民社党は国会内で国対委員長会談を行った。
「その席上、社会党の田邊誠が、大平内閣の失敗を追及し参院選で自民党と対決するため内閣不信任案を提出したいと発言」
「理由として1つ目にH衆議院議員のラスベガス・カジノ疑惑、KDD事件などに象徴される政治腐敗」
「2つ目に物価高を招いた経済政策の失敗」
「さらに3つ目にイラン問題などに見られる外交問題での自主性の喪失の3つの理由に挙げた」
「公明党の大久保直彦国会対策委員長は、我が党は社会党に同調するが、できれば民社党と同一歩調をとりたい」と述べた。
これに対し民社党の永末英一国会対策委員長は
「わが党は、中央執行委員会が、態度を決めてないので待ってほしい」と態度表明を保留した。
 内閣不信任案は、5月16日の衆議院本会議に緊急上程される情勢となった。自民党執行部は非主流各派の対応を探った結果、「大したことにならない」と判断。これを受けて5月15日午後、自民党幹事長の櫻内義雄は記者会見で「わが党の現存勢力に無所属からの同調者を加えると、相当の余裕をもって不信任案を否決する見通しだ」と述べた。

「大平派最高幹部で党総務会長の鈴木善幸も同日、同派の総会で「党内の説得工作は行わないとの強気の態度を表明」
民社党は、5月15日午後20時半から緊急中央執行委員会を開いて対応を検討するが、夜半から三役一任の形で幹部会議に移った。
「同調やむなしとする佐々木良作委員長と、万一可決されれば解散、総選挙につながる」
として反対を主張する春日一幸常任顧問との間で激論が交わされた。

 全日本労働総同盟会長の宇佐美忠信の意見も聞くなどして協議を続けて5月16日午前2時、
「提案理由が民社党の基本路線を損なうものでなければ同調する」との結論に至った。5月16日9時すぎ、公明党と民社党は会談。公明党からは大久保直彦が、民社党からは永末英一と大内啓伍政策審議会長が出席し意見調整を行った。

 その後、三氏は、社会党の田邊誠国会対策委員長、武藤山治政策審議会長と会い、不信任案は社会党の単独提出とすることで一致、公明・民社は不信任案に賛成することを確認した。10時39分、社会党は衆議院に不信任案提出手続きをとった。一方、自民党は同日9時15分に役員会を開き協議に入った。安倍晋太郎政調会長が「党内統一に力を注ぐべきで、除名、解散の強硬論は不適当」と強い調子で主流派を批判。

 ひとまず「党内一致で不信任案を否決」の線でまとまった。マスコミ各社は否決をみじんも疑わず、朝日新聞などはこの日の夕刊の一面に「内閣不信任案否決へ」「自民、結束を確認」という見出しを掲げるほどであった。その後、5月16日、13時3分、衆議院議院運営委員会において亀岡高夫委員長が「本日の本会議は15時半開会とする」と発表した。
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