プロローグ

文字数 465文字

「証拠が必要かしら? 愛と一緒よ」

どうだろう。
ぼくには肉体に依存しない愛の方が恐ろしい。
相手が死んでいても成立するからだ。

確からしいという直感に、愛情に、ぼくらは簡単に溺れる。
誰かを巻き込んで。

信じることは他人を犠牲にして行うことではないのだ。
証拠によらない証明に正義はない。

普通の人はね。自分は死なないという夢で命を繋ぐのよとその人は笑う。

「解かれてしまうトリックよりも、証明できない事件の方が魅力的だわ。あの子の能力みたいに」

「それではミステリーゲームと呼べませんよ」

「そうね。神の力を幻視するゲームだわ」

ソルベが口の中でとろけて、ようやく現実に帰ってきたという実感が湧いてきた。

「あなたはミステリーがお好きかしら?」

訊かれて、ぼくの手が止まる。

深湯甕(くがえ)の人間は往々にしてミステリーに興味がない。

彼らにとっては(ミステリー)ではないからだ。

長きにわたる選別によって磨かれた才覚。
証明のない才能というものは圧倒的で理解できるようなものではない。
悲しいまでに、ただ感じるだけ。

ぼくは答える。

「好きですよ、ミステリー。凡人(・・)の戦い方を知れますから」
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登場人物紹介

姓牙淵 無黒/かばねがふち むくろ

ゲーム主催者。

術中 百中 / すべなか ひゃくちゅう

シナリオライター

野獣 / やじゅう(フォーヴ)

殺人鬼

医療スキルの達人

半裂 ささら / はんざき ささら

殺し屋

料理スキルを好んで使う

全 音符 / まった のーと

作曲家

ダイニングメッセージの名人

化狐 / ばっこ

翻弄する人

狐ポーズで有名な容疑者

花満 花蘂 / はなみつ はなしべ

死体アーティスト

内田 菊苗 / うちだ きくなえ

サイエンティスト

相棒役が得意

宣伝 第一 / せんでん だいいち

広告の一形態


本拠地 唯 / ほんきょぢ ゆい

探偵

自分以外の探偵を認めず排除する

潮尾 / うしおび

メイド

本業は探偵

深湯甕 閻羅 / ふかえ えんら

悪名高い警察一家の跡取り

権力と資産を背景に警察力を発揮する

山田 / やまだ (深湯 踏絵 / くがえ ふみえ )

閻羅のはとこ

刈耳 尊扉 / かるみ とうと

ミスサイティドミステリーの発案者

閻羅の母

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