第6話 この世界には外側があるんだ
文字数 1,535文字
料理スキル:様々な素材を加工、変質させ
られる
対象に触れる必要がある
人間を料理することはできない
+++++++++++
閻羅 は隣でメールをしていた。
どうやって? まぁ、いまさらか。
夜の9時から朝6時まではゲームを操作しなくても大丈夫な時間だ。今回のルールでは昼間に1時間以上操作しないと死亡判定される。
殺されるリスクは変わらないが、二人組だとかなり楽だな。
料理スキルはドアノブに触れるだけで合鍵を作れたり、素材を変化させられるので夜はとにかく危険なのだが、メールできるなら犯人は丸わかりだ。
閻羅はマイクをオフにしている。
「はーみん、すごいよ」
誰だよ。
ぼくもマイクをオフにした。
「もしかして内田か?」
「そ」
「探偵か?」
「うん。何人かプレイさせてたんだけど、人気を獲得できたのは彼だけだった。僕も本名じゃなきゃフェス参加は無理だったろうね。んで、犯人判明。自称野獣さんは自殺だ」
「可能なのか? 一撃の威力じゃないぞ」
「少しずつ壊してく方法だろうね。切り離して傷口を塞ぐ。切り離した方を粉砕、の繰り返し」
えぐいな。
「確かに頭と胸あたりは比較的形を留めてはいたけど……」
「普通の生理じゃないしね。心臓と頭が無事なら即死はないみたいだよ。ま、野獣さんじゃなきゃ簡単にはできないだろうね。あんなに威力を高められるなんてさ」
「で、自殺した後本拠地 とリアルで入れ替わったと」
「気をつけなきゃいけないのは、医療スキルを持ってる僕たち2人の犯行にされちゃうことだね」
「別の事件ならよかったが。やっぱり全員が閻羅狙いなのは間違いないな。はーみん?はともかく」
「13人目は変装スキルだから警戒しないとだよ」
「初期設定で似せている可能性もあるだろ?」
「あるよ。でも、その場合は危険性がだいぶ下がる。フミくん、野獣さんにも殺されなかったんだし。今は1番厄介な変装スキルだと思っておいた方がいい。変装の達人のKさんもありうるかも。キングで13」
「ほんと殺しの達人ばかりだな」
変装スキルは体格も関係なく化けられるので殺しにも防衛にも有用だ。
体格によって俊敏性やパワーまでも変化する。
完全に魔法じゃねえか。
ちなみにKは人気のある犯人だ。初めて対戦する相手の物真似も難なくこなす。
「入れ替わった相手は半崎 さん」
「そういえば船着場を通ってたしな。死体は海にでも流したのか」
「あとね、重要なことがわかったよ」
「重要?」
「ルルバンっていう商品は存在しない」
ふむ。
ぼくは昨日見た姿を思い返した。
現実の宣伝は10代半ばの少年にも少女にも見える外見で、長い前髪のために顔はよく見えない。ジャージの上にジャケットを羽織っていたな。
「じゃあ誰だ? 他に招待されそうなプレイヤーは?」
「今調査中。案外普通のプレイヤーかも。イタコみたいに野獣さんを召喚するための」
「勘弁してくれよ」
「まぁ、姓牙淵 さんが普通に僕を殺すことはあり得ないんだよね。それじゃつまらないから」
「今日ガッツリ襲われただろ」
「フミくんを殺す気だったんだよ」
「……なるほど」
邪魔者はぼくだった。
ひっそりと半崎は死んだが、影響は残っているはずだ。
半崎は決まって料理スキルを選ぶ。料理と名がついているが、土から皿、木から弓矢、川から包丁が作れるとんでもスキルである。料理と大工と工業が一緒になった加工魔法だ。
そして作ったものは能力者の死後も残るという大きな特徴がある。
とはいえ一度に作れるものには限度があり、1日なら小さな武器を3、4個くらいだ。
こんなに早く退場させるとは。
半崎という戦力を削ってまで投入された13人目。
重要なのはぼくに現実の姿を見られていないということ。
嫌になるな。
おそらくぼくはそいつの顔を知っている。
られる
対象に触れる必要がある
人間を料理することはできない
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どうやって? まぁ、いまさらか。
夜の9時から朝6時まではゲームを操作しなくても大丈夫な時間だ。今回のルールでは昼間に1時間以上操作しないと死亡判定される。
殺されるリスクは変わらないが、二人組だとかなり楽だな。
料理スキルはドアノブに触れるだけで合鍵を作れたり、素材を変化させられるので夜はとにかく危険なのだが、メールできるなら犯人は丸わかりだ。
閻羅はマイクをオフにしている。
「はーみん、すごいよ」
誰だよ。
ぼくもマイクをオフにした。
「もしかして内田か?」
「そ」
「探偵か?」
「うん。何人かプレイさせてたんだけど、人気を獲得できたのは彼だけだった。僕も本名じゃなきゃフェス参加は無理だったろうね。んで、犯人判明。自称野獣さんは自殺だ」
「可能なのか? 一撃の威力じゃないぞ」
「少しずつ壊してく方法だろうね。切り離して傷口を塞ぐ。切り離した方を粉砕、の繰り返し」
えぐいな。
「確かに頭と胸あたりは比較的形を留めてはいたけど……」
「普通の生理じゃないしね。心臓と頭が無事なら即死はないみたいだよ。ま、野獣さんじゃなきゃ簡単にはできないだろうね。あんなに威力を高められるなんてさ」
「で、自殺した後
「気をつけなきゃいけないのは、医療スキルを持ってる僕たち2人の犯行にされちゃうことだね」
「別の事件ならよかったが。やっぱり全員が閻羅狙いなのは間違いないな。はーみん?はともかく」
「13人目は変装スキルだから警戒しないとだよ」
「初期設定で似せている可能性もあるだろ?」
「あるよ。でも、その場合は危険性がだいぶ下がる。フミくん、野獣さんにも殺されなかったんだし。今は1番厄介な変装スキルだと思っておいた方がいい。変装の達人のKさんもありうるかも。キングで13」
「ほんと殺しの達人ばかりだな」
変装スキルは体格も関係なく化けられるので殺しにも防衛にも有用だ。
体格によって俊敏性やパワーまでも変化する。
完全に魔法じゃねえか。
ちなみにKは人気のある犯人だ。初めて対戦する相手の物真似も難なくこなす。
「入れ替わった相手は
「そういえば船着場を通ってたしな。死体は海にでも流したのか」
「あとね、重要なことがわかったよ」
「重要?」
「ルルバンっていう商品は存在しない」
ふむ。
ぼくは昨日見た姿を思い返した。
現実の宣伝は10代半ばの少年にも少女にも見える外見で、長い前髪のために顔はよく見えない。ジャージの上にジャケットを羽織っていたな。
「じゃあ誰だ? 他に招待されそうなプレイヤーは?」
「今調査中。案外普通のプレイヤーかも。イタコみたいに野獣さんを召喚するための」
「勘弁してくれよ」
「まぁ、
「今日ガッツリ襲われただろ」
「フミくんを殺す気だったんだよ」
「……なるほど」
邪魔者はぼくだった。
ひっそりと半崎は死んだが、影響は残っているはずだ。
半崎は決まって料理スキルを選ぶ。料理と名がついているが、土から皿、木から弓矢、川から包丁が作れるとんでもスキルである。料理と大工と工業が一緒になった加工魔法だ。
そして作ったものは能力者の死後も残るという大きな特徴がある。
とはいえ一度に作れるものには限度があり、1日なら小さな武器を3、4個くらいだ。
こんなに早く退場させるとは。
半崎という戦力を削ってまで投入された13人目。
重要なのはぼくに現実の姿を見られていないということ。
嫌になるな。
おそらくぼくはそいつの顔を知っている。