第7話 タイムオーバーに震えろ
文字数 1,346文字
変装スキル:アバターとボイスを変更する
ことができる
登録機能を使うと瞬時に変装
できる
体格も身体機能も変化する
+++++++++++
気持ちのいい朝とはならなかった。
戸惑いながら、朝食をとる円卓のメンバー。
それもそのはず、姓牙淵 が着席したままフリーズしている。
全 は言う。
「私が6時15分にここへ来た時にはすでにこの状態でした」
朝食が始まったのは7時。
どうなるかは明白だ。
7時13分、姓牙淵の身体が震えた。
律儀にも閻羅 が駆け寄って医療スキルを使う。
効かなかった。
これはタイムオーバーによる心臓発作だからだ。
毒物の可能性を排除する為に内田が科学スキルを使い鑑定する。
味や匂いを度外視できるために現実ではありえない毒殺が可能だ。ポイズナーがいないとも限らない。
すぐに内田がピースする。
結果は病死。
自殺というより自滅だが、断言できない。
3時の位置が空いているのだ。化狐 が来ていない。
「行こうか」
閻羅の一声で皆立ち上がった。ぞろぞろと化狐の部屋へ向かう。
潮尾 にマスターキーでドアを開けさせると、部屋の中央で化狐が倒れていた。
だいたい予想はつく。
鑑定の結果、死因は病死。化狐もまたタイムオーバーで斃 れたのだ。
全がみんなの顔を見回した。
「まさか死んでないですよね?」
現実世界で、という意味だ。
「お待ちください」
と潮尾が声を上げた。
「運営の鐘家 です。ただいま確認中です。全画面モニターは我々が引き継ぎ、お知らせは潮尾を通して発表いたします。皆様はお食事会にお戻りになって、ゲームを継続してください。事態が判明しだい追ってお知らせいたします」
今頃観客は大盛り上がりだろう。
すぐに閻羅に情報が上がってきた。
姓牙淵はいつも通りに自宅のパソコンからこのゲームに参加していたらしい。
主催者はプレイヤー画面だけでなく、各エリアにプレイヤーが利用できない監視カメラポイントもモニターできる。他にもいろいろな情報を同時に見るために慣れている自宅からの参加が許されているのだろう。
そして化狐はホテルを出て彼の自宅に向かった。
セキュリティの厳しいタワーマンション。侵入は難しい。
化狐はたどり着く前に警邏 隊に職務質問され、包丁を所持していることが発覚。
姓牙淵の家に向かっていたことから、安全確認のために警察は姓牙淵の自宅へ。しかし、そこに姓牙淵はいなかった。
化狐の見立てどおりそこにいたのは別人で、本人とは連絡が取れなかったのだ。
本人はスマホを預けてこの円卓に加わっているのだろう。
どうやらサポートしているスタッフたちにも内緒だったらしい。
化狐は閻羅の手が回っていることを見越して、姓牙淵の家へ向かったのだ。警察官に声をかけられなくともマンションの前で騒ぎを起こせばよかった。
ご苦労なことである。
ぼくは術中を見た。
このゲームでは現実の表情が、反映されている。
だから現実でスマホを操作したり、席を外していると独特の脱力した表情や虚無の眼差しが現れることがある。
術中はいたって真剣な顔をしていだ。
気づいていないのか、介入しないと決めたのか、スタッフが駆けつけることもなかったようだ。
そしてあいつのキャラもブレる気配がない。
「るーるーるるーるー」
はぁ、また止める人間が消えてしまった。
ことができる
登録機能を使うと瞬時に変装
できる
体格も身体機能も変化する
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気持ちのいい朝とはならなかった。
戸惑いながら、朝食をとる円卓のメンバー。
それもそのはず、
「私が6時15分にここへ来た時にはすでにこの状態でした」
朝食が始まったのは7時。
どうなるかは明白だ。
7時13分、姓牙淵の身体が震えた。
律儀にも
効かなかった。
これはタイムオーバーによる心臓発作だからだ。
毒物の可能性を排除する為に内田が科学スキルを使い鑑定する。
味や匂いを度外視できるために現実ではありえない毒殺が可能だ。ポイズナーがいないとも限らない。
すぐに内田がピースする。
結果は病死。
自殺というより自滅だが、断言できない。
3時の位置が空いているのだ。
「行こうか」
閻羅の一声で皆立ち上がった。ぞろぞろと化狐の部屋へ向かう。
だいたい予想はつく。
鑑定の結果、死因は病死。化狐もまたタイムオーバーで
全がみんなの顔を見回した。
「まさか死んでないですよね?」
現実世界で、という意味だ。
「お待ちください」
と潮尾が声を上げた。
「運営の
今頃観客は大盛り上がりだろう。
すぐに閻羅に情報が上がってきた。
姓牙淵はいつも通りに自宅のパソコンからこのゲームに参加していたらしい。
主催者はプレイヤー画面だけでなく、各エリアにプレイヤーが利用できない監視カメラポイントもモニターできる。他にもいろいろな情報を同時に見るために慣れている自宅からの参加が許されているのだろう。
そして化狐はホテルを出て彼の自宅に向かった。
セキュリティの厳しいタワーマンション。侵入は難しい。
化狐はたどり着く前に
姓牙淵の家に向かっていたことから、安全確認のために警察は姓牙淵の自宅へ。しかし、そこに姓牙淵はいなかった。
化狐の見立てどおりそこにいたのは別人で、本人とは連絡が取れなかったのだ。
本人はスマホを預けてこの円卓に加わっているのだろう。
どうやらサポートしているスタッフたちにも内緒だったらしい。
化狐は閻羅の手が回っていることを見越して、姓牙淵の家へ向かったのだ。警察官に声をかけられなくともマンションの前で騒ぎを起こせばよかった。
ご苦労なことである。
ぼくは術中を見た。
このゲームでは現実の表情が、反映されている。
だから現実でスマホを操作したり、席を外していると独特の脱力した表情や虚無の眼差しが現れることがある。
術中はいたって真剣な顔をしていだ。
気づいていないのか、介入しないと決めたのか、スタッフが駆けつけることもなかったようだ。
そしてあいつのキャラもブレる気配がない。
「るーるーるるーるー」
はぁ、また止める人間が消えてしまった。