文字数 321文字



雅環菜(みやび かんな)

 中学の頃、一つ苦い経験をした。

 私は、抱き始めたばかりの淡い恋心を、友達づてに本人に伝えられてしまったのだ。

 友達に悪気はなかったのだが、告白は見事に玉砕。

「ごめん、環菜。付き合えないって」

 相手は私のことなど、全く、何とも思っていなかった。

 最悪だ、恥ずかしい。終わった……。

 想い始めたばかりの気持ち、告白なんて考えていなかったし、そういうことをできる度胸、私は持ち合わせていなかった。

 ずっと遠くから見ていられたらいいな、と思っていたのに、目を合わせるのさえ気まずくなって、それきり。

 卒業時、もう関わることはないんだな、良かった、とさえ思ったくらいだった。



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  • 『プロローグ』

  • 1
  • 第一章 『ふわり春風になびく髪』

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 第二章 『思い出には、目を伏せて』

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 第三章 『胸を駆け巡る恵風』

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 第四章 『二人だけの、音楽室』

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