第10話 「病院」

文字数 993文字

── 香奈が小学生の時の出来事 ──
17:05

2台の救急車が公園前の交差点に到着した。

救急隊員は香奈を運び、守も後を追うように救急車に乗り込む。

その後に雛川も別の救急車に運ばれ病院へと向かう──。

17:15

先に病院に到着したのは香奈を乗せた救急車。

救急隊員とドクターがストレッチャーで香奈を緊急搬送へ運ぶ──。

桃井香奈ちゃん7才 自動車との衝突事故で搬送。

頭部損傷、意識レベルはJCS2です!

【JCS2】

見当識障害のこと

「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」「(誰なのか(人)」がわからなくなる状態。

香奈…

大丈夫だからな!


17:20

雛川海斗も病院に搬送された。

意識不明の重体。


雛川は香奈の妹であり、

現在の名前は「桃井海斗」である。

桃井海斗さんを緊急治療室へお願い!
── ICU ──


夜になり香奈は集中治療室で眠っている。

ベットの隣で見守っている守は香奈の右腕にそっと触れている。

香奈…
すると集中治療室へ仕事帰りの香奈の父親がやってきた。
おお…

守か!!!

香奈のお父さん…
香奈と海斗は…

2人は無事なのか!?

香奈はなんとか…

けど、お兄さんの方は…

香奈のお父さんは慌てて海斗が手術をしている手術室の前に向かう。

すると手術中のランプが消えドクターが現れる──。

ご家族の方ですか?
はい…

海斗は、海斗は無事なんですか?

残念ながら…

全力を尽くしましたが…

そんな…
香奈のお父さんは愕然とし、床へ座り込む──。
ゴメンよ、恵…

お前を信用していなくて…本当にこんな事が起きるなんて…

落ち込んでいる香奈のお父さんの前に守が歩いてやってくる──。
香奈のお父さん…

どうしたんだ?倒れ込んじゃって…

おお…、守か…

海斗が死んだよ…

嘘だろ…
そして、

君には話しといた方がいいのかもな…

話って何をだ?
わたしの妻が亡くなったのは知ってるよな…
あぁ…

確か、病気で…

そうだ…

妻にはほんと申し訳ないことをした…

まさか、本当に起きるとは思わなかったんだ…

一体、何が起きたの?
君に、これをやろう!
香奈のお父さんは守に一冊の本を渡した──。
四つ葉のしおり?

なんか難しそうな本だな!

これは、わたしの妻が亡くなる前に書いていたミステリー小説なんだ…
小説?
あぁ…

そして、そこには香奈の将来が書かれている!

守は【四つ葉のしおり】の1巻を少しめくった──。
実はこの事故も、海斗の死も…

すべては亡くなった妻が書いた予言みたいなものなんだ…



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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