第4話 「図書カード」

文字数 1,442文字

香奈は図書室の受付で本の整理をしていると突如お昼に見かけた高身長の男性が現れる──。
あの〜この本を借りたいのですが...
あっ...
香奈は彼の顔を見て呆然とする。
大丈夫ですか?
あっ...すみません...

こちらですね...

慌てて彼の持っている本を受け取り、

裏面にある図書カードに名前を書くよう言った。

これで!
3年A組...

雛川海斗...

香奈は図書カードに書いてある事に驚き、

またもや呆然とし始める...

キミは...

カカシなのか!?

ぼ〜としてるけど...

はい...?

かっ...カカシ!?

突然のセリフでつい声が裏返ってしまい変な空気になってしまう。

すると、雛川は借りた本を持って去ってしまう...

カカシって...

びっくりしただけなのに...

香奈は恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせながら本の整理を続ける──。
すると、生徒会の会議を終えた美穂が図書室に入ってきた。
香奈ちゃんー!?
あっ、美穂ちゃん!
ねぇ!

さっきの雛川さんなんじゃないの?

話した!?

うん…

まぁ、少しだけ…

何を話したの?

気になる〜

香奈は美穂の腕を掴むように泣きそうな顔で言った──。
ねぇ〜聞いてよ〜

カカシみたいだねって言われたの〜

カカシって…、笑えるね!
美穂ちゃんまでからかわないでよ〜
ゴメン、ゴメンって…

それより、早くタピオカ屋さん行こっ!

賛成〜…
香奈と美穂は図書室を後にしタピオカ屋へと向かった。
── 17:30 駅前 ──
やっぱ、ここのタピオカ屋さん美味しいね!
ほんと、中に小さなマシュマロが入ってるなんて斬新!!!
それより…

雛川さん、やっぱり先輩だった!?

うん!1つ上の先輩だったよ!

3年A組で雛川海斗って図書カードに書いていたから間違いないと思う!!

そっか〜

んで、しおりはちゃんと返したんでしょうね?

うわぁぁぁぁぁ…

わっ、忘れてた…

んも〜

ほんと、香奈ちゃんっておっちょこちょいだな〜

もしかしたら明日も図書室に来るかも…
なんでわかるの!?
図書カードの返却日に明日の日付が書いてあったから…
んじゃあ!明日こそ絶対に、しおりを返そう!!!

そして、その勢いで告白しちゃいなよ!

好きです!って…

そんな…早いよ…
ここでいかないなら、いついくのよ?

タイミングは明日しかないって…!

うん…

できたら、してみる…

できたら…だからね!!

香奈は頬を赤らめながら美穂に言った。


── 翌日 ──


ウチは今日も委員会の仕事で図書室で仕事をしている。

雛川さんが来るかもしれないというドキドキを味わいながらも、

破れかけた本のページをセロテーブでとめる──。

雛川さん来るかな〜

いくらこの人が少ない図書室でも告白なんてできないよな〜

すると──。

香奈はある方法を思いついたのだ。

そうだ!!!

直接言えないならラブレターみたいな感じで手紙を書いて渡せばいいんだ!

香奈はパソコンで雛川が読んでいる本の整理番号を検索し場所を探す──。

するとミステリーコーナーの真ん中の段にあることがわかり、

香奈は雛川が借りている本の場所まで移動した。

ミステリーの上から2段目は…

ここか…

香奈はミステリー小説が並んでいる本棚のところで雛川が借りた同じ本を取ろうとする──。
よいしょ!

これが…雛川さんが借りていた小説か〜

香奈は【四つ葉のしおり】と書いてある3巻の本を手に取り出した。
雛川さんは2巻を借りていたから、次は3巻を借りに来るはず…
香奈は【四つ葉のしおり】の3巻を開き真ん中あたりに手紙を挟み本棚へ戻した。

そして、少しの希望を抱きながら受付の席へと戻り雛川が来るのを待っている──。


つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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