第2話 「出会い」

文字数 1,345文字

香奈はそっと落ちていた物を拾った。
しおり…?


なんか渋い、しおりだね…
拾ったしおりは、白色の画用紙にあじさい柄で渋いものだった。

香奈は裏面を確認した。

雛川 海斗(ひなかわ かいと)って書いてある…

さっきの男の子の名前かな!?

絶対にそうだよ!

カッコいい名前ね…顔が見れなかったのが残念だよ〜

美穂ちゃんってば〜


でも…名前聞いたことないから、私たちのクラスじゃないね この人…

違うクラスの人か先輩なのか気になるね!

そうだね〜

どうしよう、このしおり…

香奈ちゃんが持っていればいいんじゃない?

ほら、それに図書委員になったし、きっと図書室に雛川さん来ると思うよ!

うっ…うちが!?
そうだよ!

他に誰がいんのよ…

普段読んでいる本の中に忍び込ませといたら?

んま〜そうだね。

もしかしたら会えるかもしれないしね…

"キーンコーンカーンコーン"

学校のチャイムが鳴り始めた。

ヤバイ!

早くしないと音楽の授業が始まっちゃう…

そうだね!

急ごっ!!!

2人は3階にある音楽室へと小走りで向かった。

すると、2階の階段近くの男子トイレから謎の男が現れる──。

 

現れたのは小太りの男性で、

濡れた手をお尻で拭きながら3階の方を見つめ、立ち止まる。

香奈ちゃん…


── 12:30 ──


授業が終わり昼休みの時間

香奈と美穂は教室に戻りお昼ご飯を買おうか相談している。

いや〜4時間目の体育疲れたね〜
本当だね…

久しぶりに校庭で走ったらお腹空いちゃったよ!

確かに!

そしたら1階の購買売り場でパンでも買う!?

わ〜それ、すごくいいね!

たまごサンド置いているかな〜

絶対に売っているよ!

早く買いに行かないと無くなっちゃう!

急ごう!!!

香奈と美穂は購買売り場でたまごサンドを買おうとした。

だが、席から立とうとしたら先生が教室に入ってきて美穂に話しかける──。

冴島!!!
先生…

どうしたんですか!?

ちょうど良かった!

すまんが、生徒会で体育祭について話すから少し参加してくれないか…?

わかりました!

今行きます!!!

先生は大きな声で美穂に生徒会に参加するよう話した。

美穂は香奈にすぐに戻ると伝え、教室を出て行こうとする。

ゴメンね…

香奈ちゃん、先生に呼ばれちゃって…生徒会参加してくるね!

うんうん!平気!!

なんか買ってこようか!?

そしたら私も香奈ちゃんと同じたまごサンドお願いしていい?
うん!OK!!!
ありがと〜

んじゃ、行ってくるね!

うん!

頑張って!!

ウチは1階にある購買売り場へ向かった──。

目の前にはたくさんの人がいて、とてもじゃないが買える状態ではない。

だけど早く買わないと売り切れてしまうため、勇気を振り絞り人混みの中を搔い潜った。

おばさん!

たまごサンド2つください!

はいよ!

2つで300円ね…

ウチはたまごサンドを2つ買い後ろを振り返り教室へと戻ろうとするが…

目の前に、高身長の男性がいる──。

おそらく、音楽室に向かおうとした時に見た人と同じ人。

あの人は、さっき見た人…!?
声をかけようとする香奈だが、よく見たら隣に女性の姿が…

香奈は購買売り場の人混みに負け、うっかりたまごサンドを2つ落っことしてしまう。

たまごサンドは周りの人たちが踏みつけペッチャンコになってしまった…。

隣にいる人って、もしかして彼女かな…!?
香奈は目の前の光景を見て呆然と立ち尽くす──。
つづく
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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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