第8話 「夏」

文字数 878文字

── 7月15日 教室 ──

外はほんわか夕日に染まった積乱雲があり、セミの鳴き声が聞こえる──。


16:00

ホームルームをしている。

いよいよもう少しで夏休みだ!

1ヶ月以上ある1年でもっとも長い休みの期間なんだ、しっかり勉強もしろよ!

いいな!!!

夏休みという言葉に胸を踊らせ

元気よく返事をする生徒たちの声を聞きながら、先生は去っていった。

美穂と香奈は椅子に座って話している。

香奈〜!

大丈夫!?ここ最近ずっとぼーとしているよね…

あぁ…

そんなことないよ…

そういえば、

あれから雛川先輩の話聞いていないけどどうしたの!?

香奈はそっと下を向いて、ため息をするかのように言った。
先輩か…
もぉ〜どうしたのさ!

香奈らしくないよ!!!

ウチ、先輩のこと好きでいていいのかな…
いいんだよ!

好きになっちゃいけないって誰が決めたのさ!!!

恋愛に法律なんてないよ!自由なんだよ!

もしさ、好きになった人がお兄ちゃんだったら、どうする!?
そんなの好きになっちゃったら、もう止まれないよ…

好きでい続けるよ!私は…

そっか…
すると美穂の席に金髪の男子生徒が近づいてきた。
美穂ーー!!!

今日、部活来るっしょ!?

あっ…守!!!
香奈は美穂におそるおそる誰なのか訪ねた。
美穂…

この人は、だれ…!?

おおっ!!!

桃井じゃん!!!久しぶりだな!

Aクラスだったんだ…

ええ!?

知り合いなの?

昔からのダチだな!

小学生のころ、よく泥団子作った仲だよ…!

なっ!!!

金髪男性生徒の名前は「菊場 守(きくば まもる)」吹奏楽部をしている。

香奈とは小学生の時の同級生で幼馴染。

美穂とは去年の高校1年の時一緒のクラスで部活が同じ。

ウチ…

あなたの事、覚えてない…

知らないんだけど…

なに冗談言ってんだよ!
守は香奈の肩に触れる。

だが、香奈は勢いよく大声を出して手をはらう──。

やめて!!!
おっ…
香奈…!?

どうしちゃったの…!?

ゴメン…

でも、本当に知らない…

申し訳ないけど、あなたに見覚えなんてない…

美穂と守は同様している──。
ウチ…

図書委員の仕事があるから…

じゃっ…

香奈…
香奈はカバンを持って、そっと教室を出ていくのであった──。



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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