第12話 「謎」

文字数 1,065文字

図書室にいる香奈と雛川──。

雛川は【四つ葉のしおり】の3巻を香奈に渡し図書室を後にする。

すると本棚の陰で密かに覗いている小太りの男性が香奈の方を見ている。

フッッ…
香奈は受付へと戻りPCで【四つ葉のしおり】を扱っているお店について調べている。

後を追うかのようについてきた小太りの男性は香奈がいる受付の前に立って話を始める──。

あっ、あの〜

桃井香奈さんですか?

あっ、はい…

どうされましたか?

フフッ…

初めましてですね…会えて光栄です…

あの〜?

なにか御用ですか…!?

キミ、彼氏とかいるわけ?
はい?

なんですか、突然…!

小太りの男性は少し食い気味で話しかけ少しイラついているようだ。
だから!彼氏とかいるのか聞いてるの!

ちょこちょこ話しているでしょ!男2人と…

あいつらは彼氏なの?

香奈は引きつった表情で困惑している。
えぇ…

いませんけど…

てか、正直2人とはそんな関係じゃないです!

ふぅ…

なら良かったあ!安心したよ!

これでキミは僕のものだね…!

あの〜どういうことですか?
グフッ…

嫌だな〜照れちゃって…でもそんな照れた顔もいつも見ているけど可愛いよ!

あなたは…誰ですか?
フフフッ…

もう、そんな事はどうだっていいじゃん!

それより、僕と付き合ってよ!!!

僕たち気が合うと思うんだよね…

お断りします!

第一、周りに他の生徒さんがいるなか堂々と告白するのはどうかと思いますけど…

それに…

黙れ!黙れ!!黙れーーー!!!!!!
小太りの男性は香奈の発言を聞き、奇声をあげた──。
ちょ…

静かにしてください!!!

周りの生徒さんに迷惑です!!!

うるさい!うるさい!!うるさーーーーいぃっ!!!!

僕はキミを愛しているんだ!ずっと見てきているんだよ…キミの行動を…

もっと全てを知りたいんだ!!!

もしかして、私にストーカーしてるんですか!?
いいから付き合ってくれよーーー!!!

小太りの男性は右手で香奈の左腕を掴もうと、自分の腕を上に大きく振りかぶった。
そのとき、誰かが後ろから小太りの男性の腕を掴んだ──。

あの!!!

静かにしていただけませんか…

せっ、先輩…
誰だ?お前…
それはこっちから言うセリフではなくて?
ったく、生意気な…
小太りの男性は図書委員長の雫に殴りかかろうとする。
僕に逆らう人物なんてクソだーーー!!!
雫は勢いよく小太り男性の動きを封じ込めた。
イテテテッ!!!
図書室はねぇ、神聖な場所なの!!

生徒が一番本を集中して読める場所なのよ!

そんなことも知らないんですね…

さっ、さすが先輩です…
こう見えて、空手をやってるんだからね!
小さな小太りは走って去ってしまった──。



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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