第5話 「告白」

文字数 1,204文字

香奈は図書室でいつも通り本の整理をしている。

すると──。

これ…

借りたいんですけど…

受付の前に雛川が現れた。

慌てて香奈は周りを見渡し手に持っていたセロテープを置き本を受け取る。

【四つ葉のしおり】 だ…
今日はカカシになっていないんだね…
へっ…?
だって今日は、"ぼーっと"していないから…
あっ、そうですね…

それより、その本面白いんですか?

あぁ、これ…
雛川は四つ葉のしおりの3巻の表紙を見ながら右手で本を撫でる──。
これは俺にとって大事な本だから…
そう…、なんですね…。

いつまで借りますか?

んじゃ、明日返すよ!
雛川は裏面にある図書カードの返却日に明日の日付を記入し図書室を後にした──。
── 翌日 ──
お昼が過ぎ数学の授業が始まっている。

美穂はスマホを取り出しメモ機能でメッセージを残し、香奈にスマホを渡した。

"んで、告白はしたの?"
スマホを受け取った香奈は困った表情をするも先生の方を見て、

すかさずメモ機能にメッセージを入力し美穂の肩を2回叩いたあとスマホを渡した。

"まだ…"
美穂はスマホを受け取り、驚いた表情でスマホを顔に近づけ小さい声で独り言を言った。
えー、まだしてないの!?
そこ!!!

なにをしている!?

独り言に気が付いた先生は美穂の近くへ向かった──。
げっ…
美穂…お前か!?

スマホ見て独り言を言っていたのは…

すっ、すみません…
ったく、しっかりしろよ!

生徒会なんだから…

次なんかしたら生徒会長に言っとくからな…

会長にだけは言わないでください!!!
なら、しっかりと授業を聞いとけ!
先生は美穂に注意したあと教卓へと戻った。

美穂は後ろを振り向き香奈に謝った──。

── 16:30 屋上 ──
香奈は本を読みながら屋上にあるベンチに座っている。

すると雛川が【四つ葉のしおり】3巻を手に持った状態でやってきた。

やっぱ、君だったか…
香奈はそっと立ち上がり雛川の方へ近づく──。
はい!

私です!!!

手紙、読んでくれたんですね…

香奈が【四つ葉のしおり】3巻に挟んだ手紙とは…

"放課後、16:30に屋上に来てください。"と一言書かれた紙だった。

んで、どうしたの!?
雛川さん…
ウチ…今、ヤバいかも…

心臓が張り裂けそうなくらい緊張している…

ここで伝えていいんだよね…

今しかないんだよね…

香奈は自問自答している。

美穂が言っていた、

"ここでいかないなら、いついくのよ?タイミングは明日しかないって…!"

と言う言葉を思い出しけじめをつけた──。

私、雛川さんの事が好きです!!!

付き合ってください!

ゴメン…

俺は、君と付き合うことはできない…

香奈は雛川の言葉を聞き、泣くのを我慢しながら走って屋上を後にした。

【四つ葉のしおり】3巻を眺める雛川──。

そして香奈がベンチに置き忘れた本を見つけ手に取る。

すると、しおりが挟んでいるのに気がつき雛川はそのページを開く。

このしおり…
そこには、白色の紙に四つ葉のクローバーで作られたしおりがあった──。



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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