第3話 「接近」

文字数 1,393文字

香奈はペチャンコになった、たまごサンドを手に取り教室へ戻っていった──。
── 教室 ──
あの隣にいた女性の人って誰だったんだろ…
香奈は自分の席に戻って、たまごサンドを食べながらボソボソと独り言を言う。

すると生徒会終わりの美穂の姿が──。

ゴメン!香奈ちゃん!!!
あぁ…

美穂ちゃん…。

どうしたの?

元気なくない!?

もしかして、たまごサンド苦手だった…?

うんうん…

そんな事ないよ…

そっか…。

なら良かった!!

はい、これ!

たまごサンド買ってきたよ!

ちょっとペチャンコになっちゃったけど、ゴメンね…

香奈はペチャンコになった、たまごサンドを美穂に渡した。
ありがとう!!!
香奈はたまごサンドを食べるのをやめ、俯き加減で美穂に話す──。
美穂ちゃん…
んん!?

どうした…?

うち…
こんな気持ちは初めてで、他の人に相談するなんて勇気がいる…

けど、いつかこの想いを誰かと共有しないと始まらない。

なぜなら…

好きな人ができたかも…。
えぇーーーーーー!!!!!!
人に共有することで恋は実から──。

だから、話した。

こんな気持ちになったのは初めてだ──。

えっ…ちょっ…

一体、誰なの!?

それは…
ほらっ!!!

もったいぶらないで言ってよ〜

しおりを落とした、あの人…
しおりって…

まさか、雛川さん!?

うん…

好きとかそういうのじゃなく…

なんか気になるっていうか、近い距離を感じるっていうか…

それはまさに…恋をしたね。

香奈ちゃん!!

恋!?
話したこともない人を好きになるなんて、そうそうない事だよ!!!

応援するよ!!!生徒会として!!!

でも、雛川さん…

もしかしたら彼女がいるかもしれないんだよね…

彼女…!?
今日、購買売り場でたまごサンドを買った時に目撃したんだよね…

女の人と歩いているところ…

んまぁ〜

イケメンだし、高身長だしモテるんだろうね〜

羨ましいよ…

あの〜
香奈と美穂が話している中、謎の小太りの男の姿が現れる…
これ、落としましたよ…
謎の小太りの男は香奈に「雛川海斗」と書いてある、あじさい柄のしおりを渡した──。
あっ…すみません。

ありがとうございます…

あれ〜、それ雛川さんのしおりだよね!?

なんで持っているんですか?

僕も購買売り場で、たまごサンドを買っていた時に見つけたんですよ…
あぁ〜あの時…

人混みが凄かったから、その時に落としちゃったんだ…

では…僕はこれで…

失礼します。

謎の小太りの男は香奈にしおりを渡し、去っていった──。
わざわざ届けに来てくれるなんて…

優しいね、あの人…。

そう…!?

私はなんか嫌なにおいがプンプンするけどね…

んも〜美穂ちゃんってば!!
これも、生徒会の勘ってやつですよ!!!
── 16:30 ──
放課後──。

教室でたわいもない会話をする香奈と美穂。

そうだ!!

この後って用事ある?

ん〜

私は今日、図書室に行って委員会の仕事かな…

そっか…

私も生徒会の仕事があるから委員会の仕事終わったら一緒に帰らない!?

駅前に新しくタピオカ屋さんができたの!!!

いいね〜!!!

タピオカ飲みたい!!!

決まり!!!

そしたら生徒会の集まり終わったら図書室に行くね!

うん!!!
── 17:00 ──
香奈は図書室の受付で本の整理をしている──。
この本ボロボロだな〜

セロテープでとめるしかないか…

香奈はボロボロになった本の整理をしている。

すると──。

1人の男性がやってきて香奈にそっと声をかける──。

すみません…

この本の貸し出しをお願いします…


つづく
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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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