第6話 「秘密」

文字数 1,509文字

香奈は雛川に告白をしたが振られた──。

泣くのを我慢しながら屋上を去った香奈は廊下を走る。

もう、最悪…
すると1人の男性とぶつかる──。
あっ…ごめんなさい…
おっ、すまん…
香奈は下を向いた状態で金髪の男子生徒とぶつかった。

だが、香奈は顔も見ないで廊下をあとにした──。

んん…?

桃井…!?

すると吹奏楽部をしている美穂は顧問の先生と話したあとに音楽室から出てきた。
お待たせ…

んん…守? どうした!?

あぁ…いや、なんでも…

帰るとするか…

── 17:00 図書室 ──
香奈は図書室の受付の席で泣いている──。

すると香奈の後ろから図書委員長の「荒川 雫(あらかわ しずく)」先輩がやってきた。

荒川先輩はそっと香奈の背中をさすった。

大丈夫…!?
先輩…
香奈は荒川先輩の方を振り向き目を潤わせながら言った。
その様子だとなにかあったのね…?

わたくしでよければ、相談に乗るけど…

振られました…
荒川先輩は香奈が座る席の隣に座り本の整理をしながら相談に乗った。
そう…

撃沈ってわけね…

同じクラスの子!?

いいえ…

1つ上の先輩です…

あらっ…3年のクラスの子…?

こんな可愛い子を振った男って誰かしら…

雛川海斗って名前なんですけど…

ご存知ですか…!?

海斗!!!!!????
先輩…

声が大きいですって!!!

荒川先輩は図書室全体に響き渡る大きな声で叫びながら雛川の名前を口にした──。
海斗って…

あの…、無口で、愛想悪くて、地味に身長が高い、あの海斗…!?

そうです…

ご存知だったんですね…

知ってるも何も、わたくしも…あの海斗に振られたのよ…
ええっ!?

先輩も…?

一昨日ね…

昼休みの時間に海斗が購買でパンを買ってたから声をかけたの…

放課後に多目的室に来てくださいって…

〜〜〜2日前 17:00 多目的室〜〜〜
海斗…

ごめんね、急に呼びだしたりして…

あぁ…

どうした!?

実は…海斗の事が好きなの!!!

わたくしと…付き合ってほしい…

ゴメン…
へっ…

どうして…

俺には…

”どうしても守らないといけないやつがいるんだ…”

それに、俺と付き合うのはやめたほうがいい…

きっと、大切な思い出を忘れてしまうことになるから…

だから…ゴメンな…

〜〜〜〜〜〜 現在 〜〜〜〜〜〜
なにか、秘密を抱えていた感じがした…

振られちゃったけど好きなのには変わりはないから…

これ以上深く聞くことはやめにしたの…

そうだったんですね…

(”購買売り場で見た雛川さんの隣にいた女性って荒川先輩だったんだ…”)

それに…

なんか海斗、少し目の奥で泣いていた気がした…

ウチ…

なんかなっとくいかない…

香奈ちゃん…?
先輩!!!

ごめんなさい…今日の受付の仕事、任せちゃっていいですか!?

うん!!!

ここはいいから、行ってきな!

なぜ雛川は振ったのか気になる香奈は、荒川先輩に受付の仕事を引き継いでもらい図書室を後にした。

学校中を走り巡る香奈は自分のクラスを覗いたり、

音楽室を覗いたり、屋上に戻ったりとありとあらゆる所を探した──。

── 17:30 昇降口 ──
外は雨が振っている──。

すると雛川は昇降口を出ようとしていた。

香奈は大声で雛川の名前を言い、呼び止める──。

雛川さん!!!
雛川はそっと立ち止まり香奈の方へと振り向く。

香奈は、ゆっくりと雛川に近づいた──。

今日は…図書室こないんですね…

借りている本、延長するときは言ってくださいね!

あぁ…

ゴメン…もう少し借りるわ…

はい…

それに…私はやっぱり先輩の事が好きです!!!

だから…俺は…
秘密…!!!

秘密があるんですよね…なんなんですか…?

知りたいか…

言いたくはなかったんだが…

はい…
雛川は香奈に近づき耳元で小さな声で話した──。
俺は…

この本から飛び出してきた…


妹である、お前を助けに…



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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