第11話 「消える」

文字数 817文字

── 現在 ──
7月15日 16:30

図書室にいる香奈は本棚の前で本の整理をしている。

すると、カバンを持った守が扉をそっと開け香奈の元へやってくる──。

桃井…

さっきは悪かったな…

あなたは、教室にいた…
記憶…

まだ戻ってないんだな…

何のこと?

さっきから、意味不明なんだけど!

俺と桃井は昔っからの幼馴染なんだよ!

小学校の時、一緒に砂遊びしたの覚えてないのか?

覚えてない…
そっか…

実は、信じられない話なんだけど…

昔に桃井は事故にあっているんだ…

事故?

もしかして小学生の時…!?

あぁ…

そうだ!

それなら、前にお父さんから教えてもらった!

もしかして…その事故で記憶が無くなったの?

まぁ…

そうだな!

すると、図書室に雛川がやってきた──。

雛川は香奈と守がいる本棚に来て、守が驚いた表情でいる。

あっ…

あなたは…もしかして…

これ、返すわ!
雛川は香奈に【四つ葉のしおり】3巻を渡した。
もういいんですか?

読むの早いですね…

いやっ…

最後まで読めなかった…

ねぇ!!!

ちょっと待って!!!

どうしたの?

大声出しちゃって!!

その本って…
この本がどうしたの!?

あなたも読みたいの?

いやっ…

なっ、なんでもない…

守は【四つ葉のしおり】3巻を見て慌てた表情でいる。

その様子を雛川がじっくりと見つめている──。

……。
そうだ!!!

俺、この後…吹奏楽部の練習があるんだった!

じゃな!!!

うっ、うん…
守は小走りで図書室を後にした──。
んで、そういえば…

この本もういいんですか!?

あぁ…それなんだけど…

最後らへんのページが無いんだよな…

香奈は後ろから本をめくる。
ほんとだ…

10ページぐらい無くなってる…

直そうにも無理だもんな…
もしかしたら落ちたりしたのかな…!?
まぁ…

見つかったらまた教えてくれよ!

この本、3巻までしか無いからさ…続きが気になって!

わっ…

わかりました…

雛川はそう言って、図書室を後にする──。

すると本棚の陰で密かに覗いている小太りの男性が香奈の方を見ている。

フッッ…



つづく

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登場人物紹介

本が大好きで不器用な性格の高校二年生「桃井 香奈(ももい かな)」

突如、図書委員に任命される。

図書室でミステリー小説を毎回借りにくる先輩「雛川 海斗(ひなかわ かいと)」

おとなしい性格で真面目だ。

彼には『とある秘密』がある──。

去年の冬に転校してきた女の子「冴島 美穂(さえじま みほ)」 

今年、桃井香奈と同じクラスになり生徒会をしている。

好奇心旺盛でちょっぴり天然な子

桃井香奈と同じクラスで担任の先生をしている。

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