第26話 (休題)テレビ番組 オーソドックスより抜粋 有希初出演

文字数 16,135文字

テレビ番組オーソドックス第十、十一、十二回より抜粋。

前回の第八、九回と二週連続して、『文学』をテーマに小説家の川島勲をゲストに放送されたのだが、今回からは以前にladies dayにて、本人から直接”告白”された通り、澤村有希をアシスタントに迎えて新たにスタートする事となり、その記念的放送回だ。
初顔見せという事で、今回はゲストは呼ばずに義一と有希の二人での番組構成となっていた。
…あ、後もう一つ、有希が加わるのと同時に、番組のセットにも微細ながら変化が起こっていたのだが…それは本編で触れるので、あとのお楽しみだ。

さて、番組自体は、義一と有希の二人だけという括りでは、三週連続のシリーズとなっていた。
第一週は、これといったテーマを決めずに雑談風の大まかな話、第二週は、義一が良いタイミングと思ったのか、二、三ヶ月前に出版した、山鹿素行や伊藤仁斎から始まる江戸時代に興った『古学』『国学』の学者達の思想なり、その人の人生を分かりやすく紹介したガイドブック的な内容である『二十一世紀の新論』に引っ掛けた話、そして第三週は、やはり現在進行形で国会や世間のワイドショーなりで議論が交わされているFTAと、それに加えて一番の新著である『国力経済論』と『貨幣について』の簡単な解説に終始していた。
本編では、『二十一世紀の新論』や『国力経済論』、『貨幣について』の大まかな中身は紹介してきたし、それと被る点が多くあったので、それは除けつつ、その他の真新しい部分だけ選んで抜粋し、有希の初出演だというので折角だと触れてみようと思う。



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いつも通りに番組のタイトル画面が現れるのと同時に、ドビュッシーが流れたかと思うと、その画面が徐々に薄れていくのと変わって浮かび上がる様に有希が登場した。
私が知る普段の有希は、真ん中分けの私よりも長いロングヘアーをしていたのだが、真ん中分けはそのままでも髪を後ろの方でアップに纏めているらしく、正面から見るとスッキリとした印象になっていた。
服装も、ノースリーブとまではいかないまでも、引き締まった二の腕が大きく露わとなっている点では色気がありつつ、しかし濃いめの紺色をしたシンプルなワンピースを身に付けていて、普段は活発そうなキャラに合った動き易そうな私服ばかり見ていたのもあって、新鮮に思えたのと同時に、とても似合っていると素直な感想を覚えた。

背景は相変わらず眩しいほどに真っ白の一色だったが、その中で、有希は程よい笑みを浮かべつつ口を開いた。

有希「これから…ふふ、望月義一”せ・ん・せ・い”のお相手をさせて頂く事となりました、澤村有希と言います。よろしくお願いします」
と有希は思わずといった調子で吹き出しながら発言した後で、一度その場で座ったまま大きくお辞儀をして見せた。
「いやぁ…参ったなぁ」とその直後、画面の外から聞き覚えのあり過ぎる苦笑混じりの声が聞こえてきた。
と、私と同じ様に気付いたらしい有希が、途端にニヤケ顔を横に向けたかと思うと、画面は変わって、そこには義一と有希が同じカットに入る構図となっていた。
義一はいつも通りというか、長髪は頭の後ろで緩く纏めるのみで、最近はメガネ姿を見るのが通常となっていたのだが、実はテレビの時は外しており、ジャケットは羽織っていたが全体的にカジュアルな印象を与える格好をして座っているのが常だった。
だが、そんな一瞬では通常通りに見えるスタジオのセットだったのだが、実はすぐに大きな変化がもたらされているのに私は気付いていた。というのは、その義一のすぐ後ろには、ここでは初見だが、ある意味見慣れているものがそこに置かれていたのだ。
…そう、これこそが有希が加わるのと同時に現れた変化なのだが、そこにあったのは、義一の家、つまりは宝箱に今年から設置され始めたホワイトボードと同じ種類の物だった。
先にネタバラシと言うか触れてしまうと、番組内では具体的に一切これ以降も触れられないのだが、明らかに番組のコンセプトとしては、今さっき有希が『望月義一”先生”』と悪戯っぽく言った様に、これからは講義形式も取り入れつついこうという方針だというのが、ありありと見えていた。

んー…ふふ、この放送を見てすぐに、私からそんな感想を意地悪げに話すと、
「いやぁ…まぁ、そう見えちゃうよねぇ…。ふふ、僕のあの番組は、オーソドックスに集っておられる先生方を中心にゲストに呼ぶわけだし、教わる事ばかりだというのに、とてもじゃないけれど僕が講師、講義なんか出来るわけがないって断ったんだけれども…ねぇ。まぁ…うん、そうなっちゃったんだ」
と苦笑混じりに答えてくれた。
この様に謙遜してくるのは分かっていたので、その”らしい”反応に思わず私も微笑みを零してしまったのは言うまでもない。

それはさておき、有希一人と番組が再スタートしたわけだが、これまた先回りして触れさせて頂くと、結局このホワイトボードはどんな使われ方をする事となるかと言うと、義一のメモ帳代わりとなっていた。
…うん、人によっては興味が無い、いや、むしろ興味が無い人というか視聴者の方が多いだろうが、しかしこれは私の贔屓目がある事を自覚した上で言わせて貰えれば、こうして現代日本においても間違いなく類稀ない”理性的な人間”である義一が、どの様に論を纏めて組み立ててるのか、そのホワイトボードに書き殴られるメモから、その一端が知れるので、私はそれだけでも有意義ではないかと思っている。
というのも、私自身も何かにつけてメモをする習慣が身に付いた”メモ魔”となって久しいのだが、そのきっかけは勿論、小学五年生の夏から今までずっと宝箱にて一緒に過ごしていく中で、目の前で義一が議論の最中にメモを付けているのが目に止まり、それを真似した結果だった。
これは今だに毎度の如く同じ感想を持つのだが、義一が付けているメモをチラッと覗くと、そこに書かれた雑多な文字群から、どれだけその頭の中で思考が深く編み出されているのか、繰り返しになるがその一端が見える様で、本人はあまりジロジロ見ると恥ずかしがってしまうのだが、それでも、それを眺めるだけでも義一の思考体系に近づける様な気が普段からしていたのもあり、同じ結論だが、そのメモがホワイトボードという大きな所で書かれて、それが視聴者の目に入るというのは、とても良い事だと個人的には思っていた。
…ふふ、身内贔屓も甚だしいので、これくらいにして本編へと入るとしよう。



義一「有希さん…ふふ、あまり揶揄わないでくれよ」

有希「あはは。えー…さて、早速番組へと入っていきたいと思います。えぇっと…はい、今回のテーマは…『知識人の裏切り』というものです。なんかちょっと…ふふ、いきなりパンチの効いたというか、おどろおどろしいテーマですが」

義一「あはは、そうですね。…って、これを僕が言うのは変なんだけれど、別にゲストの先生たち相手はともかく、僕に対しては、普段通りで一向に構わないんだよ?」

有希「い、いやぁ、そうは言われてもねぇ…ふふ、私もそんなにテレビには出ないけど、それでも中々プライベートの様に話すってのは難しいよ」

義一「あはは、きちんと出来ているじゃないか」

有希「あ…あはは、まぁ、うん…ならいっか」

義一「ふふふ。…って、こんな公共の電波を使って、私たちの馴れ合いを見せても仕方がないから話を戻すと…うん、この『知識人の裏切り』というのは、今から…そう、七、八十年くらい前、1920年代にフランスで哲学者で小説家だったジュリアン・バンダって人がいて、まぁユダヤ人なんだけれど、生命の進化を推し進める根源的な力、”élan vital”(エラン・ヴィタール)『生命の飛躍(生の飛躍)』って言葉で有名なアンリ・ベルクソンと当時争っていたんだけれど、それはともかく、『知識人の裏切り』というのは、バンダが実際に出した本のタイトルなんだ」

有希「へぇー」

義一「”La trahison des clercs”とフランス語では言うと思うんだけれど、要はね、この世を悪くしているのは知識人の背信行為だと、曲学阿世の輩が世に蔓延って、彼らの声が大きいせいで世の中がおかしな方向に向かっているじゃないかと、とまぁそう熱烈に書き表されたのが、今触れた『知識人の裏切り』って本なんだ」

有希「んー」

義一「まぁ…ふふ、有希さんと初めての放送回というので、どんなテーマから始めようかなって思ったんだけれど、迷った挙句にね?…ふふ、なら何で僕がこうして言論活動を始める様になったのか、その一端でも簡単に自己紹介代わりに出来るテーマの方が良いだろうって考えて、ちょうど思い出したのがバンダの本だったんだ」

有希「なるほどねぇ…ふふ、義一くんは、その背信行為を続けているエセ知識人、曲学阿世の輩を撲滅するために立ち上がったと」

義一「あはは、まぁ…出来れば良いなぁ…てね」

とここでオープニングトークは終わり、一旦また番組のオープニングが流れた。


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義一「昔から僕はね、いわゆる世間で知識人だと知られている人たちの大多数のね、エコロジー、その生態が気になって仕方がなくてね」

有希「あー…うん、それこそ私はド素人だし、単純な事しか言えないけれど、義一君が今言ったのは、いわゆるワイドショーに出てくる様な学者先生達の事だよね?」

義一「ふふ、そうそう」

有希「だとしたら、私にすらその意味は分かるなぁ…。何て言うのかな、これは私の事を知らない人が視聴者の皆さんでは大多数だと思うから、今改めて自己紹介がてらに話させて貰うと、私は一応女優をしていて、舞台をメインに活動してるんだけれど、その職業病もさることながら、昔から…ふふ、義一くんと共通の友人である、とある女の子の影響もあって、昔からよく昔の戯曲を読んだりしていてね」

…ふふ、とある同じ演劇部の先輩後輩だった女の子ね

義一「んー…ふふふ」

有希「だからまぁ、自分で言うのは恥ずかしいけど、普通の人よりかは言葉には敏感な方だと思ってるのね?この言い方がもしかしたら、視聴者から反感買うかも知れないけれど」

義一「あはは、どうぞ続けて」

有希「ふふ、うん、ありがとう。でね、何が言いたかったのかと言うとね?んー…うん、一口で言ってしまえば、テレビに出てくるコメンテーターって先生たちの言葉が、あまりにも軽い…うん、何だか体重がかかってない気がするのよ」

義一「あー」

あー…そうね

義一「なるほど」

有希「自分で本当に分かってて言ってるのかって、たまにテレビ見て聞くと、そんな風にいつも感じるのよ」

義一「うんうん、僕なりに言い直すと、認識とその人の人生、生活が繋がってないと、今有希さんが言った様に、その人が話す言葉に体重がかからないって、そういうことなんだろうねぇ」

有希「そうそう」

うんうん


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義一「僕は昔から…うん、大体物心がつく、そうだなぁ…小学校に入るかくらいの時からね、なんかそういったテレビに出てくる知識人と称する人の薄っぺらさが気になって仕方がなかったんだ」

有希「小学校に入るくらいから?…ふふ、それは義一くん、あまりにも感性が鋭すぎると言うか、早熟し過ぎっていうか何て言うか…」

あははは

義一「あ、あはは、いやぁ…いや、それはともかくね、何でそんなに薄っぺらだと感じたかと言うと、彼らはその時には世の中に起こっている一つの事象を、さも訳知り顔で滔々と話すんだけれど、それがすぐに間違った認識だとバレる訳だよ。でもね、彼らは当然『今まで話していた事は間違っていました。すみませんでした』って謝るならまだしも、開き直ってるのかどうかは知らないけれども、何だかそんな事を話した事すら”無かった”事にして、また違う事象について話していたんだ」

有希「あ、あー…うんうん、いるなぁーそういう人。テレビのコメンテーターに限らず」

うんうん

有希「確かに、そんな人は薄っぺらく感じるよね」

義一「ふふ、うん。まぁ理想を言えば、『間違った事を公共の電波を使って言いふらしてしまってごめんなさい』と謝るのが理想だけれど、でもまぁ人間は誰しもが自分の過ちを認める程には強くないから、そこはまぁ仕方ないと見逃すとしてもね?普通の感覚からしたら、大きく間違って赤っ恥をかいたのだから、んー…うん、少なくとも僕だったら、もう恥ずかしくて公衆の面前に顔を出す様な真似は出来ないんだけれど、繰り返し言えば、テレビに出る様な彼ら自称知識人たちというのは、厚顔無恥にも平気で顔を曝け出して自説を言えるんだよ」

有希「厚顔無恥…うん、まさにその通りね」


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義一「さっき有希さんが良い事を話してくれて、今の知識人…まぁ、知識人に限らないけれど、言葉を大事にしないと。僕たちが他の動物のように本能の部分がしっかりしていて、その赴くがままに生きていけるならそれでも良いのかも知れないけれど、でも、これはとある精神心理学者が言ったように、僕ら人間というのは本能が、無くなったとは言わないまでも少なくとも壊れた存在で、その状態のままでは絶滅してしまうから、その壊れた部分を埋めるために、補うために理性を発達させたり、コミュニケーションを取るために言語を作ったりした訳だけれど」

有希「あー、うんうん、なるほど」

義一「だから僕たちは、勿論言葉だって不完全な人間が作ったものだし、本能の代わりになる程の代物か疑わしく、実際にありとあらゆる事を言葉にするのは、なかなかに難しいのは難しいんだけれど、有史以来…いや、それ以前から、種として滅びないために、人類は言葉を作り出し編み出していって、それで何とか群れとしての繋がりを保ってきた訳。でもそれを近代に入ってから、特に日本で顕著だけれど、あまりにも言葉を軽視し過ぎる点が目についてねぇ…。
勿論、その近代に生きている僕自身だって、言葉遣いは滅茶苦茶なんだと自覚しているんだけれど、自分なりにキチンとそう自覚してるつもりだから、なるべく間違った言葉を使わないようにしようと、まぁそんな風に思っているものだから、尚更そんな自覚すら無い知識人たちの言葉が気になって仕方がないんだ」


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義一「これは何度かこの番組内で話してるんだけれど、僕や、僕が私淑している神谷先生なり、雑誌オーソドックスに集う面々が共通している中の一つにね、”Specialist”、いわゆる専門家というのが嫌いだと言うのがあるんだ」

有希「ふーん、それはまた何で?」

義一「うん、というのもね、例を挙げればキリが無いけれど、テレビに出てくる先生呼びされるようなコメンテーターというのは、総じて何かしらの肩書き、つまりは専門家として出てきてるんだけれど…”Specialist”」

と義一はここで初めてホワイトボードに板書を始めた。そこには言葉通りに”Specialist”が書かれている。

義一「まぁスペシャリストはこう英語で書く訳だけれど、この初めの部分、”Spec”…これは『見る』って意味なんだよ」

有希「『見る』…」

と有希も自然と、板書をメモしながら呟いたのを見て、まるで普段の宝箱での自分を見ているようで、自分もメモを取りつつも小さく笑みを零してしまった。

義一「うん。この『見る」というのが曲者でね?んー…ふふ、この場には有希さん、あなたしかいないから、あなたを例にさせて貰うとね?あなたの顔立ちはパーツがはっきりとしていて、それぞれが魅力的なんだけれど…」

有希「へ?…あ、あはは、もーう義一くんったら…急に何を口説いているのー?」

と最後の方は冗談ぽく返していたが、聞いた直後は素で照れてるように見えたのは…ふふ、気のせいという事にしておこう。
この放送を見て、『この天然たらしが…』と、モニター前で愚痴っぽく呟く絵里の姿も容易に想像出来たあまりに、またしても笑みを零してしまった。
義一はここで初めて、何を突っ込まれたのか分かったらしく、アタフタとしながらも話を続けた。

義一「あ、いやいや、そういう意味じゃなく…ふふ、参ったなぁ。まぁ話を続けると、例えばその中でも、あなたのそのパッチリとした目がその専門家の目に止まったとするとね?澤村有希を見た専門家はどんな風に論文とかに纏めて発表をするかというと、こうなるんだ。『澤村有希という人間の女は、目のような存在である』とね」

あー…ふふふ

有希「えぇー…困るねそれは。『あなたは目のような存在です』って言われても」

義一「ふふ、だよね?確かに有希さんの目が魅力的だから目に止まるというのは分かるとしても…」

有希「だ、だから義一くん、それ…やめてってばぁ」

義一「あ、あー…ふふ、ごめん。まぁ話を続けると、確かに構成する部分の一つではあるんだけれど、専門家の駄目なところは、自分が専門的な見地から見た一部分だけを、
それを拡大解釈して、さもそれが対象を構成する全てかのように言いふらす事なんだ」

有希「あー、なるほどねぇ…うん、一つのことに限定されて、お前はこんな奴だって言われると、困るというかカチンとくるよね」

うんうん

義一「だよね?だからといって、色んな専門家…例えば目の専門家、鼻の専門家、口の専門家、輪郭の専門家、髪型の専門家、メイクの専門家などなど、皆の情報をただ集めても、その人の顔にはならないんだよ」

有希「え?んー…あ、なるほど、正月にする福笑いみたいだって、そう言いたいんだね?」

あー、なるほど

義一「ふふ、良い例えを言ってくれたね。そう、目が顔のどの位置についているのか、鼻がどうとか、ただパーツを持ってきただけでは、その人の顔の形は分からない訳だよね?
…そう、ここで重要になってくるのは、せっかく福笑いという例を出してくれたし、そのまま使わせて貰えば、それぞれのパーツを使って、有希さんと全く同じ造形にしようとしたら、何が必要だと思う?」

有希「え?それは勿論…うん、一番簡単なのは、私本人がそこにいるか、いなければ写真を用意して、それを手本にして組み立てていく…って事かなぁ」

義一「あはは、うん、ありがとう。そう、まさにその通りで、要はパーツだけを見るんじゃなくて、その対象全体を見なければ、到底近づける訳が無いんだよ」

あー…そっか、そういう事を言いたかったのね

義一「だからまぁ…ふふ、これはテレビで言うようなセリフじゃないんだろうけれど、カットされると思って言ってしまえば、昔から言われてる言葉があるでしょ?『専門バカ』ってやつ」

ふふふ

有希「あはは、うんうん、よく聞くやつね。専門の知識はあるんだろうけど、それ以外何も分からないから、それをからかう言葉みたいな、そんなやつでしょ?」

義一「ふふ、そうそう。でもね、僕も昔はその程度だろうと思っていたんだけれど、ここ十年くらいの短い期間を取っても、専門家と称する連中の右往左往ぶりが甚だしい訳だよ。自分の専門に限った場合ですらね?それを見ているとね、こうからかいたくなるんだ。専門バカというよりも、専門”も”バカだってね」

あはは

有希「あはは、なるほどねぇ…うん、こんな風にすぐに同意するのは何だけど、今までの話を聞いてると、その方が正しい気がするよ」

義一「あはは、賛成してくれてありがとう。…って、ふふ、あまり編集するのに煩わせてはいけないから、冗談はこのくらいにして…」

ふふ、思いっきり使われてるけれど

義一「ここで話を本筋に戻すと、それは社会についてアレコレと考える時も大事な態度で、経済面だけを見たり、政治面だけを見たりとか、そんな偏った見方ばかりしてても、見本のない福笑いと同じように、いつまで経ってもただの空想の中で議論をしているようなもので、全く無意味に終わってしまうんだけれど、要はここで必要なのは、実際に社会全体を見渡していながら、彼ら専門人の意見を纏めて実際に福笑いを組み立てていく人材なんだ」

有希「うん、そうなるね」

義一「ふふ、同意ありがとう。で、僕らというか雑誌オーソドックス全体としての立場というか、自己紹介の終わりになるんだけれど、僕らが世の中に増やしたいと、少なくとも微力ながらそれに貢献したいと思っているのは、スペシャリスト、専門人を増やす事じゃなくて、物事を全体的に、大局的に見極めることが出来て、専門家の意見を纏めて進んでいくべき方向性を見定めることの出来る人…そんな人のことを、僕らはスペシャリストの反対語として”ジェネラリスト”と呼んでいて、そんな人達のことなんだ」

うんうん

有希「ジェネラリストかぁ…うん、なるほどなぁ…ふふ、一応私も、百合子さん…って、別に名前を出しても良いのよね?あはは、百合子さんに最初は紹介されて雑誌を読み始めて以来、今の話もそれなりに自分でわかったつもりで、同時に納得というか、私も同じ意見だって感じだったんだけど…うん、今改めて、編集長様から直々に教えてもらったおかげで、余計にすんなりと腑に落ちた思いだよ」

義一「あ、そ、そう…かい?…ふふふ、それは良かった」

ふふふ


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義一「えぇっと…ふふ、これは番組のプロデューサーからの指示だと、そう前にズルくも言い訳させて貰ってから言わせて貰うと、せっかく女性アシスタントである有希さんと二人っきりで番組をするというので、いわゆる”女性論”をしてくれって要望があったので、その…ふふ、とてもやりづらい事この上ないんだけど、良い…かな?」

有希「あはは。はいはい、どうぞどうぞ」

ふふふ。…女性論かぁ

義一「ふふ、有希さんが心の広い女性で助かったよ。それじゃあ、まぁイントロダクションとして…うん、ここ数年言われている”女性活用”について話をしてみようか」

あー…ふふ、あの時は本当に軽くだったけれど、数奇屋で神谷さんに質問されて以来の話題だなぁ

義一「まず取っ掛かりとして…僕らの作法として、”女”とはそもそも何なのか、それについて触れてみようかな」

義一はここで実際にホワイトボードに”女”と漢字で一文字書いた。

義一「オンナは漢字だとこう書く訳だけれど、これはどうしてこう書いて女としたのか、聞いた事はある?」

有希「い、いやぁ…ふふ、考えた事ないなぁ」

んー…そういえば、私もないわ

そう、この話自体は、私としても初見だった。これまで数多くの議題で義一と議論を楽しんできたというのに、いわゆる『女性とは?』については、した事が無かったのだ。

義一「ふふ、まぁこんな事にいちいち興味を持って調べるのは、僕みたいな暇を持て余している変わり者だけだよねぇ…あはは、じゃあ代わりというか、英語だと女はWomanだけれど、この語源から言うとね?以前は”womb-man”、womb…つまりは子宮を持つ人というのが語源だと巷間に流布されていた気もあったんだけれど、実際はもっと単純で、古記英語のwifmannがwomanの由来らしいんだ」

義一はスペルをそのままホワイトボードに板書をする。

義一「これは現代語風に書き換えてみるとwife man、つまり直訳すると『妻となる側の人』であったり『主婦人』となる訳だね。とまぁ、これが英語圏というか、欧州の人が考えた女性像なんだ」

有希「へぇー」

へぇー

義一「さて、東洋というか漢字圏ではどのように考えていたか。これはもっと単純というか、『女』という漢字は象形でね。つまり見た姿を漢字にしてみたって感じなんだけれど、ナヨナヨとした体つきの女性を描いたものなんだ」
有希「ふーん…そう見えるような、見えないような…」

ふふふ

義一「ふふ、まぁあくまで話の始めとして触れてみただけだから、取り敢えずそんな由来があるんだという確認程度に留めて貰って…さて、また話を”女性活用”に戻すとしよう。有希さん…あなたは女性として、”女性活用”だなんて聞いて、どんな印象を持つかな?」

有希「そうねぇ…何というか『使われてる』って感じがするわ。道具か何かかなって」

うんうん。…ふふ、神谷先生に同じ質問をされた時に、私が答えたのと同じだわ。まぁ…普通の良識あるというか、女だったらそう答えると思うけれどね

義一「ふふ、まぁそうなるよね。和英辞典を引けば、『活用』は”use”、または”utilize”となるんだけれど、”ユーティリティー”って言えば、今は家庭の主婦でも馴染みのある単語だよね」

有希「あー、道具とかそんな感じでしょ?」

義一「ふふ、そうそう。まぁ便利な道具って意味くらいなんだよ。フライパンとかそんな感じのね」

有希「…あ、パソコンの中にも”ユーティリティー”ってあるわね」

義一「うんうん。まぁいずれにしても、便利品って意味な訳だよね。まぁ確かに、有能な人材の活用とか、そんな意味合いでも使われたりするし、あまり拘ってもいけないんだろうけれども…何となくね、『活用』という言葉を雑に使う気があるのが、どうしても気になってしまうんだよね。…それを言っている人が、普段から言葉を雑に使っているのを聞いていると、尚更ね」

うんうん

有希「あー…『誰が言うのか』っていうのは、かなり大事だよね」

義一「ふふ、何て言うのかなぁ…限られた時間では語り尽くせないから中途半端にならざるを得ないんだけれど、さっき有希さんが言ってくれたように、『女性活用』って聞いて、『何を男が偉そうに私たち女を道具か何かと見て、人材だとか上から目線で言っているんだ』と面白く思っていない、そんな常識ある、良識ある女性も、全体で見れば少数だろうけど一応いるんだと、それくらいは口に出す人も頭の片隅には入れておいて欲しいね」

有希「い、いや、だから…ふふ、今度は遠回しからとはいえ、普段からこんなに褒められる事ないからなぁ…いやぁ、困った、困った」
義一「あははは」

ふふふふ


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義一「でも確かにね、”正しい意味で”女性の活用って言いたくなるというのは、分からない訳でもないんだ。というんもね、こう言うと、もしかしたら視聴者の中の女性たちや…ふふ、有希さんも怒り出したりしないかと、冷や冷やするんだけれど…」

有希「えー?何だろ?何を言われるのか、こっちもハラハラしてきた…」

ふふ

義一「あはは。いやね、男にはなく女にしかない能力というか、女の方が優れている能力というのは確実にあると、昔から思っていてね?勿論人によるんだけれど…『直感力』がね、男よりかは平均において優れているんじゃないかって思う事が多々あるんだ。…ふふ、僕も数が少ないながらも、その分優れた女性と巡り合わせる事が幸運にも多くて、尚更そんな気がするんだよ」

有希「ん、んー…いやぁ…」

いやぁ…ふふ、私まで照れるわね

義一「ふふ、今に限らずに 、時代が進むにつれて、ますます分業化が進んでいく訳だけれども、そのままほっとくと、今現在起こっているが如く、分業したのは良いものの、そのまま誰も纏めようとしないから分散していってしまっているのね?」

あー…

義一「そのまま分散、分裂が深まっていってしまうと、人々の連帯が薄らいでいって、ますます繋がりが希薄になっていってしまうと…これがまぁ、誰でも思いつくような現在の社会の一つの実情だと思うんだ」

有希「なるほど」

義一「それを何とかバラけさせないために、女性が本来持つ”総合性”、”統合性”が必要になってくると思うんだ。
…ふふ、急に”総合性”、”統合性”を出したのはね、女性の持つ”直感力”と深く関係があるように思うからなんだ」

有希「というのは?」

義一「うん、要は直感的に優れていると、男みたいに…ふふ、つまりは僕の事だけれど、変に理屈で説明しようとする前に、直感的に今の状態がどこかおかしいと男よりも早く察知する女というのは、そこで止まらずに、どうにかその状態を元に戻そうと、これまた直感的に思って行動すると思うんだ。で、実際に行動するとしてどうするかというと、バラけないように”統合”しようと、そこにまず重点を置こうと働くと思うんだね」

有希「ふん…なるほど」

なるほど…

義一「それを人類の歴史が始まって以来、ずっと長年にわたって続けてきた…と僕は見ているからね?だから女性は、元々直感力に優れていたのみならず、その直感力があったために、後天的に”統合性”も身につけているんじゃないか…と、まぁ僕は男らしくというか、こうして無理やり理屈っぽく思っているんだ」

有希「あはは、なるほどね。…うん、面白い考えだと思う」

ふふ、うん、私もそう思う

義一「あはは、ありがとう。…ふふ、少なくとも、日本全体で一人の同意者は得られたって事だね」

有希「あははは」

ふふ。…って、まぁここにもう一人、同意者はいるんだけれどね

有希「でもなぁ…」

義一「え?」

有希「いや、義一くんがいわゆる女性、女に対して尊敬してくれているのは、今の発言からも、過去の雑誌に書いていた記事からも良く分かる…うん、良く分かるんだけれども、さぁ…ふふ、今義一くんが言ったような、えぇっと…直感力と、総合、統合力のある女なんか、果たして…今の日本にどれくらい生き残っているのか、同じ女として疑問に思っちゃうところはあるんだよ」

あー…あはは

有希「私はその…うん、女優をやってるし、いわゆる普通の一般女性と少しズレてるとは自覚してるんだけれど、それでもたまに役作りでね?今時の私とタメの女の子が何を考えて生きているのか観察しているとさぁ…ふふ、本心がどうかは別にして、いわゆる会社勤めのOLなんかは、結局その今時流行の言葉で言えば『女子力』なんか一切発揮出来る場なんか無くて、結局は昔から男たちがしてきた事を、同じ事を女がやってるって、ただそれだけの事に過ぎない感じなんだよ」

あー、なるほどねぇ…うん、大体想像が出来るわ

義一「あー」

有希「うん、だからさ?まぁ、仮にまだ現代の女に、今義一くんが言ってくれた様な、男になくて女にある能力が残っていたとしても、結局はそんなのは使われずに男の真似事ばかりしていくから、最後はやっぱり…うん、義一くん的な言い方を借りれば、『”本当の意味での”女子力』が消えてしまうんじゃないかって、そう思っちゃったなぁ」

うーん…

有希「…って、私みたいな人に心配される筋合いは無いって、カメラの向こうからは怒られちゃいそうだけれどね?」

義一「え?あ、あー…ふふふ、いやいや、視聴者がどう受け止めるかはともかく、僕個人としては、とても面白い話を聞かせて貰って、しかも初めて聞いたばかりだというのに、すんなりと飲み込めてしまったよ」

うんうん

有希「そ、そう…?」

義一「うん。まぁ…ふふ、僕も社会不適合者だから、そんな人に同意されても仕方ないだろうけれど…ね?」

有希「…っぷ、あははは」

ふふふふ

義一「あはは、そんなに笑うなんて酷いなぁ」

有希「あー、ごめんなさい?…ふふ」


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義一「僕は社会不適合者なりにね、『家庭とは何か?』と考えた事があるんだ。急いで板書するけれども…
…うん、”家”、”家庭”についてこんな事を言った、タルコット・パーソンズという社会学者がいたんだけれども、これまた正確では無いんだが、ここではその中の四つについて触れてみたいと思う」

…あ、”先生モード”に入ったわね

義一「一つ目は、これはいわゆる文化的な面なんだけれども、子供を産んで、その後は人間は言語的な動物だから、その言語の力を養うと。”可能性から言えば”人間なんだけれども、産まれた直後は動物と何ら変わりが無いんだから、家庭が無いと赤ん坊の人間としての可能性を表に出すためには、異様に長い時間が必要となると…」

有希「ふんふん…」カキカキ

カキカキ…あー、生まれたばかりの時は、まだ”人間”になる可能性を秘めているだけの、獣と変わらない状態って事かぁ…なるほどねぇ

といった感想を持ったのと同時に、この時義一は放送内で引用していなかった…いや、もしくはカットされたのか知らないが、私は私で以前に義一に貸して貰った”とある本”に書かれていた一文を思い出していた。
それは、二十世紀において世界的に有名だった哲学者の一人であるジャン=ポール・サルトルの、簡単に言えば内縁の妻だった同じく哲学者、シモーヌ・ド・ボーヴォワールが書き著した有名な『第二の性』にあるものだった。
”One is not born, but rather becomes, a woman.”
『人は女に生まれるのではない、女になるのだ』

義一「さっきの話にも絡むけれども、人間は本能が壊れた不完全な動物だからね。シカとか馬とかは生まれた直後には、親に教えられなくても直ぐに立ち上がれたりする訳だけれど」

有希「あー、確かに」

義一「でも人間は本能が壊れているために、こうして生まれた直後から、何年にも渡って親が手元に置いておかなければ直ぐに死んでしまう様な、そんなひ弱な生き物だから、だからこそ家庭が必要で、そこで保護し続けなければならない。そしてその間に、本能が壊れていても生きていける様に、その代わりとして言語を身につけさせていくと。
さて、残る三つ。これまた人によるんだけれども、人間の場合は動物と違って”planning”、いつも計画を立てていると。どうやって貯金しようかなとか、自分の子は偏差値が高そうだから、それなりの大学に行かせたいために、どこの進学校に入れようかとか、何でも良いんだけれども、この様に幾らでも計画を常に立てているものだと。
それでもう一つ、パーソンズは『適応』、『同調』の役割があるって言ったんだ。家庭というのは村なり町の中にあると。自分なりに好きに好みにあった家を建てたいとか思ったりするんだけれども、全般的に言うと、自分の地域とか隣近所とか、そこの地域共同体に何ほどか同調する、もっと言えばこの世の中に適応する、適応しなければ家庭が保たない訳だよね?家族も個人と同じで、社会の中で孤立していては存続出来ない」

有希「うんうん…」

義一「それを重々承知した上でなら、反発したければしても良いんだけれどもね?…ふふ、適応力がどうのと僕が言っても説得力が無いから、またパーソンズが言ってたと言い訳っぽく続けると、最後の一つはね、『統合』、『調整』と言っていた。
家庭内には当然ながら、どこでも矛盾を孕んでいるよね?子供が親に反抗したり、計画を立てているんだけれども、その通りには全く行かないとか、同調適応しようとしたけれど、隣人はいささかアブノーマルなせいで、とてもじゃないけれど安穏といかないとか、そういった内部外部問わずに矛盾は限り無いんだけれども、それを何とか纏めようというんで、さっきから出ている”統合性”がここでも、家庭でも必要になってくる訳だよ」

有希「あ、あぁ…うん、なるほど…ねぇ」

うんうん、なるほど…

義一「家庭というのは…って、ふふ、まだ家庭を持っていない、持ったことのない僕が言うと、今現在実際にその矛盾の真っ只中にいる視聴者からすると反発があるだろうけれども、家庭とは社会の基礎単位であると昔から言われているんだが、基礎でありながらも最低でも今挙げた四つの機能を持っていると。
で…ふふ、また人名で恐縮だが、ゲオルク・ジンメルという、有名なドイツのこれまた社会学者がいて、正確じゃ無いけれど引用すれば、こんな事を彼は言ってたんだ。
『家庭を作り、守り、そして育ててきたのは、女性の偉大な歴史的貢献である』
と」

有希「へぇー」

へぇー

義一「まぁ…ふふ、こんな言葉を引用したりすれば、今までの口振りも含めて、『お前は女に家庭にまた引き籠れと言いたいのか』と言われてしまいそうだけれども、そんな事を短絡的に性急に言いたいんじゃなくて、ここで僕が改めて取り上げたい、フィーチャーしたい重要なキーワードがあるんだ。それは勿論…やはり女性が持つ特異能力である”統合力”なんだ」

有希「あー、やっぱり出てくるのね」

義一「ふふ、うん。家庭というのは、今はLGBTとかを筆頭に、僕に言わせれば相対主義が行きすぎたせいで出てきた現代の鬼っ子である面倒な話が、価値観の多様性という魔法の言葉で守られて出てきているせいで話辛いんだけれど、それは置いといて、一般的に言って男と女の一組から始まる訳だけれども、男は女みたいに総合性、統合力が乏しいためというか、それが有史以前から分かっていたから、東洋西洋の差など関係無く人類というのは、共通して取り敢えず能力の優れた女に家を守ってもらって、その間に男は外に出て色々と、さっきのパーソンズの説に合わせて言えば、適応力、同調力の元というか、外部のものをせっせと家庭に持ち込むと、それを受けた女性が、今現在の自分が保ってきた家庭内の状況と、男から聞いた外部の情報を総合して統合的に考えて、これから先どの様な目標を掲げて、それに向かって家庭が進んで行けばいいのか、その進路を立てる…というのを、主に女がしてきたわけで、これは能力から言っても理に適っている…と、僕個人では思うんだ」

有希「なるほどねぇ…うん…ふふ、これまたもしかしたら、これを言うと、同じ女だというのに、世の中の女からバッシングを受けそうだけれど…うん、私も今の話には違和感を感じないし、素直にそうだと言えるわ」

うん…私も私なりに納得がいった気がする…。私なりに言い変えれば、女王蜂が働き蜂の仕事をするなって事だよね。まぁもっとも、巣にせっせと外から食料なりを運ぶオスの働き蜂は女王蜂の代わりにはなれないし、女王蜂だって働き蜂の代わりにはなれない訳だけれど

義一「え、あ、あ…ふふ、そうかい?てっきり怒られるのかと思っていたよ。あはは。…うん、でもまぁ、僕がいくらこう思うからって、世の中は関係なく流れていくんだし、言っても仕方ないって感じだけれどね。
今の誰が作ったか…ふふ、人件費を安く済ませたいために、自ら希望するとか志願してならまだしも、本心では仕事に出たくない女性まで労働市場に引っ張り込める様に、そんな世の風潮を作っているのは、例によって財界の馬鹿どもだというのは分かっているんだけれども…って、あ、いや、これ以上はただの恨み節、愚痴になってしまうから、まぁ今はこれくらいで濁しておくだけにしておこう…かな?」

有希「…ふふ、義一くーん?それ全然、まったく濁せて無いから。ズバリ言っちゃってるから」

義一「あ、そう…だった?」

有希「もーう…ふふ、”あの子”が呆れるのも、今なら分かる気がするわ…っぷ、あははは!」

ふふふふ


抜粋終わり
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