ポラードの娘

文字数 704文字

確かにそう、私の家は今どうにもならないくらい困窮してる……だからこそ、私は今こうしてアンタと一緒にいるわけだけど
え?……それって、どういう意味?
簡単な話よ、傾いた家を建て直すにはそれなりの額の金がいる……けれど、没落したような貴族に金を貸すようなところはドコにもない
そんな時に、アンタの父親が話を持ちかけてきたのよ……「娘が卒業する手助けをするなら、金を貸してやってもいい」ってさ
!……それで、わたしの手助けを……そのためにこの学校へ
でもなきゃ、こんな貴族の巣窟みたいなところ来ないわ
逆らえないからこそ……私は便利な駒ってところよ
そういうこと……だったの
これで分かった? 私はべつにアンタのためにここにいるわけじゃない……自分のため
だから別に、アンタは私に優しくする必要も……お互い仲良くする必要もないのよ
っ……でも、それでもわたし達は! わたしは……その、あなたと
…………それと、最後に教えておいてあげる
……私の家を破滅に追い込んだのは、他でもない
ポラード家当主、アンタの父親なのよ……
………ぇ
だから、アンタの顔を見てると……正直虫唾が走るの
この手でくびり殺していいのなら、そうしてやりたいくらいよ……
……そ、そんな
(まさか、お父様達がそこまでしていた……なんて、彼女に……彼女の家にまで、そんな)
そんなの……うそ
(否定したい、けれど……お父様たちならばきっとやりかねない……それこそ、庭に生えた木を切り倒すように……)
……チッ、まぁ……今日のところはその狼狽っぷりに免じて見逃してあげる……けどね
………
次からは、もう二度と……私の領域に足を踏み入れてこないで
……あっ
……じゃあね
!……ま、待っ
ガチャンッ
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登場人物紹介

・アイリス=ポラード

名門貴族の一人娘
魔術の才能がないにも関わらず、魔術の学校へ入学することになってしまう。

・ミリア=チェイス

恵まれた魔術の素質を持つ少女。しかし成り上がり貴族の生まれであることから周囲に疎まれて育つことに

ポラード家に少なからぬ恨みを抱いている

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