パーティの夜

文字数 704文字

〜魔術学校、大広間〜
久しぶりだな、元気でやっておったか? アイリスよ
はい、なんとか……特に大きな問題もなく過ごせています
ならよかったわ、貴女はあまり手紙も寄越さないものだから心配で心配で……
すみませんお母様、その……あまり時間がなくて
まぁいいさ、こうして元気な姿を見られたのだからな

それよりも今日は、お前に会わせたい方がいてな
会わせたい方……ですか?

それっていったい
……ごきげんよう、こうして直に会うのは初めてになりますね
アイリス=ポラード嬢
え? あ、あなた様は……まさかライアン王子
……ということは
そうだ、この方こそ……お前の将来の婚約者となられるお方だ

くれぐれも失礼のないようにな
(この方が、わたしの……婚約者)
?……どうかされましたか、なにやらボーッとしているようですけれど
……いえ、なにぶん突然のことでしたので少し驚いてしまって
申し訳ありません殿下
困惑するのも無理はありません、無理なさらずとも大丈夫です
……はい
(優しそうな人……物腰も柔らかで、きっといい人なんだろうな)
ではどうでしょうMs.ポラード、お互いの親睦を深めるという意味も込めて
このあと、私と一緒に踊ってはいただけないでしょうか
まぁ、なんて紳士的な方かしら……ねぇ
それはいい、お前是非そうしなさい
……それは、大変喜ばしい申し出です
……殿下
(以前のわたしならば、少しのためらいもなくこの差し出された手を取っただろう……けれど)
けれど……すみません、わたしもう最初に踊る相手は決めているのです
……え?
本当にごめんなさい、お父様もお母様も……それではまた後で!
なっ!?お、おい待ちなさいアイリス!待て……ぁ、嗚呼なんということだ
なんという…
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登場人物紹介

・アイリス=ポラード

名門貴族の一人娘
魔術の才能がないにも関わらず、魔術の学校へ入学することになってしまう。

・ミリア=チェイス

恵まれた魔術の素質を持つ少女。しかし成り上がり貴族の生まれであることから周囲に疎まれて育つことに

ポラード家に少なからぬ恨みを抱いている

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