23. 時の回廊

文字数 1,993文字

         A面



“導き”に手を引かれたどる回廊。

終わりのない壁画の連なり。

一枚の前で立ち止まる。

背の低い腰の曲がった老人。

無数の皺。歯のない口で笑ってる。

「この方はどなたですか?」

ただ、無性に問いたくなった。

『戦士です』

私は驚くのですが、
なぜか懇々と涙を禁じえませんでした。

そして、子供じみた問をした。

「強かったのですか?」

『ええ、とても』

もうそれだけで十分だった。

そして 崩れて 私は 消えた...








*****************************************************



         B面



“導き”に手を引かれたどる回廊。

終わりのない壁画の連なり。

一枚の前で立ち止まる。

背のいたって低い貧相な男。

一目で、卑屈にして臆病なることが、
うかがえる。どうしてもそのことが、
分かってしまう…。


おどおどしている‥
そして、なんだ、この下卑たる、
ごまかし、繕ひ笑いは!(urge)

その目は、たえず、何処へと、
在らぬ彼方へと、
泳いで、いって、しまってる。

こいつは、いまなにを考えているのだ?
なにに、その目を、その焦点を、
結んであるんだ?!。

その顔を、直視すること、
これが、瞬時にて耐え得なく、
なってしまってあった。

そんなどうしようもなく、
いたたまれなくなってしまう…、
そんな、不快感たるものを、一目にて!
こいつは、自分に、無性に、掻き立てて、
しまって、くれて、いるでは、ないかー!。

「この人物は、どんな、どういった方、
 だったのでしょうか?」

なにも問うべきではない、
関心の一切を持つべきではないと、
分かっては、あったのだが、
どうしたものなのか、
ただ、無性に、問いただしてみたく、
なって、しまって、いた。

『卑怯者にして臆病者、単なる嘘つき』。
 プライドが、どうしてものなのか、
 やけに、異常に、強かった。
 それも、なんの努力も、せずしてで……。

私はいたく驚くと同時に、
どうしたものなのか、
たいへんに憤慨して、しまって、あった!。

『レイジド&アージド!』

だが、なぜか、ことの事実を、
否定することは、
まったく、できなかった…。

私の内では恥辱としての思いが、
その感情が、急噴してきて、
しまってあった。
顔に、あから様に、朱が、
差していることが、
差してあることが、
自分でも、見なくとも、わかる!。

『レイディエンタル・フラッシュ!』

なのに、どうして、どうしてなのか、
私は、子供じみた反論を、ことの訂正を、
真剣な様子、眼差しで、要求して、行って、
しまって、あった!。

「きっととっても繊細でナイーブ、
 恥ずかしがり屋さん…それで、
 あった、あったから、
 だったんでしょよ…」

『いえ、いや、無神経としての、
   その極みたるもの、
    それとしての人間でした。』

『まわりに存在してた、やや程なれども
 関係のあった、それを、本来は、
 持ち得てあった、宿命として、
 持ち得たであろう、そのすべての者達、
 その人たちとのすべて間において、
 その彼ら彼女らの心、思いに対して。』

この彼は自分ことで、
その内面の世界内のことだけで、
もふ手一杯だったんです。
いや、それにおいての、
ことしか、生来から、
関心がなかった、
関心が持たれなかった。
それを、どうしたものなのか、
持てれなかった。

自分としての殻を、これを、
臆するがあまり、壊すことでることが
できず、適わなかった。

ことのその原因は、
プライドが、高すぎたがあまり、
本人に自覚はなかったであろうが、
この自分は特別なる人間だと、
それなのだとの思い込みが強すぎた。
ずっと幼き頃より、そうであった…。

努力はいらず、与えられてあってこそ、
それが、既に、最初から、
当たり前のこと、当然なのだと!

自分であればこそ、その待遇なのだと、
そう思い込んで、しまって、あった。

(うぶ)なるがままに生き、
そして、その初心(うぶ)なるが

……


もうそれだけで、そこまでだけで、
十分だった

 『トゥウウウウー・マッチ!』

そして、 私は、脱兎の如くして、
その場を逃げ出す。霞の如くして
消え失せてみせてやった。

その場より遁走して、みせて、
やって、くれて、しまって、あった!。

  『サッチャ・リリーフ!』

そして、ことは、あの最初の始まりへと、
あの場所へと、戻る。
戻って

、くれたるのだ。
戻って

、あったのだ!。

“導き”に手を引かれ、たどる回廊‥

その壁は終わりのない壁画の連続、
それの、それらばかりの、
連なりとなって、始まって、いたぁ〜……



   『ルゥ

〜〜プ!』 


















































かって、ここにあるB面は、現行より遥かに完成されたものがあったんだ。でも、公開することはないであろうってことで、公開すべきものではないだろうってことで破棄されたんだ。でも、今回においては、不特定多数の読者を意識するにおいて、再作成のうえ、公開することに決めたんだ。(しゅ)にならんことを願って……。



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