12. 黒転セリ!

文字数 6,354文字

   あるとき、おさびし山の


   次のように(のたま)いされたそうな…。

    森の賢者、スナナークよっ!
 ムミン・トロロ・オロロロールの色


       (クッロ)〜〜〜


       ブラク〜〜


      変へひして、見せひ!!。

 ()もなくば、モランやらスティンキーやら
 

ムーミン谷

放つぞっ!






       〈暗転〉





スナフ:
  こないだ部屋ん中で、チーズビット
      食べていたのさ…
ムミン: 
     「ふ〜ん…」
スナフ:
  もう終わりかけのほうだったんだ…。
   ふと庭を見ると、スズメたちが
 沢山来てて熱心に地面を啄んでたのさっ。
  そうだこれ残りあげようと思って、
      サッシを開けたのさ。
ムミン:「…」
スナフ: 
   そしたら開ける音に驚いて、
     みんな一斉に、
      飛んで、
      逃げた…。

ムミン: 「………」






スナフ: 
   こないだの朝、
     ぬこが見当たらなかったんだ…。

ムミン:「ふ〜ん…」

スナフ: 
    どっこ探してもいないんだ…。
    どっかに閉じ込めれて
    いるんじゃないかと思って、
    すっごく心配した。
    それで、もしからしたらと思って、
    ノンの(娘の)部屋の扉を
    「ソ〜〜」っと、開けて、
    隙間から覗いてみたんだ。
    そしたらノンは、
      彼氏と一緒に寝てて、
        物音で、その彼氏は、
         目を覚ましてしまう…。

  その後、暫くは、ノンからは、
   怒りというか、憎悪の眼差しが、
   

送られてきて
     まとわりついてきて、離れない…
      そんな羽目に、状況に、
          長くぅ、なった……。

ムミン:「じゃあ、結局、ぬこは、いなく
      なっちゃたの?」

スナフ: 
 いいや、僕のまったく知らなかった所で、
   スヤスヤと、安らかに、寝とった。

ムミン:「………」






スナフ: 
   僕は一年の内の4分の3しか、
   このムーミン谷にはいないだろう?

ムミン:「そだね…」

スナフ: 
すると〜、戻ってくる度に、み〜んな、
段々と、印象が、変わってしまっている
ことに気づくのさ…

特にご年配のご婦人方が〜さ…
僕は、いまじゃあ、彼女らのことを
バーバママ・シリーズって、
密かに呼んでる…。

ムミン:「………」





スナフ:
   だいぶ前の話になるな…
   介護職についていたときのはなしさ…
   夜勤明(やきんあ)けに

返すの忘れて、
   家に帰ってしまったことがぁ
   あるんだ…。

ムミン:「ふ〜ん…」

スナフ: 
 一日休みおいて、出勤するときに、
 

ポケットに、入っていることに、
   気が付いたんだ。

、職場に、朝顔だしたら、
 リーダーが、鬼のような形相で、
 こっちへと、すっ飛んで来たんさ…。

 『おまえ鍵知らないか?!!!』って
  すっごい剣幕で、捲し立てながらに、
  ノシノシと、やって、来たのさ…。

ムミン:「………」

スナフ:
  あの夜は、彼と僕はペアだった。
  それも突発的、偶発的にて…。

  彼(リダー)は、

突然!、
  夜勤をやるよう、上司から、
  命じられてしまってあった。
  そうであったのだ。

  夜勤の間中、つまりは深夜だ、
  彼は、その非情なる命令を下した
  管理者の名前を、


  ソファーやら壁を、

殴ってた…。

  だもんなんで、僕は、
   「ここに鍵あります」って、
    言い出し、づらかったんだ…。

ムミン: 「それで鍵はどうしたの?」

スナフ: 時を見計らって、僕は、
     

のおじさんの
     部屋へと行った。*弄便マニア
     そんで、彼の

(かぎ)を、
     ギューーっと、しっかりと、
     (あと)(たの)んだとばかりに(にぎ)


     そんで、つむじ風の如くに、
     (きびす)を、瞬時に返して、
     その部屋を、急ぎ、後にしてた。

ムミン:「………………」

スナフ: 
  彼は、あの重度の認知症のおじさんは、
  昼夜を問わず、あちこちいつも、
  

るからね…。
  あの夜も僕たちが待機している部屋に、
  真夜中、深夜、顔を出しに


  これで…僕のお話は、おしまいさ…。

ムミン:「……………………」


補足:
  後日、あの悪名高き、利用者さんの
   部屋で、鍵が見つかったとの報告を、
    受けて、リーダーは、たいへんに、
     喜ばれていた……。

   ボクも、それはほんと〜〜に、
    良かったですねーーって
     満面の笑みを浮かべながらに、
       その彼に声をかけてあげた。



スナフ: 
 外回りの仕事終わりで、
 ボクは地下鉄に乗ってた。
 座席にて僕は座ってた…。
 すると酔っ払いなのか、
 なんなのか知らないが、
 えらく(たち)の悪いのが
 目の前に立ったんだ…。

 次の駅は丁度、勝手知ったる江坂だ。
 そこで僕には一計が閃いてしまってた。
 そして、


 二度と巡ってこないぞ、
 などと思ってしまう…。

ムミン:「………」

スナフ: 
 僕は中々に威勢のいい啖呵を、
 そいつに切ってたと思うよ。
 ついぞこれまでに、使った事などない
 罵詈雑言の類だ…。
 もうことは無かったことには、
 絶対できないような…そんなやつ。
 とにかく暴力沙汰になることを、
 回避するのはもう到底不可能、
 難しいと、思えるほどまでの、
 ものをだ…。

ムミン:「…………………」

スナフ:
 隣に座っていたおばさんが、
 その後の展開を想像して、

』って、
 悲鳴を上げるかのように、
 僕を制して下さってた。
 なんせ僕は、ご覧の通り、
 小柄で大人しそうで、
 とても荒事に縁のあるような
 人間には見えなかっただろうから…。
「大丈夫ですよマダム…ご心配なく」と、
 僕は落ち着いた様子で、
 彼女の心配を、取り除いてあげる。
 そして「次の駅でおまえおりんかい!」
 と、目前の男に座席より言い放ち、
 そして、”スック”と、立ち上がる。
 丁度そのときってのは、まさに扉が、
 開くタイミングだった。
 男はとにかく怒り狂ってたね。
 僕を絶対に逃さんとばかりに、
 ピッタリと、僕の後にくっついて、
 ホームへと降りた。
 そして、二人は、改札のある下へと、
 並んで、階段を、降りてゆく…。

 この時、その男ってのが、ニタニタの、
 もうワクワク、それとなっていた。
 つまりは嗜虐心満載としての状態だ。
 そのことが、自然と、
 側にいる僕には、
 伝わってきてたよ〜…。

 ピターーっと、側にくっついてて
 いっときたりとて、離れやしない。
 絶〜対、この獲物は逃さんと…。
 そいで、


 会わせてやるぞと、そ〜心の中で、
 息巻き、ほくそ笑んで、やがった…。

 もう待ちきれないのか、なんなのか、
 階段降りながら、ぼくの耳元で、
 ゴチャゴチャ言ってたんだけど、
 僕はそこでも、


 してやってたのさ。
ゴチャゴチャ言っとらんと、

《ついてこんかい!
 って……。

ムミン:「……驚愕……」

 そうさ、まさに火に油を注ぐの展開だよ。
 さらに、彼の怒りを、
 これでもかーってな、程までに、
 煽ってやってたんだ…。

ムミン:「……冷汗……」
 「それで、ことは…、どうなったの?」

スナフ: 
 そんでで、そのまま、二人連れ立って、
 駅長室の中へと、堂々と、入って
 いって、やったのさ。

ムミン:「…(えっ、えええ〜)……」

スナフ: 
 あとは、一瞥において事情を察した、
 駅員数名に、奴は、即座に、
 取り押さえれていたよ。
 それも、「あっ」という間に…。

 そんで、


 


 早く立ち去るように、って…。

ムミン:「………」

状況が


奴は僕に向かって、なんか怒鳴ってたな〜。

何処、行きさらすんじゃー、
    

ーーー!』
って。

 その後は、僕は、胸を張って、
 独り、悠々と、涼しい顔して、
 改札を通って、外へと、出ていたよ…。

ムミン:「…絶句…」

スナフ:
 そうそうこれはつけたりとしての、
 そのはなしにはなるんだが…

 最初にね、僕がトラブルを、
 持ち込んで来たことに気づいたのは、
 若い駅員だったんだ…。
 彼は受付としてのカウンターにいた。
 ことの状況を即座に察したその彼は、
 心底嫌そうな表情を見してくれてたんだ。
 侮蔑の眼差しで、僕の目を、見たんだ。

この態度は「おかしくないですか?」って、
 退室するときに、

に向かって、
  職員の対応についても、


   しておいたよ。
 

ムミン:「………」






スナフ: 

これは、かってあった、名古屋のとある繊維仕上加工会社さんとの付き合いにおいての話さ…。ここも、この会社も、自分が飛び込み営業をかけて、関係を築いた会社なんだ…。

ムミン:「ふ〜ん…」

スナフ: 
そこは社歴と知名度はあったが、今はもうシケた限りの会社、その相手でしかなかった…。それがさ〜、この会社に、ひょんなことから中国から、技術指導においての依頼の話が、舞い込んできてた。中国現地のその相手方ってのは、とんでもなく大きな加工場さんだったんだ…。

ムミン:「ふ〜ん…」

スナフ: 
それで、相手方に紹介する加工剤は、僕んところのものを、

た〜いーーって、言うんだ…。とんでもないボリュームになるよって…。えらい大金が動くぞって…。それで、そうなった暁には、マージン10%を、自分とこに寄越せって…。

ムミン:
「ふ〜ん…でもまあ良かったじゃない…
 それで話は、上手くいったの?」  

スナフ: 
どっかで、たち消えにはなっちゃったんだが、それはどうでもいいことなんだ…。君に話したいことは別にある。僕たち、つまりは助剤メーカーと技術指導の会社との、その間に入ってきた頬紅(ほおべに)っていう商社に関しての〜ことなんだ…。いや、その商社の、担当窓口になってた、とある上海人との、

ってやつさ…

ムミン:「……なにやら嫌な予感……」     

スナフ: 
僕は以前にも一人、上海人ってのを見知ってた。どちらも、とても、似てたよ…。頭の回転だけは恐ろしい程に早い。そして、プライド高すぎ…。多分、彼らは、母国では、超有名大学出だったんだろうな〜…。

ムミン:「………」
   
スナフ: 
二人とも口が

、そんな奴だった。そして何よりも相手の落ち度に関しては絶対に見逃すことはない。それがどんなに些細なもんであったとしてもさ…。目敏く見つけたなら、間違いなくそこを、その弱点を、即座に突いてくるんだ。まさに功夫(クンフー)の達人の如くに、連続口撃は繰り出されていた、あったもんさ…。言い換えるのなら、揚げ足とりとしてのその名人、その達人だって云ってもかまわないだろう…。

ムミン:「へー…」 (気乗りなさげに) 

スナフ: 
まあ、ぞんざいに、はっきりと言ってしまえば、幼児(ようじ)と云うか、小児(しょうに)としての、ただの「お喋りさん」、これだったのさ…。ああ言えばこう言うの、屁理屈ばかりの、それらが

、マウント意識高すぎの、あくまでも場当たり的な、そんな感じの、いい加減な、ヤツだったわけさ…。

昔「さんま先生」にでていた、こまっしゃくれた「ブランド君」ってやつが、自分の中では、いたく連想されてあったよ…。

ムミン:「ふ〜ん…」

スナフ: 
僕は、底の浅い人間、虚栄心ばかり強くって、頑迷なだけの人間ってのが、いたく苦手なのさ…。その担当窓口は、買い手としての立場をいいことに、降って湧いただけの仕事でしかないくせに、仕入先となる会社の営業の僕に対しては、すっごく偉そうで、かつ威圧的かつ高圧的だったんだ。未だ歳若いくせに…。

ムミン:「………」  

スナフ: 
ムーミン、知っておくべきことは、裏方の事情ってのには、精通しておくべきだってことなのさ…。それが分かる情報ルートってのが僕にはあった。つまりは名古屋の加工場さんさ。

ムミン:「………」  

スナフ: 
遠く名古屋のド田舎まで僕は足繁く通ってたよ…。そして行けば、本来なら知り得ない、教えてはもらえない類の話ってのが、実は聞けたんだ…。向こうは仕事がなくって、暇してたんだろね。余計な無駄話が、わんさか出てくる出てくる…。若い、ここの後継者が、ベンツのSLK乗って、会社に出社して来やがるんだぜっとか、どうとかこうとか、もう社内の愚痴、不満だらけ…。

ムミン:「………」 

スナフ: 
まああるときの訪問で知り得た状況ってのが、トライアルの段階に入っていて、加工試験の立ち合いで、もうすぐ現地、上海へと行かれるってことだったんだ。今回、助剤として使うケミカルは、僕んところのもの

だと…。短期では、事は固まってしまってて動かし難い…。つまりは、もう確定事項だったのさ。これが、このことが、この僕には、知れちゃってたんだ…。

ムミン:「………」 

スナフ: 
でだ、ここからは話は短い…。 試験加工用の購入で、納期やら価格の折衝が待ち構えていたんだ。案の定、その若き上海人の担当窓口は、偉そうにものを言ってきた。でっ!電話を通してだったけど、僕は、話しの途中で、突如、言ってやったんだ:

お前は口の利き方を知らんなー

もうええわ、
 お前んとこと商売やる気はもうない!

もう二度と電話かけてくんな!!!
               って…。
 
それは激しく、声高々に、

乱暴に、上からものを云って、云い放って、そして、「ガッチャン!」って、叩き割るかようにして、電話を切ってやった。

ムミン:
「…そ、それで…どうなったの?」 

スナフ: 
ものの五分もしない内にまた電話がかかってきたよ…。それも、これが同じ人間か?と、思える程までの、メチャクチャしおらしくなってたよ。その彼…。それで、低姿勢の限りを尽くして、平身低頭の思いの丈を込めて、取引の話を、どうか進めてくださいって…。お願いですから、
どうぞ(よろ)しくって…。

ムミン:「………」 







スナフ:
ねえ〜ムミン、自分のケツの後始末も
できなくなるって、どう思う?

ムミン:「…どゆこと?…」

スナフ:
いま言ったまんまさ…糞垂れた後、
もうなんにもしない、

しないんだ…

ムミン:「………」 

スナフ:
でっ、当たり前みたいな顔をして、こっちに痩せ衰えたケツを突き出してくるのさ‥よろよろと…ぷるぷると…ふらつきながら、壁に手ぇ突いて…

ムミン:「………」 

スナフ:
僕は、それはそれで構わない、しょうがないってずっと思ってたさ…でも、ある時…その無神経さ、その存在のあまりの惨めさ、そして何よりもそこにある

に怒りが込み上げ、発狂、してしまう…

ムミン:「……」
 
スナフ:
気づいたときには渾身の力で相手を張り倒してたよ。『しっかりせんかー!!!』って叫びながら…。歯が一本、飛んでいくのを、目の端でとらえてた…。

ムミン:「………」 





ムミン:
「ボッボク…なんか、(キュウ)”に!
    お(なか)がッ、空いてきちゃった…」

「ス..ス..スナフキンは今晩、何食べるの?」

スナフ:『 ニョロさ… 』






    〈 Mission Completed!〉




        補足情報



      なんかの和え物















       あとがき:

  分かってくれてるだろ〜ね〜?!。
   ここにあるのはみんな作り話、
      

だかんねー!。
  一片の事実さえ、ないんだからねー!。

    前に、あの鍵の


     奥さんに聞かしてみたら、
      軽蔑されました…。

     Don't be such a square !




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み