イチョウと彼(2023.12.5)

文字数 274文字

黄色の葉が
舞い
落ちる
日曜日に
彼は
生き方を
失った

昨日まで
はっきりと
思い描いていた
生き方は
盗作だったのだ

今朝
メールに
訴状が
届いた

認めて
放棄するか
認めず
出廷するか

迷うことなく
放棄を決めた彼は
盗んだのではなく
憧れただけと言いたいのだが
使用料を支払わなかった事実は
覆せないと諦める


落ちる
ところ
まで
とことん
落ちて
しまい
たい


彼は
盗人のまま
成功した後ろめたさから
解放されて
ホッとしている

いつ
訴えられる
のか
いつか
訴えられる
に違いない
と思いながら暮らすことは苦痛
だった


イチョウ並木で
仰向けになり
枯葉に埋もれながら
彼は
これからは
好きに生きれば
良いのだと
穏やかに
心を決めた
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