あと何回(2024.2.14)

文字数 325文字

あと何回
会えるのだろう

もう
会えないかも
しれない

今まで
考えたこともない
当たり前に
気づいたのは
鏡に映る白髪を見たから

今まで
見て見ぬふりしてきたことから
逃げられない
と思ったのは
杖をつく姿を見たから 

親だけが
老いるのではなく
子も
老いるのだ

肩車を
してもらったことが
奇跡だったような気がする

老いるとは
どういうことなのか
父は
語らずに
教えてくれる

働くとは
どういうことなのか
父は
黙々と
見せてくれた

言いたいことは
いくらでもあったはずなのに
多くを語らずに
静かに
人生も閉じようとしている


 おまえの人生
 なのだから
 好きにしたらいい


大学を辞めた時も
仕事を転々とした時も
それしか言わなかった

あと
何回
会えば
気が済むのか

あと何回?と
数えるなんて
虚しいだけだ


この瞬間
が全てなのだから
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