第6話 インドを取り巻く環境

文字数 1,055文字

 環境問題は米国、中華、インド、欧州連合が中心的な問題だろう。欧州連合は炭素税を課し、二酸化炭素排出抑制に意欲的だ。米国は自然再生エネルギーに着目し始めている。懸念は中華とインドだ。中華は経済成長を優先する余り二酸化炭素抑制にはあまり意欲がない。勿論、協定の枠組みに入って意欲は見せるのだが、有効策は他国の模倣となるだろう。
 インドはより重大な問題を抱えている。近年の人口増加、都市汚染により公害が中華並みに酷くなってしまった。死者も年間百万単位に達しているかも知れない。インドは民主制で米国の強力なパートナーシップを発揮する潜在能力を秘めているが、課題も多い。
 ヒンドゥー教という独自の宗教を持っている。これは悪くないが、カースト制度がインドの足かせになっているのは明白だ。つまり絶対的な階級社会を創り出すと経済は上手く機能しない。 
 民主主義の経済の特色は万人に開かれた活躍の場があるというのが本来の強みだ。インドは確かにIT産業が盛んであるし、消費規模も年々増加している前途有望な国家だ。
 しかし、内憂外患に悩まされているのも事実だ。外には中華、パキスタンと領土争い。内部ではイスラム教とキリスト教の対立の激化がある。一応、核兵器も所有しているが、それはパキスタンも同じだ。更にいえば、中華の方が核保有数は多い。現在はカシミール地方の帰属権を巡ってこの3ヶ国は争っている。争っているのは主にインド、パキスタンだが、中華もいずれ介入するだろう。現状優位なインドは中華に対して将来劣勢になる見込みが高い。
 それでもインドと同盟を結びたがる国があるのは将来の覇権国家の可能性があるからだ。後30年程すればインドは世界有数の経済大国になるとの予測もある。人口増加が経済にとってのボーナスタイムである。必然、インドが経済力を増加させるのは当然の成り行きだ。加えて元々哲学の国でもあり、知的水準は高い国である。近年はIT産業の人材に力を注力していることから世界でも注目されている。又、世界有数の映画大国としても知られている。インド洋に面していることから海洋資源も豊富である。又、アジア内では欧州と東南アジア諸国の貿易の中継地点としても重要性を増している。しかし、近年はきな臭い状況下に置かれている。隣国であるスリランカは中華の軍港となるし、モルティブも中華の支配下に置かれている。地政学上、中華に挟まれて存在しているインドの課題は開かれたインド洋を築けるかにかかっている。この問題に積極的なのがオーストラリアである。
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