第10話 ありじごく

文字数 664文字

どろんこ大好き次男の別話。
3年の2学期が始まってしばらくした頃、私が買い物から帰ってくると遊びに行っていたはずの次男が友達と一緒に家の前に 。
「どうしたの?」
「わすれもの取りに来た」
「忘れ物って何?」
「わりばし」
「わりばし?」
不思議に思いながらも家の鍵 をあけると、素早くわりばしを持ち出し、高揚した顔で飛び出して行こうとする次男に
「何に使うの?」
と聞くと、

捕まえるの」
「ありじごく!?そんなのどこにいるの?」
「神社の裏の建物の下」

よく見つけたわね・・

「どうやって捕まえるの?」
「わりばしでつまんで砂入れたペットボトルで飼うの」

はしで・・つまんで?

それだけ言うと脱兎のごとく 走り出て行きました。どうやら夏休み中に遊んでいて見つけたらしく、今度捕まえようと約束をしていたらしいのです。

ありじごく・・虫嫌いな私にとってはかなり恐怖でしたが、アイツにはしで捕まるのか?と思う一方、どんなものだかちょっと見てみたい気もして複雑な心境でした。
夕方、帰ってきた次男の顔を見てすぐにわかりました。はは~んダメだったのね 。
「あのね、もういなかったの」
なるほど、夏休みに見つけたありじごくは
秋になり、うすばかげろうとなっていづこにか飛んで行ってしまったらしい。

捕まらなかったとなると、息子のみならず妙に残念な気がして、私も、ペットボトルの中を巣にするありじごくを見たかったなぁ~と、ちょっとがっかりしました。

・・・でも、後でありじごくを調べてみると
かなりグロテスクな外観なので やはり捕まえてこなくてよかったのかも、と思いました。
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