第8話 子ども好き
文字数 1,679文字
長男が小学校3年生の時、一緒に大型ショッピングセンターに買い物に行った時のことです。買い物も一段落して帰りにお昼でも食べて帰ろうとハンバーガーショップ に寄りました。
メニューを決めて私はカウンターで商品を注文していました。長男はテーブルに荷物を持って行ってくれました。出来上がるまで時間がかかるということでテーブルに行こうと振り返ると2、3歳くらいの男の子をつれた若いママとニコニコしながら話しています。
なんだろな~と思いながら近づくと、私に気づいた若いママは
「いつもお世話になっています 」
と深々と頭を下げられました。
「?」
同級生のママだっけ・・でも見たことない人だなぁ
わたしの怪訝な表情に気づいたのか
「あ、いつも公園で遊んでもらっているんです。」
「え?公園??」
「この子のこといつも面倒みてくれて、公園に行くの楽しみにしてるんですよ、この子」
満面の笑みで話すママの手を握りながら、幼い男の子は長男の顔を見上げこちらもにっこり 。
「へぇ・・そうなんですか。わたしちっとも知らなくて。かえって何かご迷惑とかかけてません?」
ちょっと面喰いながら私が言うと
「いえいえ、とんでもない 。 やさしくて、ずっと付き合ってくれて、ホント私も助かってるんです。この子一人っ子だし。」
そう言うと長男にむかって
「じゃあまた、公園でね。 」
会釈をすると、その親子は手を振りながら去っていきました。
家の近くに、そこそこの広さの公園があるのですが、近辺の子供たちは放課後そこで遊ぶ子が多いです。遊ぶ約束をしていなくても、そこに行けば誰かがいて一緒に遊べる、という感じです。
長男もよく学校から帰ってくるとその公園へ出かけていたのですが、当然クラスの子と遊んでいるとばかり思っていました。
長男は幼いころから動物が大好きでした。年少のときに次男が生まれたのですが、そりゃあもうかわいがってくれたので、子どもも好きなんだな、と思ってはいましたが。
まさか・・ねぇ。
ママと男の子を見おくると私はすぐに長男に聞きました。
「ねえねえ、公園に行ってあの子と遊んでたの?」
「うん、最近はよく遊んだよ。」
「何して遊ぶの?」
「いろいろ。お砂で遊んだり追いかけっこしたり。あとおもちゃ。」
そういうと長男はしょっていたリュックをおろし、その中から次男が幼いころに遊んでいたおもちゃをいくつか取り出しました。
「ええ!? そんなの持って歩いてるの?」
いつも出かけるときは小ぶりなリュックをかついで出かけていたのですが、その中身は当然カードとかゲーム類だと思っていたのでそんなかわいらしいものが一緒に入っているとは・・
「最初はね、あの子泣いてたの。ずぅ~と泣いてたからちょっと遊んであげようかな~て。」
「そうなの。やさしいのね。」
「それから公園にいると遊ぶようになったの。」
「へぇ~他の友達とはどうしてるの?」
「みんなはフツ―に遊んでるから、ぼくはみんなと遊んだりあの子と遊んだり」
「ふぅ~ん」
まぁそうでしょうね、ふつうは。小3の男の子が3歳の子と遊ぶとは思えません。
「ほかにもいるよ、遊ぶ子」
「え 、あの子の他にも遊んでるちっちゃい子いるの 」
「うん、かわいいよ~」
長男らしい と思いながらも、やっぱりこの子はかわってるな~と笑ってしました。
それから学年が変わり4年生に。
クラスも変わり、長男の友達のメンバーもちょっぴり変わりました。
ある日、公園に行こうとした長男に
「そういえばあの子、ショッピングセンターで会ったあの男の子どうしてる?まだ遊んでるの?」
と聞くと
「ああ、あの子はね今年から幼稚園に行く、って言ってたから最近は会わないな~」
そう言って急いで公園へ出かけて行きました。
そんな長男を見送りながら、その男の子にとっても長男にとってもちょっと素敵な時間 だったな~と思いました。
あれから7年。長男は高校生。今でも動物好き、子供好きは変わりません。
でも、あまりむやみに小さい子に声をかけたりしないでね、と言っています。このご時世、勘違いされて警察に通報されかねませんからね。
さびしい時代になったものです 。
メニューを決めて私はカウンターで商品を注文していました。長男はテーブルに荷物を持って行ってくれました。出来上がるまで時間がかかるということでテーブルに行こうと振り返ると2、3歳くらいの男の子をつれた若いママとニコニコしながら話しています。
なんだろな~と思いながら近づくと、私に気づいた若いママは
「いつもお世話になっています 」
と深々と頭を下げられました。
「?」
同級生のママだっけ・・でも見たことない人だなぁ
わたしの怪訝な表情に気づいたのか
「あ、いつも公園で遊んでもらっているんです。」
「え?公園??」
「この子のこといつも面倒みてくれて、公園に行くの楽しみにしてるんですよ、この子」
満面の笑みで話すママの手を握りながら、幼い男の子は長男の顔を見上げこちらもにっこり 。
「へぇ・・そうなんですか。わたしちっとも知らなくて。かえって何かご迷惑とかかけてません?」
ちょっと面喰いながら私が言うと
「いえいえ、とんでもない 。 やさしくて、ずっと付き合ってくれて、ホント私も助かってるんです。この子一人っ子だし。」
そう言うと長男にむかって
「じゃあまた、公園でね。 」
会釈をすると、その親子は手を振りながら去っていきました。
家の近くに、そこそこの広さの公園があるのですが、近辺の子供たちは放課後そこで遊ぶ子が多いです。遊ぶ約束をしていなくても、そこに行けば誰かがいて一緒に遊べる、という感じです。
長男もよく学校から帰ってくるとその公園へ出かけていたのですが、当然クラスの子と遊んでいるとばかり思っていました。
長男は幼いころから動物が大好きでした。年少のときに次男が生まれたのですが、そりゃあもうかわいがってくれたので、子どもも好きなんだな、と思ってはいましたが。
まさか・・ねぇ。
ママと男の子を見おくると私はすぐに長男に聞きました。
「ねえねえ、公園に行ってあの子と遊んでたの?」
「うん、最近はよく遊んだよ。」
「何して遊ぶの?」
「いろいろ。お砂で遊んだり追いかけっこしたり。あとおもちゃ。」
そういうと長男はしょっていたリュックをおろし、その中から次男が幼いころに遊んでいたおもちゃをいくつか取り出しました。
「ええ!? そんなの持って歩いてるの?」
いつも出かけるときは小ぶりなリュックをかついで出かけていたのですが、その中身は当然カードとかゲーム類だと思っていたのでそんなかわいらしいものが一緒に入っているとは・・
「最初はね、あの子泣いてたの。ずぅ~と泣いてたからちょっと遊んであげようかな~て。」
「そうなの。やさしいのね。」
「それから公園にいると遊ぶようになったの。」
「へぇ~他の友達とはどうしてるの?」
「みんなはフツ―に遊んでるから、ぼくはみんなと遊んだりあの子と遊んだり」
「ふぅ~ん」
まぁそうでしょうね、ふつうは。小3の男の子が3歳の子と遊ぶとは思えません。
「ほかにもいるよ、遊ぶ子」
「え 、あの子の他にも遊んでるちっちゃい子いるの 」
「うん、かわいいよ~」
長男らしい と思いながらも、やっぱりこの子はかわってるな~と笑ってしました。
それから学年が変わり4年生に。
クラスも変わり、長男の友達のメンバーもちょっぴり変わりました。
ある日、公園に行こうとした長男に
「そういえばあの子、ショッピングセンターで会ったあの男の子どうしてる?まだ遊んでるの?」
と聞くと
「ああ、あの子はね今年から幼稚園に行く、って言ってたから最近は会わないな~」
そう言って急いで公園へ出かけて行きました。
そんな長男を見送りながら、その男の子にとっても長男にとってもちょっと素敵な時間 だったな~と思いました。
あれから7年。長男は高校生。今でも動物好き、子供好きは変わりません。
でも、あまりむやみに小さい子に声をかけたりしないでね、と言っています。このご時世、勘違いされて警察に通報されかねませんからね。
さびしい時代になったものです 。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)