第13話 寝言

文字数 1,767文字

私は小さいとき、よく寝言を言っては一緒に寝ていた姉を驚かせていた ようです。
幼い頃、真夜中に母の枕元まで行ってしまったこともあり、ここまでくると夢遊病ではないかと自分でも心配になりましたが、大人になるにつれて歩くことはもちろん、寝言も言わなくなりました。そんな私は、今家族の寝言でびっくりさせられています。

私は子供の頃は目覚まし時計で起きるなんてことはおろか震度4くらいの地震があっても目が覚めず、家族からは
「あんた地震で死んじゃうよ!」
と言われるほどのねぼすけでした。
そんな私ですが、結婚して長男が生まれてからは少しの物音で目が覚めるようになりました。

ある晩 、ぼそぼそ話す声で目が覚めました。見ると長男はすやすや眠っています 。

「・・・ということになり・・は難しく、今の状態で・・・はい!そうです!!」

声の主は主人でした。

「これ以上は・・このまま続く・・・」

突然大きな声で言ったかと思うと、今度は蚊の鳴くような小さな声で延々と話しています。

え・・?

内容から察するに、上司に報告しているのか会議でプレゼンしているのか、そんな感じです。
このまま黙っていればいいのか、それとも起こしてあげればいいのか・・ 私が迷っていると突然、

「・・・ということです・・・・・・な~んちゃって!?」

はぁ!?

思いもよらない展開に私はびっくり。
唖然として主人を覗き込むと、うっすら笑ってる!?
思わず私は主人を揺さぶり起こしました。すると主人はびっくりして目を覚まし
「何・・・?」
一瞬私は主人が起きているのかと思ったのですが
しっかり眠っていたようで、私に起こされ驚いていました。
案の定、寝言のことは何一つ覚えていませんでしたが、そのとき見ていた夢も特には記憶にないようでした。
あれは絶対仕事してる夢を見ていたに違いない
と私は思うのですが・・・サラリーマンの悲しいサガですな。。


長男はもともとあまり寝ぼけたり寝言を言ったりしないのですが、インフルエンザにかかったときに高熱 にうなされうわごとを言ったことがありました。
いつもは高くても39度ほどしか出ないのに、そのときは40度を超えていて 私も気が気ではありませんでした。
気になって私はほとんど眠れず、うとうとするくらいだったのでよく覚えています。その夜は長男の様子が気になって常夜灯をつけていました。
それは突然でした。ふいに起き上った長男は壁の方に近づいて行き、壁に向かって手を伸ばし
「見える?見える?」
と誰とは無しに問いかけるのです。
あわてて起き上った私は
「何?何がみえるの?」
と聞くと、長男はふりかえりながら熱でうるんだ目で私の方をみつめながら
「ほら、川があるね。きれいだね 」
というのです。
私の方を向いていながら視点が合わない・・あ、これは正気じゃないなと思い
「熱が高いからね、もう寝ようね。」
と言うと、今度は壁の方に手を伸ばしながら前のめりに突っ伏して
「ああ~行っちゃう~行っちゃう~入れないよぉ」
と言うので
「いいの、いいのよ 入っちゃダメなの!」
そう言いながら長男を布団に戻し、寝かしつけたのですが
私の心臓はどっくんどっくん。

きれいな川ってなんなのぉ~
入るってどういうことぉ~
それって三途の川じゃないよねぇ・・・

それからは眠るどころではありませんでした。うっかり私が眠ってしまったら、息子が川に入ってしまう気がして本当に恐怖でした。
でもあとで友人に話すと、熱にうかされてるだけだから大丈夫、と言われました。その友達の娘さんは38度以上の熱が出ると、必ずわけのわからないことを話しているとか。
私は後にも先にも初めてだったので本当に怖かったです。


さて・・最後に二男ですが、この子はしょっちゅう寝ぼけております。この子の場合は立って歩いたりします 。
夜中に「えっ、えっ」と嗚咽のような声を出していたかと思うと
「なんでぇ~ 」
と言いながら立ちあがって押入れの戸に向かっていったり、楽しげに笑い声をあげてよくは聞き取れないのですが友達としゃべってる風の話声など。
目をしっかり開けているのですが、みょ~にうつろなのですぐにわかります。

ねぼけてる

というわけで、いつも
「はいはい、寝ようね~」
とまるでドウドウ、と馬をなだめるように寝かしつけています。

カワイソウに・・・この子は私に似てしまったのかもしれません。





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