第6話 あやしいお店

文字数 770文字

長男が小3のとき。
家から50mほどのところにあった小児科 が隣の市に移転することになりました。それに伴ってそのビルの1階に入っていた調剤薬局も出ることとなりました。
息子たちが長年お世話になったお医者さんがいなくなってしまうことの不安と、その後には何が入るのかが気になっていました。

しばらくすると自然食品のお店がオープンしました。チラシを配ったりノボリを立てて呼び込みをしたりかなりハデな宣伝でした。

あるとき家の前で外仕事をしているとママ友達が通りかかり、
「新しく出来たあのお店、1ヶ月だけなんだって!」
と教えてくれました。
「え?!そうなの。なんで?」
「なんかね、あの店行った人から聞いたんだけど、無料でパン とか卵くれるから行ってみたら布団の説明とかしだしたんだって。あやしいからすぐ出てきたらしいけど。1ヶ月しかいないなんて、おかしいわよねぇ。」
その夜私は主人にその話をしました。
「何だろうね。やっぱりあやしいのかなぁ。」
と。

数日後私が庭の水やりをしていると、長男が息せき切って帰ってきました。
「お母さん、大丈夫だって!!」
「?」
「大丈夫だって言ってたよ!」
「何が?」
「あのお店!」
「え?」
「お店の前にね、お兄さんがいてね、『今度お買い物に来てね』って言うから『このお店あやしいんでしょ?』て言ったら、『そんなことないよ、大丈夫だよ』て言ってたよ。」

ええ~! この子はなんということを!!

思わず後をつけられていないか、道路に出て左右を確かめてしまいました!!!
きっと私と主人の会話を聞いて いたのでしょう。。子供は親の言うことが正しいと思ってしまうのだ、と反省しました。

その後そのお店は噂どおり約1ヶ月でお店を閉め、どこへともなく去っていきました。私は一度もそのお店に足を踏み入れなかったので、実際にあやしかったのか定かではありません。。




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み