ナナシとLINE
文字数 1,509文字
燃え尽きて真っ白な灰になったナナシ。
しかしまだこれだけでは、過酷な入学初日は終わらなかった。
ホームルームが終了した後、前席の美少女が突然振り返って、ナナシに話しかけて来たのだ。
友達登録の人数が多過ぎたり、
大人数のグループに入ってしまうと、ひっきりなしに通知が来て
うるさいから通知音なしに設定するが、それでも画面に通知の表示が出てしまい
試験期間中でも、気になって気になって、仕方がなくなって、勉強が全く手につかなくなってしまうという
おそろしいツールのことだな
もしくは
全くLINEを開かないと
LINE読めと怒られて
読んだら読んだで既読スルーするなと怒られる
返事をしなくてはならないという状況を生み出し、コミュニケーションを無理矢理強制されるという
コミュ障撲殺ツールのことか?
ナナシの見た目はそんなに悪くはない。
しかし、あまりにも圧倒的な陰キャぶり、コミュ障に起因する喋った時の気持ち悪さが、
見た目の好感度を一気に台無しにし、生理的な嫌悪、もしくは憎悪へと昇華させてしまうのだ。
それで中学時代に最初に声を掛けて来た女子は、見た目にだまされた怒りと憎しみ、自分の不甲斐なさを呪い、気持ち悪いと女子の間で触れ回った挙句、
ナナシが女子と話すのは
年に三回までとなっていた。
そしてナナシは、鏡などを普段全く見ないため、自分のルックスについては何も気づいていない。
小学生ぐらいの顔のイメージで、ナナシの中の本人像は止まってしまっていた。