ナナシとネガティブな遠回り
文字数 1,226文字
茫然と立ち尽くすナナシの背後から
再び声を掛けて来る女子の声。
直前のインパクトがあまりに強過ぎて
動揺しながら後ろを振り返るナナシ。
普段からナナシの話は長いので
最後までちゃんと聞いていないというのは
ナナミにはよくあることだ。
あまりに動揺し過ぎて
ナナシはその場から走って逃げ出す。
天然ではあるが
こちらも十分に可愛い美少女なのだから、
これを機にもっと親密になればいいのにと
普通ならば思うのであろうが、
やはりナナシはそれどころではない。
その後、三時間ぐらい
ナナミがまだ駅周辺に居るのではないかと思って、ナナシは駅に近寄ることが出来なかった。
そして明日の朝もまた早い……。
立ちそうになる恋愛フラグを
自ら渾身の力でバキバキにへし折って行く
それがナナシという人間なのだ。