ナナシのネガティブな通学電車
文字数 2,154文字
早朝、駅のホームで電車を待つナナシは思わずそう呟いた。
先日、成り行きでナナミが隣町に住んでいることを知ったナナシ。
朝、通学の電車で鉢合わせすることを怖れ
あれ以来電車に乗る時間を一時間以上早くして、毎朝早起きすることを強いられているのだった。
いや待て
それは俺のような女性の裸体に一生縁がなさそうな人間が、
彼氏とまぐわっている美少女の全裸を見られて
むしろラッキーということなのか?
リアルAVかっ!?
それもまたラッキースケベの一種なのか?
俺のような人間にとってのラッキースケベとはそういう
電車に乗ってもなお、ナナシの被害妄想はとどまることを知らない。
だが、まだ出会ってから日も浅いとうのに、俺があの女の何を知っているというのだ
表面のうっすいうっすい部分を
チラッと目にした程度に過ぎないではないか
あんな可愛らしい顔をした仮面の下で、牙を剥き出しにしているのかもしれないのだぞ?
伝えたいことの五パーセントも
ちゃんと誰かに伝えられているのか? コミュニケーションが取れているのか?
それすらも怪しい立場なのだぞ、俺は
そんな人類の革新のような壮大なテーマについて悩んでいる場合ではないのだ