第26話
文字数 771文字
しばらく空から追跡していると、車は住宅街に止まった。
男が車から出てきたので、私とりっちゃんはその近くの、男に見つからないような場所に着地した。
……男は人通りのない、細く薄暗い道に入っていく。
そして電信柱の影に身を隠すようにして佇んだ。
電灯の当たらない所にいるので
暗くてよくみえないが、何をしているのだろうか……。
そうした感じでしばらく時間が経過した。
と、そこに女性が一人通りかかる。
男は……
なんといきなりその女性に、襲い掛かろうとした。
女性の叫び声。
男はふいにくらった体当たりに、ふらつく。
しかしりっちゃんは厚めの防刃ベストをきているのか、
ナイフは刺さらなかった。
男は失敗したと思ったのか、全力で走り去る。
りっちゃんも走って追いかけようとするが
前に受けた傷が痛むようで、男にうまく追いつけない。
私もその後を走って追いかけるが……。
男は慌てて車に乗り込むと、
そのまま逃げだす……と思いきや、
こちらをめがけて急発進してきた。
……りっちゃんが私を抱きかかえてそれをかわす。
……車にひかれるのは回避したが、私たちはそのまま地面に横倒しになった。
地面にぶつかり衝撃を受け、
体が思うように動かない。