第11話
文字数 434文字
電灯でかすかだが背格好が見える。
人影……
多分男……は中肉中背。歳は……ちょっと暗くてよくわからないが、
りっちゃんよりは上……な気がした。
男はそのまま逃げ続けると思ったが、道が行きどまりだったのか、
急に方向転換し、私とりっちゃんの方に向かってきた。
もみあう男とりっちゃん。
りっちゃんは男を投げ飛ばす。
走ってきたのと、
胸がバクバクいっているせいで、
声がうわずってしまう。
私は防犯ブザーを取り出し、それを鳴らす。
辺りにブザーの音が鳴り響く。
りっちゃんのうめく声。
りっちゃんの脇腹から、血が滴る……。
絞り出すようなりっちゃんの声。
男は私を突き飛ばし、その場から逃げ出した……。
……私はりっちゃんに駆け寄った。
もみ合っていた男は、ナイフでりっちゃんを……。