第4話
文字数 1,050文字
そんな感じで私はりっちゃん、ラビと一緒に
”私が死んでしまった世界”に来た。
降り立ったのは、パラレルワールドのりっちゃんの家だ。
ラビが笑いながらそういった。
なんとなくりっちゃんの部屋を見渡す。
りっちゃんの机の上には……”私”の写真が飾られていた……。
実は紗奈が死んでからすぐに君のところに行ったわけじゃない。
もう半年以上たってるんだ……。
でも犯人はまだ捕まっていない。
それどころか、僕まで容疑者になってる。
僕はどうすることもできない気持ちにいら立っていた。
大事な人を守れなかった悔しさも……。
犯人をみつけられない無力さも……。
半年間……僕はひたすら、紗奈を守れなかった自分を責めて責めて……
……泣いていただけだよ……
そんな時、ラビが現れて、紗奈の生きてる世界があるけど、
今すぐ助けないと、危ないっていうから……。
こんなこと言っちゃうと、君にとっては、あれかもしれないけど、
最初は”時間を巻き戻してほしい”っていったんだ。
今度は絶対助けたいからって……。
……自分の世界の紗奈を……。
でも、ラビは”隣り合っている世界”に行くのは実は簡単だけど、
時間を巻き戻すのは、かなり大変だって……。
僕一人の魂じゃパワーが足りないって。
……いや”報酬として見合わない”……っていったかな?
……僕は別に紗奈のことを忘れたわけでも、
君と一緒にここで暮らしたいわけでもない……。
ただ、パラレルワールドに生きている紗奈がいて、殺されそうになるかもって聞いたとき、
やっぱり助けなきゃって……。
いてもたってもいられなくなっただけさ。
それに君といれば、膠着状態になっている現状を打破して、
犯人に近づけるかもしれないからね
それを聞いてちょっとだけさみしくなった。
前にパラレルワールドの紗奈が言ってたことが、
ちょっとだけ分かった、かもしれない。
目の前のりっちゃんは、りっちゃんにすごく似てるけど、
同じ世界で共に生きてきた、りっちゃんじゃ……ないんだなって……。