第41話

文字数 1,439文字



ロボサムライ駆ける■第39回地下大空洞の中で黄金大仏と戦うロボ侍早乙女モンド。モンド主水の剣ムラマサは、大仏を生身のように切り込んでいく。

ロボサムライ駆ける■第39回


 大仏は地下大空洞の中へ落ち込んでいく。
続いて後を追って飛び込む主水。
主水は何とか地面に立っていた。
「ここがお主と私の死のリングぞ」
 黄金大仏に叫ぶ主水である。
 空いた穴から光りがさしこむだけで後は真っ暗である。
大仏はゆっくりと立ち上がる。足元はかなり窪んでいる。
ゆっくり、暗渠の中を見渡し、ようやく主水を見つけた。
 にやりと笑ったようでもあった。法衣の裾さばきも良く、ぐいぐいと主水の方に近づいて来る。身長三十メートル。主水の体が小さくて、目に入らぬのではないかと思うくらいである。急に腰を屈めてくる。
 足が跳んで来た。踏みつぶそうというのか。主水は真上に剣を突き上げた。刀が何かの中に入っていく。
 大仏の足の裏に突き刺さっていた。一瞬の後、主水は足の先より逃げていた。
「ぐわっ、ぐわっ」
 大袈裟な反応が大仏ロボットより返ってくる。
無論タイ語でしゃべっているのであろう。
おや、思ったより、皮膚が柔らかいらしい。
 ロボットは通常機材のハイチタン製ではないようだ。二本目の刀、愛刀ムラマサをもって、目の前にある足の上を、刀の刀頂を支点にして飛び越してみる。
「ぐわっああ」
 すっぱりと,刀ムラマサの通った後に傷が残っている。
 見かけ倒しだ。
痛点があちこちにあるらしい。主水は右足から臑、大腿部と続けて飛び上がる。
 大仏はすばやく動く主水を見つけられないようだ。
 よろしい、それならと、背中から首もとへ。主水は動く。
右の手を背中にまわそうとする大仏ロボット。だが、
「かゆいところへ手は届かぬ」ではないが、肩のジョイント部分が正常に作動しない。手が回り切らないのだ。
 主水を探す左手のひらを再び刀で切り下ろしてみる。大仏の手のひらに生命線が切り刻まれている。
「大仏よ、お前の生命線が長くはないぞ」
 つぶやく主水。
 背中から首へ飛び上がった主水は、首のロボット痛点に刀を差し入れる。
 よくよく考えれば、大仏ロボットは武器を持っていないのだ
。大仏の武器はその体なのである。
伸びる指にすばやく指紋を刀で刺される。大仏との闘いは、ほとんど主水のペースであった。
 これには当のロセンデールですら、気もつかなかったであろう。
「くそっ、タイの大仏はこんな不良品だったのですか。単なるでくの坊じゃないですか。諸君」
 ロセンデールは歯がみする。
「いやいや、大仏ならぬおだぶつですよ」
 まわりにいたクルトフがなれぬシャレを言う。クルトフもやけくそである。
「クルトフくん、君までが、、、」
 ついに大仏の顔のうえで飛び上がった主水の剣ムラマサは、耳、鼻を切り落とした。
 とどめに両眼を突き刺す主水。まるで生身の体をもつ大仏はゆらゆらと揺れ、ドウと大地に倒れた。
 大仏の体は、どろりと、ゆっくり分解する。
大仏の体は、バイオコプターの機体集合体となり、それもくずれ、バイオコプター飛行士の体がどさりと出てくる。
 主水は片手で大仏ロボット死体のパーツを拝む。
このタイの大仏は、小型バイオコプター40機が合体してできていたのである。それゆえ、移動も簡単なのであった。
「徳川公国旗本ロボット、早乙女主水、ロセンデール卿の大仏ロボットをやぶったり」
 主水は魂の雄叫びを上げた。声は響き渡る。

(続く)

ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
第39回
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