第15話

文字数 913文字


16回
ロボサムライ駆ける
■第16回 早乙女主水、侍ロボに負けた西日本都市連合の使いロボ忍び群の前に、頭の花村が 現れ、怒りの念波を、彼らロボ忍びのリーダーであるロッカンに向けて放つ。

ロボサムライ駆ける■第16回■第三章 霊能師(5)


 急ぎ逃げ帰るロボ忍者の一団の前に。 黒い影が立っていた。
「お頭」一団の誰かが叫んでいた。
 逃げ来るロボ忍の前に一人の男が立ち塞がるように。怒っているのた。
 全員がおぞけを奮う。
 その男の前に立ち止まり、膝を屈する。
 やがて、その男がゆっきりと口を開く。
「お前たち、早乙女主水とかいう侍ロボットに負けて、しっぽを巻いて逃げてきよったか」 
怒りを含んだ声が、彼らの聴覚器に響く。
「お頭、申し訳ございません。あやつ思ったより、強く」
 先刻のリーダー格の男がしぶしぶしゃべった。かぶせるように、
「ええい、聞きとうない。主水など、たかが東京城の護衛ロボット。それに比して、我々はロボ忍、伝統ある特殊技能ロボットぞ。よいか、あやつ、今度会いし時、必ずや、血祭りにあげい」
 覆面で見えぬが頭と呼ばれた男の怒りは相当のものらしい。
「わかり申した」
 全員が口を揃える。
「それでじゃ、ロッカン」
 先頭の男に言う。
「はい、お頭」
「おまえは、負けた責任を取れい、死ねや」
「おまちください、今一度の機会をあたえてください。今度は……」
「ええい、くだらぬ言い訳など聞きとうないわい」
 その男が光りに包まれる。
「ぐえーっ」
 ロッカンは倒れていた。
「よいか、みせしめじゃ」
「わ…わかりもうした」
 ロボ忍の体が、小刻みに震えている。
 残りの全員が恐れていた。声は小さいが、唱和していた。
「ところで、お頭はどちらへ行かれます」
 ようやく、一人が尋ねた。
「水野さまよりの密命じゃ。依頼されて東京城へな」
「東京城でございますか」
 奇異な感じがした。
「そうじゃ、まあ、見ておれ、わしの腕をな。お前たちは、落合レイモンの一行を見張りながら、西日本の首都にかえれ」
ロボ忍者群は、花村とロッカンの死体を残して走り去った。
(頭もむごいのう)
 これが、彼らの思いであった。
続く20240531改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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