第39話

文字数 2,915文字

第38回の1ロボット奴隷の反乱が始まる。西日本都市連合の水野は事態収拾をロセンデール卿に依頼、神聖ゲルマン帝国のロボと剣闘士たちが戦う。上空の徳川飛行船が様子を伺う。
(この部分が色んなブログ他で長年欠損抜けておりました。お許しください)

■ロボサムライ駆ける■第38回の1
■第五章 機械城(1)

 大阪湾の空母ライオンの会場のあたりが急に騒がしくなった。
「剣闘士の試合をただちに止められい」
 鑑橋本部からのアナウンスが会場に響きわたる。
「どうした、なにごとだ」
 剣闘士たちも尋ね合う。
「会場におられる皆様方、速やかに退場口より退場されたい」
 空母上の観客たちもざわめきあう。大阪港の荷物置き場あたりに、火の手が上がっていた。都市連合の装甲車が出動して行く。
「どうやら反乱が起こったようだな」
主水の隣にいるロボットが、つぶやいていた。
「一体、誰の反乱なんだ」
 主水は尋ねていた。
「お主、何も知らぬようだのう」
 主水の顔を不審げにみる。
「すまぬ、東日本の出身なのだ」
「ほほう、知らぬのも無理はない。教えてやろう。ロボット奴隷の反乱じゃ。東日本のとは異なり、西日本ではすべてロボットは誰かの所有物じゃからのう」
 剣闘士のたまり場でも争いが始まっている。二派にわかれて、ロボット独立派とロボット奴隷派が、争いを始めてようとしている。
「主水殿、どちら側の味方に付かれるのか」
「いわずと知れたこと。反乱軍にお味方申す」
■ 司令室で水野が手を後ろに組み、歩き回っている。
「うむ、反乱ロボットめらが」
 怒り狂う斎藤、水野の日本側主催者。冷ややかな眼で見ているのが、ロセンデール卿である。
「卿、お味方くださらぬのか」
 秀吉顔の斎藤が尋ねた。それに対して、
「日本ロボットの反乱でしょう。我々神聖ゲルマン帝国には関わりなきこと。後で内政干渉と申されては痛し痒しですからね」
 ロセンデール卿は涼しい顔である。
「そこを何とか助けていただけぬか」
 信長顔の水野が困り果てて頼んだ。
「お願い申す」
 隣にいる斎藤も頭を下げる。
「わかりました。反乱軍を鎮圧してもよろしいのですが」
 ロセンデール卿は急に椅子からすっくと立ち上がる。
 ロセンデール卿は、その憂いをこめた眼差しを水野たちに向けて言葉をとぎらす。
「何かご所望のものがありますのでしょうや」水野はあわてて言う。
「反乱しておるロボットのボディを、我々の手にお譲りいただけますか」
おそろしいことを言ってのけた。
「そ、それは」
 水野は言い淀んだ。水野の心臓がギュッと締め上げられる。
 西日本都市連合にとって莫大な出費になる。しかも飛行甲板上にいるロボット剣闘士たちは、
各市よりすぐりのものばかりだ。
『このロボットたちが神聖ゲルマン帝国の手先となったら』と、ふと考える水野だった。
ロボザムライの精鋭が西日本に刃向かったとしたら、恐ろしい事態となる。
「どうなさいましたか。早く決めまれぬと、ほら、反乱ロボットがもうそこまで迫っておりましょう」
 水野の心の動揺を読み取っているように、ロセンデール卿がせかす。
「卿、そう驚かせないでください」
 斎藤はびくついている。
「わかりました。とりあえず、静めてくだされ。反乱ロボットのボディは差し上げましょう。ほかに」
「とりあえず…、ねえ…、しかたがないですねえ」
 ロセンデール卿が不承不承答えた。
「水野様、大丈夫でございますか」
 斎藤がこわごわ水野の袖を引く。
「よし、神聖ゲルマン帝国のロボットの諸君、出番です。日本ロボットを身動きできぬようにしなさい」
 ロセンデール卿が命令した。
 神聖ゲルマン帝国の闘技者ロボットが格納庫から次々と出現し、反乱ロボットに戦いを挑む。
「ごらんなさい。我が軍の勇姿を…」
 ロセンデール卿が誇らしげに言う。が、反乱ロボット軍も負けてはいない。逆に神聖ゲルマン帝国ロボットの群れに切り込んできた。
「いかん、神聖ゲルマン帝国のロボットが負けておりますぞ」
 水野はうめく。
「あ、あの先頭におりますロボットは」
「斎藤、お見知りおきか」
 ロセンデール卿が尋ねる。
「いかにも」
 水野もそう頷く。
「どれどれ」
 ロセンデールが先頭にいるロボットを垣間見る。そのロボザムライは、乱戦の中にあって見事な動きをしている。
「あれは…」
 ロセンデール卿の顔色が変わった。ロセンデール卿の頭の中に過去の出来事が蘇って来る。
「そのロボットに向かい、全員切りかかりなさい」
 めずらしく興奮し、命令するロセンデール卿だった。
「卿、いかがなされた」
 水野が、ロセンデール卿の急激な怒りの表情にびっくりして問う。
「あやつは、私ロセンデールの宿敵、早乙女主水です」
 水野はその名を叫び、絶句する。
「何! 早乙女主水」
「と、いうと、徳川公国の…」
 続く、斎藤も言葉をとめる。
「そうです、ええい、全員で切りかかりなさい。そやつだけは逃がしてはなりません」
 ロセンデールは柳眉を逆立てていた。
     ◆

「姐さん、どういたしやす。下はどうやら大混乱ですぜ」
 徳川空軍飛行船「高千穂」のコックピットで、鉄がマリアに叫んでいた。
「いいわ、助けに行くわ」
「それはなりません」
 佐久間空軍大尉が言った。
手には二人に向けて銃が握られている。
「何をしやがるんだ。佐久間さん」
「徳川公からの厳命なのです。我々の目的は早乙女殿とレイモン様を助け出すこと。
下で起こっている騒乱は西日本都市連合で処理すべきことなのです。
我々が参加すれば、西日本に対する内政干渉になり、徳川公、
さらには東日本都市連合の立場が悪くなります。
加えて、残念ながら、今徳川公廣さまが誘拐されました。西日本の手の内に」
 佐久間は冷たく述べる。
「えっ」
「いったい、誰に」
「分かりません、恐らくロセンデール卿でしょう」
「そうでしょうね、あの汚い殿様を誘拐するなんて」
「鉄さん、汚いってどういう意味なのですか」
「あれっ、姉さんも時々愚痴っているじゃありませんか、給料がすくないって」
 その答えにはマリアは答えぬ。
「誘拐されていわれれば、動けぬなあ。ああ腕がなるというのに。ともかく政治とは難しいものでござんすねえ、姐さん」
「鉄さん、腕が鳴るっていったって、あなた先日のタコの時みたいに震えているじゃありませんか」
「いやな、姐さんだねえ。いや、あっしは主水のだんなを助けようと思っていっているんですぜえ。じゃ何ですか、姐さんは主水のだんなのこと、気にならないんですかい」
「心配していますよ。でも、これくらいのことでやられてしまう主水ではありません。まあ、見ておいでなさい」
 佐久間が言葉を継いだ。
「お二人の話は付いたようですね。我々徳川空軍は、争いを避けるため、上空に停船します。お許しください。下界のことは、このテレビモニターでご覧ください。すきあらば、我々空軍の命にかえて、主水殿、レイモン様を助けにまいる所存です」
「そのお心持ちは有り難いことです、大尉」 
マリアの潤いを帯びた目に見つめられ、佐久間大尉も顔を赤らめた。
(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所(20190905改訂追加)

38回の2
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