第18話

文字数 921文字

ロボサムライ駆ける
■第19回 主水は、近畿新平野を見渡し大阪湾に異様な物を発見する。それは新ゲルマン帝国のロセンデール卿の空母ライオンである。

ロボサムライ駆ける■第19回■第三章 霊能師(8)
■近畿新平野を見渡す大阪湾■

「レイモン様、ようやく峠を越えましたぞ」
 関所から同道しているロボ侍、主水は、最初に駆け上がり、近畿新平野を見渡した。
 ここは暗がり峠であった。
霊戦争でわずかに残っていた台地である。 
「なんと」
 思わず主水は叫ぶ。壮観である。
 近畿新平野は霊戦争により、様変わりしていた。
大阪・京都・奈良・和歌山の山脈は消滅し、平野となっている。
宇宙衛星ボルテックスによるレザー攻撃でここにあった全日本軍の要塞が潰滅していた。
 が、主水は驚いたのはそのことではない。
大阪湾に異様な物を発見したからだ。
 主水の眼が二十倍ズームの態になり、大阪湾上をアップにしていた。
ロセンデールの空母ライオンから周囲十キロメートルにわたって
電磁バイヤーが張り巡らされている。
まるで大阪湾に張り巡らされた『蜘蛛の巣』のようにみえた。
「ロセンデールめ。すでに大阪湾を支配下においたとみえる」
 レイモンが主水のそばにきて、主水の見たる光景を霊力で盗み見していた。
「レイモン様、いったいあやつは……何を狙っているのでありましょうや」
ロセンデールめ、あせっているものとみえる。
ライオンの艦橋部分が霊波を送る中心塔なのだ。その霊波探査能力を倍増するために、大阪湾岸の高い建物のすべてに網を張り巡らせたのだ」
「西日本都市連合会議も市政庁も、何もクレームをつけないのでしょうか」
「恐らくロセンデールのことだ。巧妙な語り口で市政庁をあざむいておるのであろう」
「しかし、それでは、我々は飛んで火にいる夏の虫ではありますまいか」
「主水よ、それに対する古いことわざがあろうが」
「はっ、それは」
「わからぬのか、虎穴にいらずんば虎子をえずという奴じゃ。しかしながら、この虎子は大きいぞ。世界の歴史をひっくりかえすほどにな。ほっほっほ」
 落合レイモンはゆったりと笑い飛ばしている。
続く20240531改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

19回
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