第24話

文字数 867文字

ロボサムライ駆ける
■第24回ゲルマン帝国ロセンデール卿が、空母「ライオン」の士官室で徳川公国のロボ侍主水に破れた「サイ魚法師」を詰問していた。

ロボサムライ駆ける■第24回
■第3章(11)



「サイ魚法師殿、なぜしくじったのですか」
 ロセンデール卿が、空母「ライオン」の士官室で詰問していた。
発明家にして宗教家、サイ魚法師は、ロセンデール卿の怒りの前でただただ恐縮しているばかりであった。
「いかんせん、主水の方が強すぎました」
 ぼそりと言う。まるで先生に起こられている生徒である。
「強すぎたとですと、それは聞けませんねえ。あなたが、私たちに最初売り込んだ言葉を、お忘れですか。あなたは主水の弱みを握っていると言ったでしょう」
ロセンデール卿の言葉がチクチクとサイ魚法師の体をさす。
「そのとおりです」
「ですが、あなたは主水の始末を東京湾でしくじってしまった。おまけに潜水艦を一隻なくしまった。さらには潜水艦をもう一隻貸せとおっしゃる。何を考えておられるですか」
 ロセンデール卿は、美しい顔に怒りの表情を表していた。
急にロセンデール卿の顔は醜くなる。冷たい暗い表情である。
「もうよろしいです。契約は終了です。すでに、主水は我々の手にありますからね」
「何ですと、主水が……」
 絶句する法師。顔色が変わっている。

「おや、どうかされましたか」
「いえ、何でもありません。が今どこに」
 法師としては自分の手で主水と戦いたかったのである。
「そんなことは、あなたには関係ないでしょう。
あなたはもう、おはらい箱です。もうあうこともないでしょう」
 着衣のケープを翻してロセンデール卿は、法師の前から去った。
ロセンデール卿の部屋から出て、「こなくそ、今にみておれ、ほえずらかかせてやるわ」
 つぶやくサイ魚法師だった。
「が、主水め、一体どこに」
 首を傾げるサイ魚法師だった。
発明家にして宗教家、サイ魚法師は、本日の都市会議での騒ぎを知らなかったのである。
(続く)

■ロボサムライ駆ける■

24回
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