第177話 子どもの権利と尊重・自己実現 ❝単元まとめ❞ Bパート

文字数 8,620文字


 その後改めて朱先輩からの参考書の続きを、にらめっこしようと自室に戻ったら、

宛元:中条さん
題名:連絡ください
本文:彩風の件で話があります。時間は何時でも結構なので、また連絡待ってます。

 何回かの着信と共に、メッセージが入っていた。
『遅くなってごめん。何かあったの?』
 昨日休んでいた話の続きだとは思うけれど、私の方も蒼ちゃんの家出と言う事情もあって私から二人には何の行動も出来ていなかった。
『お忙しい中連日の連絡すみません。今日登校してきた彩風に聞いたんですが、あーしもどう言ったら良いのか分からなくて、恋愛マスターの愛先輩から助言をもらいたかったんです』
 私に助言とか、どう言ったら良いのかとか……どう考えても良い話ではなさそうなんだけれど……そう言えば昨日倉本君の機嫌はかなり悪かったけれど、話はしたのかな。
『……それってやっぱりメッセージにあった彩風さんと倉本君の話なんだよね。そして昨日休んでいた彩風さんも関係あるって考えて良いんだよね』
 気になった私は、本当に最近ではあるけれど元の可愛い後輩に戻ったのだからと、努めて冷静にと心の中で唱え続ける。
 それから待つこと

。大きく深い深呼吸をゆっくり三回繰り返した後で、
『……会長が、これ以上チームを乱すなら彩風に統括会を辞めろって言ったそうです。愛先輩には言いたくなかったんですが、あの二人は無理だと思います。それに正直に言うと、あの会長と昨日話しましたけど、彩風の友達として、あーしは付き合うのは賛成できません』
 そうか。もう色々通り越して逆に私の中で一つ踏ん切りがつきそうだ。
『昨日話して認められないって、結局どう言う話になったの?』
『なんか。何で俺がイチイチ霧華を気にしないといけないんだって。昔からの付き合いだから面倒くらいは見てやるけど、その結果がこれなんだったら、ハッキリ言って迷惑かけられただけだって言うんですよ。普通女子に向って言う言葉じゃないですよ。いくら彩風を女として見てないからって冷たすぎます。ただ愛先輩への気持ちだけは本物で、浮気だけは絶対しそうにない所は男として認めますけど、女への扱いが酷すぎます』
『……それで話自体は普通に出来たの? 昨夜私の携帯にかかって来た時は結構声を荒げてはいたよ?』
 倉本君が彩風さんに言った暴言は、もう論外として。まあ彩風さんの態度にもそこは問題あったから、朱先輩から聞いた無理矢理は良くないと言う話も加味して、私の中ではギリギリ許せる内容ではある。ただし、私への本気は辞めて欲しいけれど。
『あれはキレた男の特徴ですね。あのくらいの男なんてゴロゴロしてるんで、そこは気にしません。ただ彩風を何かの道具みたいに考えてるのは、あーし的には絶対ダメです。結局女を道具として見るからっ――ってこれ以上は蒼先輩に叱られるんでしたっけ。何にせよ女を大切に出来ない男なんてのは、結局浮気に走るんですから彩風にはお勧めできませんね』
 いや、キレた男の人の特徴って……それって一個間違えたら暴力なんじゃないのか。蒼ちゃんみたいになってしまうんじゃないのか。
『キレるって……中条さんは怖くないの?』
『もちろん怖いは怖いですけど、直接暴力さえなければ、こっちだって物投げつけるとかして、キレ返してやれば良いんですよ。それで向こうがやり返してきたら女の武器を使うだけです』
 ……なんか私の知っている中条さんの印象が更に過激になりそうだ。
『ああそうそう。それで話を元に戻しますけど、昨日は本当に彩風はショックで身体を壊したそうです……会長が駄目男だとしても、あーしだけでも愛先輩の言う通りにしておけば……』
 中条さんの話の途中で天井を見上げる私。今回は別に涙のせいじゃない。倉本君には、再三に渡って彩風さんには優しくしてあげてとお願いして来たのに、結局一度も聞いてもらえなかった倉本君への大きな失望感からだ。
『別に中条さんが自分を責める必要は無いよ。私だってあの二人を最後まで信じて中条さんにお願いしたんだから。それよりもどうして倉本君が彩風さんに“これ以上チームを乱すなら統括会を辞めろ”って言ったのかは聞けた?』
 私が今、涙せずにいられるのは朱先輩からの私は私のままで良い。彩風さんを応援して倉本君の誘いを断り続けていて、後は二人の問題だからと言う昨日の電話があったからだ。
『……その理由になるかは分かりませんが、今日一緒に帰った時、まるで憎悪のように雪野を目の敵にしてました。あの状態の彩風に雪野の話なんてしたら、間違いなく爆発します』
 結局最後まで倉本君の言葉に耳を傾けず、私のお願いも聞かず、中条さんの助言も聞かず、優希君の注意も聞かず……
 この視点だと倉本君の言っている意味は分からないではない。
 ただ少しだけ見方を変えると……彩風さんの一体何がそこまで態度を頑なにしてしまったのか。
『分かった。取り敢えず明日から私も復学するから、また会った時にでもゆっくり話を聞かせてもらっても良い?』
 結果が出てもって言うか、結果が出てしまったからこその雪野さんへの罵倒なんだろうけれど、今回の件に関して言えば、二人と私の問題で、雪野さん……ひょっとして……。
『――?! 明日からって、愛先輩完治したんですか?』
『完治してはいないよ。でも病院からは許可出たし、何より私だけゆっくりなんてしていられないよ』
 何かがひらめきそうになったけれど、興奮した中条さんの声に思考そのものが飛んで行ってしまう。
『じゃあ明日愛先輩に会えるんですね』
 だけれど、私と会うのを楽しみにしてくれているような声に、文句なんてある訳もなく。
『お昼は雪野さんと摂るつもりをしているから、確約は出来ないけれどその分彩風さんを気にかけてもらえれば嬉しいかな』
 ただ、内容や態度はどうあれ彩風さんもまた一人には出来ないから、お願いはしておく。もっとも彩風さんの交流は広そうだから余計なおせっかいかもしれないけれど。
『雪野ばっかり気にする愛先輩に言いたい事もありますけど、彩風も気にはなるので取り敢えず分かりました』
 ただそれよりも倉本君の言動だ。私のお願いは聞いてくれないし、雪野さんには丁寧に優しく言い含めていたかと思えば、雪野さんには全くかまうそぶりも見せない。更に雪野さんに対する文句を言った彩風さんには“統括会を降りろ!”だなんて二回も言っているし。
『それと念のために言っておくと、明日登校した時、中条さんが雪野さんの良い所の一つでも訂正してくれているのかどうかも直接聞かせてもらうから、そのつもりしておいてね』
 よくよく考えてみると、倉本君の行動に一貫性を感じられない。
『! はいっ。分かりました』
 これもまた、倉本君と二人きりにならない方法でその真意だけは探りたい。
『それじゃあ今日は色々教えてくれてありがとう』
 朱先輩のおかげで、今日は最後まで涙せずに中条さんの話は聞けた。私は通話の切れた携帯を眺めながら、倉本君から直接話を聞く方法を考える。

 本当なら明日から久々と感じる登校に、少しくらいは心が浮き立つはずなのに、統括会から教室の空気まで山積する問題、課題のせいで気が重い。
「――っ!」
 私が大きくため息をついたところに、咲夜さんからも電話がかかって来る。
『私だけれど、どうしたの?』
 まあ何となく予想自体は出来るんだけれど。
『あたし、愛美さんとの約束通り会長の応援を取り消して、愛美さんをそっとしておくように実祝さんと一緒にお願いしに行ったんだけど……』 (167話)
 どうなったのかは、昨日の電話と合わせて何となく分かった。
『納得しなかった?』
『……納得って言うか、あれは完全に本気だよ。だって “それって俺の気持ちを知った上で利用したって事か? 無責任に担いだって事なのかっ!” ってあたし、本気で怒られたの。ただそれに関しては実祝さんからも “確かに会長も感じ悪いけど、愛美みたいな言い方をするなら男にも心があるんだから、そこだけは会長は悪くない。その上であたしからは連絡はしないから、自分で言った方が良い” って注意された。本当、こんな事になるなんて思ってもいなくて、ごめんなさい!』
 咲夜さんの話をそのまま取るとしたら、私としては大変不本意ではあるのだけれど、去年から私を気にかけていた倉本君。
 そして今年に入ってから幼馴染の彩風さんと雪野さんが統括会に参加してくれた。以降五人での体勢になって私は優希君に惹かれて行った。ただ一方でいつからかは分からない……雪野さんはひょっとしてあの時からすでに……。
 ただ、朱先輩の話によると、私が優希君に夢中になるのに比例して、倉本君からの押しも強くなって行ってたし、順を追って私に“好き”を見せて行っていた……。
『……』
 咲夜さんの話に戻して、蒼ちゃんの事件の時、保健室内での咲夜さんの話によると、あのメガネや倉本君に確かに私との仲を協力すると言って声を掛けた。だからその責任を取るために今週咲夜さんの方から、実祝さんと共に倉本君への応援取り消しに行ったって話だった。
『……愛美さん?』
 だけれど倉本君は私に対して本気だと言って男の人の心を弄んだ。みたいな言い方をされて怒られた……モメた。
 ただそこに関してのみ実祝さんは理解した。
 咲夜さん側だけで見れば、一聞話としては綺麗に通っているように聞こえるけれど、何かがおかしいと私の勘が告げる。
『ちょっと考え事しているから、少しだけ待っててね』
 私があのメガネに声を掛けられたのは、優希君とお付き合いを始めてからだ。 (49話・50話)
 これは人生で初めて彼氏が出来たのだから、間違えるはずがない。でも倉本君が役職じゃなくて名前で呼んで欲しいとか、握手するとか、私への好意を見せて来たのはそれ以前のはずだ。 (32話)
『念のため咲夜さんに確認なんだけれど、倉本君に協力し始めたのはいつ頃の話なの?』
 だとしたら場合によっては、咲夜さんが声を掛けて協力を申し出た時点では、もう完全に本気だったと言う話になってしまう……いや。でもあの保健室の時に、もう倉本君が本気だって言っていたか。
『……はっきりと覚えてないけど、六月の中頃だった気がする。ただ島崎君と同時期だったのは間違いないはず――それがどうかしたの?』
 やっぱりそうか。あの保健室での話が全て真実だとするなら、倉本君に協力を申し出たのが六月の中旬。私と優希君がお付き合いを始めたのが6月14日の日曜日なのだから、時期的にも一致する。
 だとするならば咲夜さんが声を掛ける前から、倉本君は私に本気になってしまっていたって話になってしまって……
 繋がらないというか、チグハグな気がする。
『咲夜さんは今日、実祝さんと一緒に倉本君に、私をそっとしておくように言ってくれたんだよね』
『ちゃんと言った。何なら実祝さんもその場にいたから聞いてもらっても良いよ』
 ……どうして以前から私に気があったのに、あたかもそれを咲夜さんが声を掛けた

って言って、私の友達を責めたのだろう。少なくとも朱先輩も段階を踏んでいるとは言っても、私を好きになっている、本気になっているとは教えてくれていたのだ。
『ううん。その必要は無いよ。それよりもちゃんと言ってくれたのなら、後は倉本君から何を言われたとしても全く気にする必要は無いよ』
 最後にもう一回だけ整理しておく。分り易く日付で区切るなら、私たちは6月14日(日曜日)からお付き合いを始めた。そして咲夜さんが6月15日(月曜日)にメガネと倉本君に私との仲の協力の申請を申し出た。
 でも咲夜さんの話だと倉本君は二年の時から、私が気にはなっていた。
『気にする必要は無いって、あたしを許してくれるの? それとも……』
 一方私に名前で呼んで欲しい、私と握手がしたい、そう言えば優希君とより倉本君と出かけて欲しいみたいな話をしていた気がする。 (31話ー45話)
 あの時も役員室の買い出しで、私の頭が真っ白になってしまった時だから、覚えてはいるけれどアレも私たちがお付き合いをする前だったのだから、6月14日(日曜日)以前の話のはずなのだ。
 つまり6月14日(日曜日)以前から私に対して本気だったとしたら、それ以前に私か私以外の何かが原因で本気になってしまったって事になる。
『赦すも赦さないもひょっとすると、咲夜さんは全く責任を感じる必要は無かったのかもしれない』
 考えがまとまったはずなのに、別の何かが潜んでいるかもしれない、何かを聞き落として、あるいは見落としているかもしれないこの気持ち悪さ。
『何か分からないけど、愛美さんがそう言ってくれるなら一つだけ。愛美さんにその気は無いだろうから完全に余計な一言だけど、あの会長怒るとものすごく怖いから、ああ言う人と付き合うのは考えた方が良いと思う。何て言ったら良いのか分からないけど、多分すごく束縛が強い気がする』
 更に初学期の態度を思い返したら、考えられない発言をする咲夜さん。その辺りは実祝さんがうまく対処してくれたとは思うけれど、“ものすごく怒られた”中に、そう言わしめる何かがあったのだとは思う。
『ありがとう。でも可愛くない後輩に怒鳴っているのも何度か目の前で見ているから知ってはいるよ』
 まあ彩風さん相手なんだけれど。
『知ってるなら良いんだけど、あの会長までそんなんだったなんて、本当に何を信じたら良いのか。見かけも当てにならないと分かんないね』
 でも咲夜さんからしたら、そう目に映るのか。でもまあ2グループからの友達と言い、男の人からと言い……これだけ立て続けに――
『――そう考えると

って穏やかで良い人だよね』
 ――私の中で咲夜さんに対する警戒心が跳ね上がる。
『そうそう。明日から私、復学するからまたゆっくり話、しようね』
『っ! 分かった。明日から楽しみにしてる』
 中条さんとは明らかに違う声音。どうしてたくさん男の人がいるのにみんな一人に集まって来るのか。
『じゃあまた明日だね』
『うん。今日はありがとう』
 私の牽制を受けて、気持ちを漏らしてしまったと気付いたのか、そのまま逃げるように通話を終えた咲夜さん。悪いけれど誰が相手でも優希君を渡すつもりは無い。
 だからもしもの場合は、絡め手でも何でも使って引いてもらうつもりではいる。


 私が咲夜さんに対してもドロリとした感情を持て余していると、
『やっと繋がった』
 私のドロリとした感情をサラサラにしてくれる唯一の人、優希君が電話をかけて来てくれる。
『ごめん。中条さんと少し長電話をしていたの』
 だけれど、咲夜さんに対して“優しい”と付けるのすら耳にしたくなかった私は、とっさに嘘にならない範囲で事実とは違う相手を口にする。
『中条さん?』
『うん。雪野さんの件や彩風さんの相談事で、協力してもらっているから』
 主に恋愛だけれど。
『そっか……雪野さんの件ならありがとう』
 私の気持ちを汲んでくれた上での言葉……こう言う男の人が少ないから、一部の男の人に女子が集中するのかもしれないけれど、やっぱりそれとこれは別の話だ。
『それで今日はどうしたの?』
 さっきの話し方だと、私に何か伝えたい事があるのだと思ったんだけれど。
『僕はいつもの愛美さんが好きだから、いつもの愛美さんらしく、僕にはワガママでも何でも言って欲しい』 (175話)
『えっと?』
 何だかよく分からないけれど、どうしたのかな。ひょっとしてまた彩風さんが余計な話でもしたのかな。
『えっと。愛美さんが僕に対して思った事はそのまま伝えてくれたら嬉しいって話。だから意気地なしって――「何それ。あのハレンチ女。お兄ちゃんにそんな事ゆったの?」――ちょっと優珠! 愛美さんと喋りたいのは分かるけど、明日一緒に登校出来るんだから、今日は我慢して』
 私が蒼ちゃんに言われて渋々打ち込んだメッセージの事だと思い至った瞬間、毎回お馴染みの優珠希ちゃんの声が聞こえたけれど、明日から登校するって……昨日病院次第でとは言ったのか。
『ううん。本当に私、優希君は意気地なしだなんて思ってないし、カッコ良いって思ってるよ』
 あれは私に気持ちを伝えて欲しかった女心なのだ。
 だからやっぱり無理矢理言わせた言葉に意味なんて無かった。だったら優希君がごまかしたくないって思う程、私自身を磨き上げないといけないってだけの話なのに。
『ありがとう。でも僕は愛美さんを離したくないから遠慮はしないで欲しいし、倉本が僕について何か言って来ても、耳を貸さないで欲しい』
 何だかよく分からないけれど、男同士でも何か話をしたのかな。
『大丈夫だよ。耳を貸すどころか倉本君……あの会長には、私から言いたい事が山ほど溜まっているの』
 ただ一つ分かるのは、あの倉本く――会長も私の彼氏を不安にさせるような話を口にしたのだと言う事。だったら先の“いつ私に本気になった”のかも分からない上、何回も私からお願いしたにもかかわらず、大切な私の親友や友達にまで声を荒げたのだから、私から距離を取れば良いのかもしれない。
『! 愛美さんその呼び方』
『うん。私の中であの会長にはうんざりして来ているから、完全に以前の距離、あくまで統括会の書記と会長の関係に戻した方が良いのかなって』
 会長が何かを隠して、ごまかしてまで私に本気だって言っても、私だって会長なんて本気でお断りなんだから、優珠希ちゃんが言うように、しっかりと行動で示した方が良いのかもしれない。
 これが恋愛初心者なりに私が考えた一つの行動なんだけれど……
『駄目だって分かっててもすごく嬉しい、ありがとう愛美さ――「だからゆったじゃない。愛美先輩なら大丈夫だって。お兄ちゃんが心配するのも不安なのもよく分かるし、反論も異論もないけど、あと少しくらいなら勇気を出してあの腹黒オンナを信用しても大丈夫よ」――うん。僕も少しずつだけど実感してる』
 本当なら彼女との電話なのに、また妹さんがいて、しかも相変わらず私への言い方もそのままなのに、優希君も訂正してくれていないし。だから文句を言おうとした矢先に予想しない形で優珠希ちゃんの気持ちを聞いてしまったら、邪険にも出来ない。
『それから予定通り明日から登校出来そうだから、

で登校しようね』
 だったら改めて明日からの話を私から振っても良いかなと思う。
『?! 分かった。じゃあ明日の登校楽しみにしてるから。待ち合わせ場所はいつもの最寄り駅で良い?』
 私まで嬉しくなるような桜色の優希君の声。
『うん! じゃあ明日楽しみにしているから、優珠希ちゃんと御国さんにもよろしくね』
 だから私まで夜も遅い時間だって言うのに色づく。
『じゃあ早く明日になるように今日はもう寝るね』
 そして時折見せてくれる優希君のこの子供っぽさがまた、私を何とも言えない気持ちにしてくれるのだ。
『じゃあ私も今日は寝るね。おやすみ』
 だから私も便乗して、通話を終える。

 それから久しぶりとなる学校の準備をして、忘れずにお揃いのペンが入っているのも確認してからこれなら口実にもなるかと

宛先:巻本先生
本文:岡本です。巻本先生へ。夜遅いのでミニメッセージで失礼します。明日から
   登校します。だから元気出して下さいね。ちなみにこれが私の番号です。

 先生に明日から登校する連絡と

宛先:雪野さん
題名:明日から登校できるよ
本文:連絡遅くなってごめん。遅いからメッセージで失礼するけれど、予定通り
   明日から登校出来るから、お昼は一緒しようね。その時に雪野さんの話し
   たかった話、聞かせてね。

 雪野さんへの明日からの登校メールを送って布団へと潜り込む。

================次単元予告=================
   無事に何とか親友の家出も解決し主人公自身も復学の目処が立つ中
 二人の心は修復不能なほどにまで離れ、周りも一様に反対へと意見を変える

        ただその中で続く違和感と不可解な後輩の言動
   喉に小骨を詰まらせたまま、復学してからの金曜日を迎えることに

    そして迎える金曜日、引っかかっていた小骨が白日に晒される……

          「お前なんで空木に全部言ったんだ!」

        次単元 178話~189話 人を成長させる恋愛
            9月16日(水)~9月18日(金)

――――――――――――――――次回予告――――――――――――――――――
       諸々事情を乗り越え、本当に久しぶりと感じる登校
      これには彼氏どころか拗ねながらもみんなが喜んでくれる
        ただこっちはこっちで、園芸部の話もあり……

     一方久しぶりの登校と言う事もあり二人仲良く教室まで訪れるが
     そこにはつい昨日警戒心を上げたばかりの友達が待っていて……

      複雑に絡まり合う恋情の中、最後の意図と糸がほどけ始める

    「そんな事はない! 

は岡本と会えて嬉しい! これは本心だ」

             第178話 学級崩壊


(※1)以前の付録参照願います (【結】2冊目の付録1)
(※2)2022年4月1日適用開始済み
(※3)こちらも2022年4月1日から適用済みです

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