嵐が来ても1

文字数 983文字

もう夏休みは来ていてその最中のある土曜日。

その日台風が来ていて家族で家の中に避難していた。

和磨は私と家にいた中、
父親は勤め先の漁港から午後早くに帰ってきて、母は海辺のお土産屋さんから父から少し遅れて帰ってきた。

海まで歩いて15分、登り坂の上ということもあり比較的安全な場所になっているから毎年台風被害からは免れてこれていたので

今年も平気なはずだと言うことで家族皆は家に身を寄せた。

実際に午後3時頃を過ぎると天気予報通りに猛烈に雨が降ってきて、風も凄く強くて、

庭の木と家の近くの木々が倒れそうになるくらい葉と枝を風に煽られていた。

雷も凄いし、なんだか怖くて

「神様助けてください!」と、リビングのソファーにうずくまりながら内心お祈りをした私。

そのご利益なのか、台風は無事過ぎ去り、
夕陽は空で輝いて見えた。


残された台風の被害は、少し目立つものだった。

台風は過ぎ去り、その次の日は眩しくお日様が晴れ間をつくり出し照らしている中、

庭が強風で荒れているのを見ていた。

お父さんが昨日言っていたとおりこの日休みで
日曜日でも普段なら仕事に出かける時間だけど

庭の散らかった剪定道具とかスプレー缶を元の場所に置き倒された自転車を起こしていた。


私は庭を後にして、部屋に戻り、スマホを見てみた。

そういえば昨日はナオトくんに連絡してた。

電話をかけて、出なかったから「大丈夫?」ってメッセージしていたけど、返事は無かった。

でも今朝「大丈夫。家族は騒いでたけどね。」

って返事は来ていた。

何だか良かった。まさか台風にさらわれて大変な事になってるんじゃないかって心配に思っていた。


でもホッとした。生きててくれて良かった。




この世はあふれる創造の中、時々破壊されて壊されて

そして再生されて、そうやって繰り返されていく。

それでちっぽけだけど私がいてみんながいる。

と、ふと、大きなスケールで考えてみた。


島があって、みんながいて私もいる。

それでナオトくんと私がいる。


何気なくって思わされる程だけど一生懸命なお父さんと大人しいけど頑固なお母さんや、
あまのじゃくでも素直な可愛い弟の支えで
私も生きている中の事。

その後部屋を出て
もしかしたら買い物に困ることになるかもって
お母さんが買っておいたソーセージの缶詰をあけてお昼ごはんにソテーにしてくれて
パスタと一緒に食べながらも
繰り返しさっきと同じ事をつらつらと考えていた。







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登場人物紹介

のあ ...主人公。明るくマイペースな女子。中学2年生。

ナオト...主人公に家が近い。気まぐれでマイペースな男子。高校2年生。

みさき...主人公のあの親友の女子。

達弥...主人公のあの同級生男子。


気になるニャ♪

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