第5話:自由民主党の政権の終了と細川おろし

文字数 2,029文字

 自由民主党は、結党以来、はじめての過半数割れを喫することになります。この選挙では土井たか子委員長率いる社会党が躍進した。「山が動いた」という土井委員長の台詞はこのときのものです。宇野内閣が69日で退陣後、1989年8月9日海部俊樹内閣が、発足した。また東欧でも、レフ・ワレサ委員長率いるポーランドの自主管理労組「連帯」などをきっかけに民主化運動が激化した。

 そのため、1989年にはベルリンの壁が崩壊した。また、東欧の民主化が一気に進んだ。それと同時に、この動きはバルト三国「エストニア、ラトビア、リトアニア」の独立にまで波及した。奇しくも1989年は、昭和の終焉と東西冷戦体制の崩壊が重なった事になる。冷戦体制の崩壊は、それまでの人びとの認識や思考の枠組みが、冷戦体制に基づく「冷戦的思考」であったと気づかせる事態ともなった。

 その後、ソ連ではミハイル・ゴルバチョフ書記長が登場して1990年3月に大統領に就任、軍縮が進められた。ゴルバチョフによるペレストロイカ「改革」とグラスノスチ「情報公開」は、結果的にソ連を崩壊へと導いた。海部内閣時代には湾岸戦争が勃発し「1991年1月」、自衛隊がはじめて海外に派遣された。この頃、東京佐川急便事件が、起こった。

 1991年2月頃からバブル景気の崩壊が顕著となり石井隆匡の利息の支払いが滞るようになった。これにより巨額負債の返済不能が、確実となった。このため、東京佐川急便の幹部は、パニックとなり、石井に返済計画の提出を求めた。だが、石井は「更なる資金が必要」と返答。東京佐川急便は、さらに債務保証をする事になった。

 莫大な債務を負うことになった東京佐川急便は、倒産寸前となり、親会社の佐川急便に吸収された。裁判記録によると石井隆匡の部下が数週間おきに東京佐川急便を訪れて保証を求めた。また、当時の東京佐川急便の幹部は、石井の経歴を理解していたとされる。1991年7月、渡辺広康ら東京佐川急便の幹部は全員解雇された。

 7月、東京地方検察庁により東京佐川急便の幹部は信託義務違反の容疑で起訴された。1991年9月、石井隆匡が、病死した。1992年2月、東京佐川急便が、新潟県出身の日本社会党の吉田和子のパーティー券を500万円分購入した際、ヤミ献金疑惑が浮上した。吉田和子は、党役職を辞任した。新潟県選出の社会党の筒井信隆も献金疑惑が浮上した。

 筒井も党役職を辞任。新潟県知事の金子清も、東京佐川急便の1億円献金疑惑で、辞職。ただ、他の大物議員や闇資金ルートは、解明されないまま事件は、闇に葬られた。1992年2月14日、東京地検特捜部は、渡辺広康社長、早乙女潤常務ら4人を東京佐川急便に952億円の損害を与えたとし、特別背任容疑で逮捕した。

 数千億単位の資金が非合法組織に流れたため、東京地検特捜部もヤミ献金や不正融資などの疑惑の追及を続けた。夏、1992年8月上旬、証券会社の担当者から山野にソニー株の気配値が3600円で安く買いと言われ、同意し1万5千株、成り行き買い注文を出し、5400万円で買え、投資残金が、5420万円となった。

 1992年9月28日、東京佐川急便から5億円の政治献金を受けていた金丸信は、政治資金規正法違反で東京地方検察庁から略式起訴された。金丸は、政治資金収支報告書への記載漏れを認め、5万円の罰金刑となった。だが、青島幸男が、議員辞職を求めて、国会議事堂前で、ハンガーストライキを決行した。

「政治家には、特別な計はからいをするから特捜部から声が上がった」その後、特捜部が入居する九段第1合同庁舎の「検察庁」表札には黄ペンキが投げつけられる、など世論が猛反発。その結果、金丸信は国会議員の辞職に追い込まれた。5億円の政治献金を巡り小沢一郎は検察への徹底抗戦を主張した。一方、同じ経世会の梶山静六は、早期の事態収拾を図ることを求めた。

 以前より関係が悪かった小沢と梶山の対立はここで決定的となり経世会内部の亀裂も深刻化。金丸信の失脚後、派閥後継を巡る内部抗争のきっかけとなった。日本社会党が、要求した竹下登に対する証人喚問が、1992年11月26日衆議院予算委員会にて行われた。この場で、竹下は、渡辺広康とホテルで会談したことは認めたが、民社党中野寛成から議員辞職について問われた。

 すると「私という人間の持つ一つの体質が今、論理構成されましたような悲劇を生んでおる。これは私自身顧みて、罪万死に値するというふうに思うわけでございます。ただ、議員辞職の問題は、私が重ねて申し上げますように、いわば日本国の首班決定には暴力団が介入したことを是認するという行為は、私はとることができないというふうに考えておるものでございます」と述べた。

 1993年2月17日、衆議院予算委員会は、小沢一郎を証人喚問した。
しかし、「私はお茶汲みをしていただけで、話の内容は知らない」と述べ、関与を否定した。
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