第10話:リーマンショックの影響と日本の超低金利

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 その結果、過去最高の14.15%の上昇率を記録した。しかし、10月16日、日経平均株価終値が前取引日に比べ1089円2銭安の8458円45銭となり、ブラックマンデーに次ぐ史上2位の11.41%の下落率を記録した。10月24日ロンドン外国為替市場で一時1ドル90円台、1ユーロ、113円台と、1995年8月以来13年3か月ぶりとなる円高を記録した。

 さらなる円高の影響で、日経平均株価が、大幅に下落した。その結果、2003年5月以来、5年5ヶ月ぶりに日経平均株価が、8千円を割り前日比811円90銭安の7649円3銭の終値で終了した。2008年10月27日、早朝、金のETFとしてSPDRコールドシェアの気配値が6720円となっていて安いと感じ2万株、成り行き買い注文を出すと13440万円で買え山野経済研究所の残金が、21560万円となった。

 同日、日経平均株価、2003年4月のバブル崩壊以降、最安値を更新した。前週末比486円18銭「6.36%」安の7162円90銭となった。 これは、1982年10月7日以来、26年ぶりの安値水準を記録。10月30日、麻生太郎首相、記者会見で総事業規模26兆9千億円の追加経済対策概要を発表した。

 同時に3年後の消費税率引き上げ案、及び現時点での衆議院の解散・総選挙はないことを明言した。12月19日、日本銀行、政策金利の誘導目標を年0.3%から0.1%程度に引き下げることを決定した。こうした金融危機は、実体経済も巻き込んで、経済状態を悪化させていった。金融面の混乱が、実体経済を悪化させた。

 その実体経済の悪化が、金融の傷を深くするという形で、金融と実体経済の悪循環が、発生した。まず、世界金融危機により金融機関が保有する住宅ローン証券化商品の価値が下落して金融機関のバランスシートが悪化する。すると、金融機関は財務状況が悪化するので、家計や企業への貸し出し態度を厳格化する。これが企業の設備・在庫投資、家計の消費を抑制した。

 また、投資家はリスクを恐れて株式市場から資金を引き揚げたので、株価は、大幅に下落した。これが、消費を冷やし逆資産効果をもたらした。一方、実体経済の悪化が金融情勢を悪化させた。そのルートとしては、住宅市場の低迷が住宅ローンの延滞、差し押さえを増加させ、住宅ローン関連商品の取引を阻害する事、実体経済の悪化が企業の倒産を増大させた。

 そして銀行の貸し出しリスクをさらに引き上げることなどがある。2008年11月に行なわれたアメリカ大統領選挙は、まさにリーマン・ショック後の世界金融危機、アメリカ景気の落ち込みの中で行なわれた。このため選挙では、経済問題が最大の論点となった。ブッシュ政権下でも、2008年10月3日には、緊急経済安定化法が成立し経済の安定化策が、とられた。

 ただ、ブッシュ政権下での取り組みは、需要刺激策を含む本格的なものではなかった。そのため選挙までに、その成果を現わすまでには至らなかった。オバマ大統領は、こうして就任前から経済問題に大きな政策的関心を払わざるをえない状況となっておいた。そのため、選挙当時の公約を果たすうえでも、就任直後から精力的に経済対策を打ち出した。

 大統領就任前から経済再生計画を検討した。そのため就任後1ヵ月足らずの2009年2月には「アメリカ再生・再投資法」が成立した。この法律に基づく支出は総額7872億ドル「国内総生産比、約5.5%」に達しており、過去最大の景気刺激策であった。その主な内容は、次のようなものだった。第1は、減税である。

 具体的には、勤労者向け減税「単身世帯400ドル、夫婦世帯800ドル」住宅ローン減税「新規購入者に最大8千ドル」、設備投資刺激のための企業減税などが行なわれた。2009年度の減税総額は、706億ドル「名目GDP比0.5%」である。第2は、州財政の支援である。景気が後退するなかでアメリカの州・地方政府の財政状況が大幅に悪化していった。

 そのためメディケイド「低所得者向け医療保険制度」、州財政安定基金「教育関係中心」などを中心に2009年度は438億ドル「名目GDP比0.3%」が、州財政支援のために支出された。第3は、政府投資の増額である。道路・橋梁の近代化や高速鉄道へのインフラストラクチュア整備、環境関連事業、医療情報技術支援など向けに2009年度は261億ドル「名目GDP比0.2%」が、支出された。

 第4は、自動車の買い替え支援である。これは、燃費の悪い中古車から燃費効率のよい新車に買い替えた場合、最大4500ドルの補助を得られるというもの。これは、2009年7月~8月にかけて、総額30億ドル「名目GDP比0.02%」の規模で実施された。なお、今回の世界金融危機のきっかけとなった住宅市場に対しては、このアメリカ再生・再投資法による住宅減税に加えて、いくつかの措置が実施された。
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