第32話

文字数 362文字

スピンオフ篇#階段3

 あまりのことにパニックにもなれず、わたしはため息をつきながら階段に座り込んでしまった。

 持ち帰ってきた焼きそばをココで食べよう!

 それが唯一の希望のように思えて、フクロから焼きそばのパックを出してひざにのせた途端、箸もなくしていることに気づいた。

 もう終わった。
 泣きたい。

 と、その時、うしろがパッと明るくなって、

「門限を破って、入口の階段で何を食おうとしてるんだ、君は!」

 と、ヤマノウチさんの声がした。

「焼きそばです。でもお箸なくしちゃったみたいで、食べられないです」
「そう言う問題ではない」
「バッグもなくして、焼きそばしか持ってなくて」
「何を言ってるんだ。とにかく入りなさい」

 こうしてわたしは、管理人室に入れてもらった。ヤマノウチさんは管理人じゃないのに、何で今日に限ってココにいるんだろう。
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