第11話

文字数 358文字

 タクです。

 ケンは「アガるぜ、オレたち!」と言っていたけれど、ついにオレたちのデビューは決まった。

 先輩バンドの前座だ。
 小さなクラブでしか演ったことがないオレたちが、ホールだぜ。アガるって言うよりビビる。

 こんな言いっぷりだが、オレたちはすでに本番当日の、ホールの楽屋に来ている。いつものことだが、話しが飛んで申しわけないな。
 関係者へのあいさつもステージのセッティングも済んで、衣装にも着替えている。

 ところがこの空気は何だ?

 サナは歌詞を何度も繰り返し確認し、
 ミナトは指先でせわしなくテーブルを叩き、
 ケンは貧乏ゆすりを続け、
 ハルはペンを回しまくっている。

 テツはリーダーの立場も忘れて、
 ひとりで楽屋を歩き回っている始末だ!

 おいテツ、面と向かってつぶやいてやるぜ。

「お前が、この空気を早く何とかしろ」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み