第28話

文字数 387文字

スピンオフ篇#冷蔵庫12

 タクミが帰った後で、我が家はめったに出ない高級な肉で、すき焼きを食べた。こんなおいしい肉をお母さんに買わせるなんてタクミありがとう、とめずらしく感謝の気持ちが湧いてきた。
 話題は、自然にタクミのことになる。

 両親は弟の密告で、すでにタクミの家のそば屋に行っていたらしく、お父さんは、
「昼時の忙しい時間だったが客あしらいも良く、店もきれいでソバもおいしかった」
 と。

 お母さんは、あの店の近くに住んでいる知り合いから、

 兄弟は中学生くらいからゴロついていたこと。
 長男は男気 次男はヘタレ
 
 と、聞き込みが済んでいたことを教えてくれた。

 わたしがこれまでの経緯をかんたんに説明して、
「調子が悪くなった冷蔵庫に人生を支配されたみたいだ」
 と言うと、

「そんなのは予定調和の範囲内」
 とお母さんは笑っていた。

 ココまでが、おおむね半年くらいの出来事。

 
 

 
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