第25話

文字数 358文字

スピンオフ篇#冷蔵庫9

 わたしの声を聞いて駆けつけてたお兄さんは、とりあえずタクミの脇腹に軽くケリを入れてくれた。

「どうしたの?」
 と聞いてくれたので、ここまでの経緯を、早口で大声で必死に伝えた。

 お兄さんは、転がっているタクミの腰をうしろから蹴った。もう一度横からケリを入れようとしたところでタクミが応戦、お兄さんの足首を腕で挟んだ。      
 が、お兄さんはびくともせず、立ち上がろうとしたタクミを肘で軽くいなした。

 うしろに人の気配を感じて振り向くと、お父さんがバットを持って立っていて、
「下がっていなさい」
 と、わたしを食卓テーブルの椅子に座らせた。

 正直このくらいの場面でビビるわたしではないけれど、タクミの言葉は、心にも身体にも痛かった。
 
 お父さんは、タクミの前まで行くと、バットでドンと床を突いた。
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